日経平均株価やTOPIXの動きに近い運用で近年人気が高まっているETF(上場投資信託)投資。初心者でも着実に利益を積み重ねるには、どのような点に注目すれば良いのでしょう。本連載では、元信用組合職員でコンビニ店員兼投資家・前畑うしろ氏の著書、『ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資』(ぱる出版)から一部を抜粋し、「コツコツ」型のETF投資で勝つための心得について解説します。

株は「売るタイミング」と「買うタイミング」の技術

「欲張りは最大の敵」。これは私が投資をするときに毎回自分自身に言い聞かせている言葉です。

 

調子が良いときは「もっと上昇するのではないか」とつい欲が出ます。これまでに何十回、何百回と経験し、失敗しました。

 

売るタイミングを逃し、雀の涙ほどの利益で売る羽目になったことも少なからずあります。

 

最悪なのは買い値よりも安く売って損切りをしなければいけないことです。もっと最悪なのが売るに売れず状態の塩漬け株になってしまうことです。

 

塩漬け状態になるともう株の売買すらできなくなり、暴落時に狙っていた株を買うチャンスを逃すのです。

 

株式市場全体が一斉に暴落したときに、目をつけていた銘柄を折角安値で買う機会ができたのに資金がないために諦め、挙句には塩漬け株までがこの暴落でさらに下げるという負の連鎖状態になれば、もはや株をやめようとさえ思ってしまいます。

 

そのためには売りは早く、買いは遅くを徹底しなければ、いつまでたっても株式投資に限らず、すべての投資で勝つことはできないでしょう。

 

これからETF投資を始める人には少しでも利益を上げる楽しさを知ってもらいたいので、ETFが予定していた株価まで上昇すれば早目に利益を確定しておき、次のチャンスを待っていただきたいのです。

 

それがたとえ千円であっても儲けることができれば、今後、売るタイミングと買うタイミングの技術がしっかりと身につきます。数年後、ETF投資で資産を2倍、5倍、10倍にするための練習と割り切りましょう。

 

だから、今はこの先つかむ大金のために焦らずに少額を儲けることに徹底してほしいのです。もう一度言います。「欲張りは最大の敵」です。

初心者は「いろんなデータ」を取りたがる傾向があるが

●いろんなデータを取らない

 

●頭でっかちにならない

 

実を言うとこれは以前の私のことです。

 

初心者が株を始めた際には、いろいろなデータを取りたがる傾向があります。

 

もちろん、だれでも大切な資産を失いたくはありません。

 

書店に足を運んでは資産運用のコーナーにある本を立ち読みし、迷いながら2、3冊購入した経験のある人もたくさんいることでしょう。

 

買った本を夢中になって読み、企業のホームページから財務状況を確認したり、会社四季報を買ってはよくわからない項目を見たり、またはPER、PBRなど意味のない計算をしたりと、これまでにたくさんの投資家が無駄な時間を使ってきたと想像できます。

 

しかし、一見、無駄だと思えることを経験したからこそ今があるのです。

 

何事においても意味のないことはありません。やればやるほど知識として蓄積され経験として生かされるのです。

 

あなたがコンビニ店員をしているのも無駄ではなく意味があるのです。

 

私もコンビニ店員をしていたから、この本を出すことができたのです。

 

ただし、ETF投資をするためにたくさんの知識は必要ありません。専門の知識はおいおい勉強していけば良いことなので、初心者が始めから知識を詰め込み過ぎると訳がわからなくなり、間違った投資をするのではないかと危惧するのです。

 

ですから最初はシンプルに本書(『ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資』)に則ってスタートさせたほうがピュアな気持ちで投資ができると思います。

膨大なデータを持つ「エコノミスト」が株で負ける理由

失礼ですが、経済評論家や経営者の株価予想は外れることが少なくありません。

 

日本経済新聞の年初には一流企業のトップが今年の日経平均の株価を予想する一面があります。

 

1年後、ほとんどの予想が外れていることについて、私は当然だといつも思っています。

 

正直、ノストラダムスじゃあるまいし、だれが1年後の株価を当てることができるのでしょうか?

 

ここ最近の市場は、東京オリンピック・パラリンピック関連の企業や外国人観光客に特化した企業の株の順調な上昇があり、この先もしばらくその状況が継続する…という程度は誰でも予想できます。

 

とはいえ、世の中、何が起こるのかは誰も予想できないことが大半です。

 

例えばテロ。いくら警備をしていても起こる可能性は十分にあります。特に私たちの日本はテロに対しての警戒心が低いようにいつも感じています。

 

ここ数年の間に外国人観光客は一気に増え、テロ対策はしているとは思いますが、現状に追いついてないような気がしてなりません。

 

例えばテロ組織が日本を標的にして、多数の犠牲者が出ればたちまち株価は暴落するでしょう。

 

また、地震などの自然災害が東京を直撃すれば経済活動も中断され、株の取引もストップ、市場が再開されたときは大暴落からのスタートになるでしょう。

 

そんな最悪な状況をいつも考えておかなければいけないのです。

 

経済だけを見ている人はそれが専門なのでその予想をするのは当然ですが、私たち素人は他のリスクを考えながら株を購入しないといけないのです。

 

エコノミストの人たちが予想を外す最大の理由が「頭が良すぎる」からです。

 

緻密なデータを作成し、海外の経済事情や政治に至るまで何でも精通しているので、頭の中の情報量が私たち一般人の何十倍、何百倍と詰まっているのです。

 

そのため膨大なデータばかりを頼り、予期せぬ事件や事故、未曽有の災害が起きたときに対処ができなくなるのです。

 

天気予報もそのうちのひとつで、今では世界中の気象情報が衛星やコンピューターを通じて瞬時に入ってきます。

 

しかし、昨今では地球温暖化の影響なのかゲリラ豪雨があらゆるところで多発しています。

 

これほど情報機能が発達していても、予報が外れることはよくあります。

 

別に気象予報士さんを責めているつもりはありませんが、ベテランの漁師さんは雲の動きや夕焼けをみて翌日の天気が予想できると聞いたことがあります。

 

経済の分野についても、少なからずこのような勘は当てはまるのではないかと思うのです。

 

ですからあまりエコノミストといわれている頭のいい人たちの予想は鵜呑みにせず、軽く聞き流す程度がちょうど良いのではないでしょうか。

本連載は、前畑うしろ氏の著書『ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資』(ぱる出版)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資

ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資

前畑 うしろ

ぱる出版

元”まちの銀行マン”信用組合職員、現コンビニのアルバイト主夫による「ETF」で生計を立てる指南書。 スタートは1500円でも1500万円でもいくらでもOK。 不安に苛まれながら銘柄を選ぶ苦労はなく、買うのはたったの2銘柄。何…

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