国家試験合格後、病院での研修がスタート
これまでの記事で、医師のキャリアで重要な役割を担っていた医局制度が、崩壊を始めている現状について紹介してきました。今回からは、医局制度が崩壊した後、どのような働き方が医師にとって最もメリットがあるのかを考えていきます。
まず、医師のキャリアの流れを再確認していきましょう。
難関と言われる医学部に合格した後、医学部を卒業し、医師国家試験に合格したら、病院での研修がスタートします。だいたい年齢的には24歳から26歳ぐらいに相当する初期の臨床研修では、新研修医制度によって2年間で各診療科を回ります。後期の専門研修では、自分自身で選んだ診療科での専門医の資格を取得するために邁進することになります。
新研修医制度によって、自分自身や研修先の希望に基づくマッチングの仕組みが導入され、待遇の良い市中病院・クリニックで研修をする研修医が多くなったということを前回まで述べましたが、実はこの流れに大きな変化が起きているのです。
それは、2018年4月から導入された「新専門医制度」になります。この新専門医制度で取得することができる専門医の資格は、各専門医学会が任意で設けています。しかし、医療の質の一定化が問題になり、第三者機関である日本専門医機構が管理することになりました。
ところが、この研修を行うのは大学病院です。このため、どうせ後期研修で大学病院に戻るのであれば初期研修から大学病院でいい、と大学病院を最初から研修先に選ぶ人が増えており、この制度によって医局が復権するのではないかとも言われているのです。
医局か、市中病院か、開業か…選択は20代後半が目処
話を医師のキャリアの話に戻しましょう。年齢的には27歳から30歳ぐらいの、後期研修期間に相当するこの時期は、大学病院や関連病院で後期研修を行う選択や、医局には属さずに市中病院(民間病院、公的病院、公立病院)などで後期研修を行う選択、もしくは開業を目指す選択などがあります。
だいたい専門医の資格を取得する30代前半ぐらい、または勤務医として経験を積んでからの35歳から40歳ぐらいに、最終的に医局に属するのか、それとも市中病院やクリニックに勤務するのか、あるいは開業するのか、という3つの大きな選択肢のどれかを選択する医師が多いと言われています。
最近はキャリアを決断する年齢が早くなり、後期研修の途中で転科を行う医師が増えていると言います。「自分の目指しているものと違った」といった理由から、人間関係や仕事の仕方が合わないという理由もあります。
中には、自分の指導医が辞めてしまっていなくなったことで転科を余儀無くされるケースもあるようです。
藤城 健作
ウェルス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長