会社の理念を浸透させるに、社長としてぜひ実行したい「社員とのサシ飲み」。本記事では、社長が社員とのサシ飲みでどのようなことを伝えるべきなのか、また、どのようなことを言ってはいけないのかを取り上げます。※本連載では、アクセスグループ代表、税理士法人アクセス代表税理士・鈴木浩文氏の著書、『親父いつ社長やめるの? ―創業者があなたに事業承継しない決定的な理由―』(アチーブメント出版)から一部を抜粋し、人財・理念承継のポイントを解説します。

リーダーとは年4回、一般社員とは年1回の「サシ飲み」

社員や幹部の望みは何か。それを叶えることが、自分(社長)の望みになる。自分の望みを叶えたかったら、社員の望みを叶えて、幹部の望みを叶える。社員や幹部の望みを叶えた先に、自分の望みが実現できるように逆算する。

 

私自身は、そうした仕組みをつくることに全力を注いでいます。だから私は、幹部の望みを叶えることに最善を尽くしています。

 

そのためには、相手の個人理念を知らなければなりません。人生の共通の価値観、共通の目的、目標を持っているか、確認しなければいけません。もし、持っていなかったら、企業理念に寄せてもらわないといけません。

 

そこで私は幹部とは月に1回、サシ飲みしています。そのとき、必ず手帳のコアシート(※個人理念と企業理念を統合し、視覚化できるようにしたもの 関連記事『企業理念」と「行動規範」の違いを認識できているか?』参照)のページを開いて話します。

 

「この目標をやるために、今月はどんなことをやった?」

 

「そのために俺に何かできることはある?」

 

手帳を介してコミュニケーションを深めるのです。立ち飲み屋に行くこともありますが、そのときも立ったまま手帳を開きます。酔っ払うまでは手帳を使った会話。手帳を使った会話がほんの5分のときもありますが・・・。

 

サシ飲みは、リーダーとは年4回、一般社員とは年1回です。これは会社の規模によると思います。200人いる会社で、社長が社員全員とサシ飲みするのは不可能でしょう。体が持ちません。

 

しかし、幹部とは、毎月とはいかなくても、2か月に1回くらいは1対1でお酒を酌み交わしてはいかがでしょうか。取締役以上、あるいは部長以上でいいでしょう。幹部が10人なら、2か月に1回として月5人。これくらいなら時間をつくれるのではないでしょうか。

「俺が言っておいてやる」がNGである理由

社長が社員とサシ飲みするときには、注意すべきことがあります。それは、その社員から見た上司や幹部の評判を下げるようなことは言わないこと。

 

社員のプライベートのことについて相談を受けるのはなんの問題もありません。しかし、仕事のことは本来、その社員の上司を通して伝わるというのが組織というものです。

 

社員が社長に直接意見を言えるというのは、風通しがいいというプラスの面もあります。しかし、係長や課長の存在感が薄れてしまいます。

 

それに社員は「○○課長はわかっていない」「社長はよくわかっていますよね」と言いだすことも。そのときに「あいつらわかっていないから」「俺が言っておいてやる」と言ってしまうのは避けるべきです。

 

社員からすれば、上司を下げることによって、相対的に自分の位置が上がります。だから社員は気分がいいでしょう。片や社長も孫から相談されているようなものなのかもしれません。悪い気はしない。

 

しかし、それではナンバー2が育つはずがありません。組織が機能しなくなっていきます。

親父いつ社長やめるの? 創業者があなたに事業承継しない決定的な理由

親父いつ社長やめるの? 創業者があなたに事業承継しない決定的な理由

鈴木 浩文

アチーブメント出版

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