日経平均の基準価格を設定することが重要
あなたがETF投資をするときは、思い描いている日経平均の株価が今現在、上か下かで判断してETF1357(※1)かETF1570(※2)を買うだけでいいのです。例えば私の場合、日経平均は2万3000円を基準にして、そこから日経平均の上下に合わせてETFをコツコツと買う手法をとるように心掛けています。
だから、2万4000円になれば私が基準にしていた日経平均2万3000円よりも高くなっているので、この先、下がると予想して日経平均が下がれば上昇するETF1357を2万3000円超えたころからコツコツと買います。
そして予定していた金額分を買えばあとはほったらかし、日経平均が下がるのを待つのです。しかし、株はそんな簡単に儲けられるものではなく、私が予想していた2万3000円をはるかに超え、2万4000円、2万4500円になれば予想は外れたのでかなり損をします。
あなたが2万4000円を基準にしていて日経平均が下がれば上昇するETF1357を買っていればベストのタイミングで買えたということになります。日経平均連動型のETFを売買するうえで最も重要なことは当たり前ですが日経平均の株価です。そこであなたは、現在の日経平均株価が高すぎると感じているのか、または妥当な金額なのかもしくは低すぎるのかを決めることが肝心要となります。
景気がそれほどいいと実感していなければ2万4000円の日経平均は高いと判断してETF1357をコツコツと買い、日経平均が暴落した時に売れば儲けることができます。逆に東京五輪までは景気は上昇し続けるだろうと予想して、2万7000円2万8000円それとも3万円もあり得るだろうと思えば、お金に余裕がある人はETF1570を長期投資で買えばいいでしょう。
そこであなたは日経平均の基準値をよく考えて設定し、その金額よりも高くなれば、日経平均が下落すれば上昇するETF1357を買い、低いと思えば日経平均が上昇すれば上昇するETF1570を買えばいいのです。
だから、この基準値を決めることがこれからETF投資をするあなたにとって一番大事な仕事となるのです。もう一度言いますが、日経平均の基準価格を設定することがこれから儲けられるかどうかの分岐点となるので真剣に決めて下さい。
※1 日経平均株価などの指標と逆の値動きをするインバース型のETF。保有している株式の下落リスクを回避する手段の一つ
※2 日経平均が値上がりした場合、その上昇率の約2倍の利益が見込めるレバレッジ・インデックス連動型ETF
「コツコツ買い」を守ってさらなる暴落を待つ
日経平均が順調に上昇していても、NYダウが何らかの理由で暴落すれば、それに追随するように日経平均も株価を下げる傾向があります。個人投資家は株価が暴落したときの押し目買い(※3)を好み、ここぞとばかりにこれまでに狙っていた株を買います。
しかし、私は個別企業の銘柄はあまり買わずにETFを専門に買うので、日経平均の株価が300円や400円程度、暴落したからといって慌ててETF1570をたくさん買うようなことはしません。
もちろん、その時の騰落レシオやチャート、自分が設定していた日経平均の株価よりも高いか安いかで判断し、安いと思えばETF1570を買い、まだ日経平均は高いと思えば様子を見て、その後さらに暴落した時に一気に買うようにしています。
もちろん予想が外れて反発することもありますが、いきなり400円以上下落したからといって慌てて買ったりはせずにコツコツ買いを守り、さらなる暴落を待てばいいのです。
これまで日経平均が400円以上暴落した数日後に、1000円近い大暴落が起こったこともあるので、いきなり300円や400円下落した時は何か重大な理由があるはずだと警戒し、1週間ぐらいはいつも以上に注意しながら、ETF1570を買う準備、ETF1357を売る準備をしておきましょう。
※3 株価の上昇局面で、一時的に株価が下落したタイミングを見計らって「買い」を入れる手法
大暴落の発生時は何かしらの「予兆」がある⁉
日経平均が前日比で1000円以上、下げることはめったにありません。
記憶に新しいところで言うと、2018年2月5日の終値2万2682円が翌日6日、終値2万1610円、前日比1072円安といった大暴落がありました。その日の最安値は2万1078円、前日より1604円も下げたのです。
あまりにも下げ過ぎたので押し目買いが入り、500円強上昇したのですが、このような日が起こると予感がして、数日前から買う準備をしていた人は儲けることができたでしょう。しかし、この日は前営業日(2月5日)に前々営業日(2月2日)から600円近く下げていたので、準備をすることはできたかもしれません。
前営業日に600円近くも下げたのだから、翌日は上昇するだろうと考えて株を購入していた人は大きく損をしたでしょう。
ここが損するか得するかの分かれ目だったのですが、私が推奨しているETF投資を取り入れた場合、日経平均が数日前に高値を付けた2万4129円で「これは高すぎる」と思っていた人は日経平均が上昇すれば下落するETF1357をコツコツと買っていれば儲けることができたのです。
さらに600円下げたところで「これはもっと下がるぞ」と予想できたかもしれません。
2016年6月23日に行われた、イギリスがEU離脱の賛否を問う国民投票のときは結果EU離脱に賛成の投票数が反対を上回り、離脱が決定した6月24日の日経平均は前日比1286円安となりました。
その時も投票が行われることは以前からニュースで取り上げられており、世界中が注目していた出来事だったので、前評判を覆す結果なら暴落することは予想できたはずです。ここ数年で一番驚かされたのがアメリカ大統領選でトランプ氏が前評判で上回っていたクリントン氏を覆したときです。
テレビでも開票結果がリアルタイムで報告され、日経平均はその日乱高下を繰り返していました。イギリスのEU離脱やアメリカの大統領選はどちらに転ぶかわからないので、ETF1357かETF1570を買う判断は難しいですが、2月6日の大暴落は、数日前からの動きから暴落が予想できたのかもしれません。
リーマンショックのときも数週間前から、きな臭い雰囲気があったので、あの歴史的大暴落を予想していた人もたくさんいたはずです。今後、大暴落がある時も何かしらの予兆があるはずなので見逃さないように注意しなければいけないでしょう。
※ 本連載は、前畑うしろ氏の著書『ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資』(ぱる出版)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。