配当や株主優待目当てなら、長期投資もいいが…
長期投資はお金持ちがすることだと思っています。それはお金にゆとりがあるからです。
投資資金が100万円、もしくはそれ以下の金額でETF投資を始めるあなたは1年で1.3倍から2倍の資産に増やすことを目標としているので、5年や10年といった長期投資には向いてはいません。
まして、5年後、10年後のことなど予言者じゃあるまいし、だれが株価の予想なんてできるのでしょうか?
長期投資をすること自体は否定しませんが、長期投資は数銘柄を数百万円単位で買い、配当や株主優待を得ることを主な目的とした人たちが5年、10年後に株価が上がっていればラッキーというのが私個人の感想です。
しかし、一流企業とはいえ不正が発覚すれば5年後10年後に暴落していることも考えられるのです。
そうなれば、これまで投資したお金と時間は無駄となり、結局、塩漬け状態になり、さらに5年後か10年後に上がっているかどうかもわからないままずっと持ち続けるしか方法はありません。
ですから、あなたは年数回やってくる暴落に備えて毎日簡単な情報を収集し、コツコツとETF1357(※1)を買えばいいのです。
そしてあなたが設定した日経平均の下値に近づけば今度はETF1570(※2)をコツコツと買い始め、日経平均が上昇し、騰落レシオも120%に迫ってきたころで2、3回に分けて売れば日経平均の上下で利益を上げることができます。
それを年数回行うだけなので、1~3カ月、長くても6カ月以内には決済することになります。
※1 日経平均株価などの指標と逆の値動きをするインバース型のETF。保有している株式の下落リスクを回避する手段の一つ。
※2 日経平均が値上がりした場合、その上昇率の約2倍の利益が見込めるレバレッジ・インデックス連動型ETF。
デイトレードは手数料がかかるし、疲れる?
デイトレードとは日に複数回、買っては売りを繰り返し、利益を上げる投資方法です。
インターネットでの取引が普及したことにより、これを専門に毎日稼ぎ、生業として生活しているデイトレーダーと呼ばれる人もたくさんおります。
企業の業績など全く無視して、ただ、値動きが激しい銘柄を見つけては2台、3台のパソコンでチャートや為替を見ながら、まるでゲームをしているかのようにマウスを動かしクリックしては数百万、なかには数千万円を動かしている個人投資家もいるようです。
初めて株式投資を始める人にとっては、簡単に稼ぐことができそうに見えるので魅力があるのでしょう。
テレビで取り上げられるデイトレーダーの優雅な生活を見せられると、自分もそんな生活をしたいと思うのはだれでも同じです。
そんなデイトレードに魅力を感じ私も足を踏み入れた時期もありましたが、私の性格上、向いていないことがわかりあっさりとやめました。
あなたが、過去の私のようにデイトレードに魅かれて始めようと頭の片隅にでもそんな気持ちがあるのなら、「やめておきなさい」とだけはっきりと言えるでしょう。
初心者によくありがちなのが保有株の株価を毎日確認し、ちょっと上がれば売り、また別の銘柄を探し買ってはすぐに売りを繰り返す、いわば、ハムスターがかごの中でちょこちょこ動き回っているような投資はおすすめできません。
自分の買った銘柄の株価が気になるのは当然です。
しかし、たいして儲かってもいないのに売買を繰り返しても、手数料がかかるし、第一、疲れるだけです。
そんなハムスター投資よりも2、3カ月のサイクルでコツコツと買い、激しい動きが起こった時に売買を数回繰り返すETF投資の方が心にもゆとりができて安心です。
「損切りできない人」でもETF投資なら、戦略あり
株を買うときはだれでも、この先株価が上がる自信があるから買うのです。
しかし、その思いとは裏腹に株価は見る見るうちに下がり続け、あなたの予想は見事に外れるのです。
そこで、自分の負けを素直に認め、損切りができる人は株式投資に向いている人で成功すると言われています。
しかし、人間の心理というものはある意味厄介で自分がいいと思って買っている企業の株が下がるなんて信じたくはないのです。
「いつかはきっと」という風にこの先、上がるかどうかわからない株を持ち続け、さらに下がればナンピン買い(※3)をした経験のある人は数えきれないほどいるはずです。
もちろん私もそのうちの一人で、なかなか上がらない株を持ち続け、毎日イライラしながら株価のチェックをしていました。
そんな人がETF投資をはじめれば、毎日イライラすることなく株式投資を楽しむことができるのです。
そしてコツコツと少額で買うことができるのでリスクも減り、さらに株価が下がったとしても損切りする必要はなく、売らずに反対の動きをするETFを買えばいいだけなのです。
例えばこの先、日経平均が上昇すると思ってコツコツ買ったETF1570がさらに下落した時、本来なら損切りして株を手放すのですが、日経平均が下がれば株価が上昇するETF1357を同じ投資額分買えば、その後、日経平均が上がろうが下がろうが、これ以上損することはないので安心して見ることができます。
そして落ち着いたところで売買を開始すればいいのです。
※3 株価が下がった際に、買い増しをして平均購入単価を下げること
<ご注意>
本記事は、前畑うしろ氏の著書『ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資』(ぱる出版)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本記事を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。