ユーロ圏の景気動向に影響…ドイツの経済指標の着目点

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景気減速感が足元で、世界的に強まっています。先週、市場が最も失望した指標の一つがドイツの製造業PMIと見られます。ユーロ圏で経済規模が最大であるドイツの動向はユーロ圏の経済を大きく左右するだけにユーロ圏、並びに世界経済の先行きが懸念されます。ただ、ドイツの他の経済指標には異なるシグナルも見られる点に注意も必要です。

ドイツ経済指標:ドイツ製造業PMIは市場予想を大幅に下回り、2012年来の低水準

IHSマークイットが2019年3月22日に発表した3月のドイツ製造業購買担当者景気指数(PMIは44.7と市場予想(48.0)、前月(47.6)を大幅に下回りました。ドイツのサービス業PMIは54.9と、市場予想(54.8)を上回りました。PMIの拡大・縮小の判断の目安は50となります(図表1参照)。

 

月次、期間:2016年3月~2019年3月
[図表1]ドイツIfo景況感指数と製造業PMIの推移
月次、期間:2016年3月~2019年3月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

一方、ドイツのIfo経済研究所が25日に発表した3月の独Ifo企業景況感指数は99.6と、市場予想(98.5)、前月(98.7と速報値の98.5を上方修正)を上回りました。

どこに注目すべきか:製造業PMI、GDP成長率、乗用車販売、Ifo

景気減速感が足元で、世界的に強まっています。先週、市場が最も失望した指標の一つがドイツの製造業PMIと見られます。ユーロ圏で経済規模が最大であるドイツの動向はユーロ圏の経済を大きく左右するだけにユーロ圏、並びに世界経済の先行きが懸念されます。ただ、ドイツの他の経済指標には異なるシグナルも見られる点に注意も必要です。

 

ドイツの製造業PMIの悪化は気がかりです。3月の独製造業PMIの44.7は、景気の拡大・縮小の目安の50を大幅に下回ることに加え、内容にも懸念があります。ドイツ産業を支える輸出の先行指数となる傾向を示す新規輸出受注も昨年9月から悪化傾向が継続しているからです。

 

 

ユーロ圏全体の景気動向も鈍化が見られます。3月のユーロ圏総合PMIは、ドイツの製造業と、恐らく黄色いベスト運動によりサービス業PMIが低下したフランスの影響を反映して51.3と、2月の同指数51.9を下回りました。マークイットによると、PMIの数字に基づくと19年1-3月期のユーロ圏経済成長率は前期比プラス0.2%が見込まれます。18年10-12月期の成長率である前期比0.2%に並ぶ水準で、1-3月の成長率は景気後退ではないとしても、潜在成長率を下回り、減速感を感じさせる水準が想定されています。

 

ドイツのPMIが軟調となった背景のひとつは自動車産業の不振です。新たな排ガス規制の影響で昨年9月は大幅に売上が落ち込みました(図表2参照)。自動車の不振は短期的との観測に反し、乗用車の販売は前年比でプラスを回復していないなど、排ガス規制の影響は既に一巡したと見られるものの、回復ペースは鈍いままとなっています。

 

月次、期間:2014年2月~2019年2月、前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]欧州乗用車新規登録数の推移
月次、期間:2014年2月~2019年2月、前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

ただ、ドイツの景気指標の中には底打ちを示しているものもあります。例えば、ドイツのIfo経済研究所が集計したIfo景況感指数は3月が99.6と改善しました(図表1参照)。同指数を参照したIfoのビジネスサイクル・クロック分析によると、今回の改善で景気減速から再び景気のピークギリギリの水準に回帰しています。ビジネスサイクルの位置づけとして、ピークなのか減速なのか現段階では微妙な位置づけとなっていますが、景気後退からは遠い水準となっています。

 

欧州の乗用車新規登録数(欧州自動車工業会)についても、2月は全体では依然前年比でマイナスでした。スペインなどが引き続き軟調なためです。しかし、フランスやドイツはプラスに転じるなど、昨年9月のように東欧の一部を除いて全てマイナスといった状況からは改善も見られます。

 

PMIが示唆するユーロ圏景気の減速は懸念されますが、異なる方向を示す景気指標への目配せも同様に大切です。
 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ユーロ圏の景気動向に影響…ドイツの経済指標の着目点』を参照)。

 

(2019年3月26日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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