香港に拠点を置き、BEA(東亜銀行)の資産運用アームとユニオンの合弁会社で、アジア市場でも大きな存在感を見せる「BEAユニオン・インベストメント・マネジメント」。同社において債券部門の部長を務めるフィオナ・ツァン氏へのインタビュー。第5回目のテーマは「今後のアジア投資」。聞き手は、香港の新しい金融機関であるニッポン・ウェルス・リミテッド(NWB/日本ウェルス)の幾田朋彦氏である。

注目はインドの鉄鋼、インドネシアの不動産関連

幾田 最後に2016年は、フィオナさんのファンドにとってどんな年となるか、どのような投資戦略をとるか、教えていただけますか? また、現時点で予想される脅威としては、どのようなイベントが考えられますか?

 

フィオナ 2016年は、引き続き中国の不動産関連銘柄の組入れを指数より多く保ちます。それと、コモディティ関連銘柄にも着目します。具体的には、インドの鉄鋼銘柄やインドネシアの不動産関連の銘柄からのリターンを狙おうと考えています。

 

 

インドの鉄鋼は、すでにオーバーキャパシティだと考える方もいらっしゃるかと思います。しかし、インド政府は輸入税を課すなどして、国内生産の活性化に努めており、鉄鋼産業は伸びてくると考えます。また、インドネシアの不動産は、昨年の通貨市場の調整局面において打撃を受けた結果、価格が下がり、不動産セクターの債券イールドは7-10%と非常に魅力的なレベルです。石油やガスセクターへの投資も検討しますが、商品市場が一段落するまで待つべきと考えます。

内需拡大による経済発展が期待できる「アジア」

フィオナ さらに注目するべきは、アジアの通貨です。特に、インドネシアルピアとマレーシアリンギットの投資魅力が高くなるでしょう。両国の通貨は、景気の悪化や、不安定な政治により下落していましたが、昨今、安定の兆しが見えてきました。政治が安定すると、消費が伸び、国内産業の活性化が期待できます。これは、輸出に頼ってきたアジアの国々にとって大きな変化です。今までの、国外依存型の経済から、内需拡大による経済発展が期待できます。このような変化を経る中で、まだ市場のボラティリティは高くなるかもしれませんが、今後のアジア投資には大きな期待が持てると考えます。

 

 

目下予想される脅威は、アメリカが市場の予想以上に利上げを実施することです。もうひとつは、コモディティ市場のさらなる下落です。石油価格が市場観測以上に下落した場合、アメリカのハイイールド債のデフォルトを加速化させる可能性があります。今後も、これらの動きに注視していきますが、どちらもアジア市場における影響は限定的だと考えています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録