「人生100年時代」を迎えた日本。老後の生活に不安を覚えないためにも、早めの資産形成は重要です。本記事では、不動産投資コンサルタントの桜木大洋氏が、不動産投資を始めるべきタイミングについて解説していきます。

キャリアを活かせる再就職先を望むシニア層は多いが…

サラリーマンを定年退職したら、その後の収入はどうなるんだろう、という不安を抱えている人がたくさんいます

 

そして、年金の受給額が引き下げられた、受給開始年齢が引き上げられたというニュースを見るたびに、「自分の時はますます厳しい状況になるんだな」ということを認識するにも関わらず、それでも早めに対策を取ろうとする人が本当に少ないことを私は危惧しています。

 

自分には長年働いてきたキャリアがあるし、それなりに業務経験を生かしてきた自負があるので、定年退職後も何かしら自分の見識を活かせる職に就けるだろう、就きたい、と考えているという声もよく聞きます。

 

でも、IT化をはじめとする技術革新がものすごいスピードで進むなか、過去のキャリアや人脈が活かせる仕事がいつまでも残っているでしょうか。

 

◆シニア層の仕事の現状と今後

 

事実、高齢化社会を背景に、各企業では65歳まで継続雇用が義務付けられていますが、実際に仕事のニーズがあるのは清掃やガードマンなどの「力仕事」が多く、求職するシニア層から見れば、就きたい仕事が少ないのが現状です。

 

ある一流企業のサラリーマンの例では、経理担当として66歳で会社人生を全うし、現在の年金は月17万円、という方がいます。家のローンもほぼ終わり、子供も独立し、奥さんとの二人暮らしに特に不自由は感じないかもしれません。それでもなお、再就職先を求めるシニアは「漠然とした将来への不安」と「体が動くうちは働きたい」との思いがあるそうです。

 

たしかに、今の60代なんて、若々しい人が実にたくさんいますし、郷ひろみや石田純一も60代なのですからね。

 

そうしてまだまだ社会貢献したいと考えるとき、これまでのキャリアを活かせる仕事を次の職場に求めようとするのが普通です。特に学歴・職歴が高いシニアの男性は、自分が積み上げた経験、知識を活かした仕事を望む傾向が強いです。

 

しかし、実際には管理職や事務職の求人そのものが非常に少ないのが現状。

 

2017年春に厚労省東京労働局が発表したデータによると、60歳以上の有効求人倍率では「サービス業」が2.86、「保安業務」が4.80と高い一方で、「事務的職業」は0.42、「管理的職業」は0.46と、ホワイトカラーの求人はごくわずか。

 

たとえ有名企業に勤めていても、いろんな部署を転々としていたようなキャリアでは、自分が思うほど求人市場には売りにならない、専門職でも行き場がない、ということ。 芸能人でもない限り、退職したらタダの人です。

 

また、気力や体力で30代・40代と同じように働けるかといえば、それも難しい。実際に高齢者を求めている企業は小売やサービス業が中心で、場合によっては最低賃金に近い仕事になってしまうのも仕方ありません。そして具体的には、清掃やガードマンの仕事を、時給○○円という時間労働で請け負っていくことが多いのです。

 

もちろん、これらの仕事・職種の是非をいっているのではありません。しかし65歳になって、体も若い頃のようには動かせないなか、過去のキャリアも活かせずにひたすら時間労働に勤しむという人生は、いかがなものでしょうか。

 

それでも多くの人は、これまでの貯蓄と年金で、なんとか生活には困らないように生きていけるのです。

 

でもそれは、今現在の話。

 

あと10年すれば、もっともっと高齢者が増えるし、仕事はますます効率化・IT化が進みます。仕事を見つけることすら難しくなってくるかもしれません。だから今後は一層、時間給で働き続ける「労働」を収益源と考えると、苦しくなるばかりなのです。

 

60歳まであと何年?と思うと、まだまだ20年以上ある、とか思っていても、実に5年・10年はあっという間に過ぎてしまいます。さらに日本の平均寿命は伸び続け、2016年の厚生労働省の調査では女性が87.14歳、男性80.98歳で、いずれも過去最高を更新。元気で90歳を超える人も年々増えて続けています。

 

こういった、先を見る目があるのなら、今のうちから複数の収入源を確保することに、頭と労力を使うべきですね。不動産投資は、まさにその柱となるひとつです。

最大の懸念事項となる「融資の年齢制限」

◆年齢と融資の条件

 

では、不動産投資に年齢制限はあるのでしょうか。ご存知のように、一般的に大家さんはかなりの高齢者で、子供や孫への相続対策に頭を悩ませている人が多い、というイメージがあります。

 

しかしそれは先祖代々からの資産を受け継いでいるような資産家の話。普通のサラリーマンで不動産投資をするには、とにかく「融資」が重要なカギを握ります。そう考えると、何歳まで融資が受けられるのでしょうか。厳密には、年齢制限はない、と思うのですが、私は、ある物件を下見に行ったときに危機感を覚えました。

 

その物件は、築24年の鉄骨造でありながらある銀行の評価が高く、33年〜35年の融資が引ける可能性がある、とのことでした。金利は年率3.5%と比較的高めでしたが、期間がそれだけ長く取れるのであれば月々の返済額も抑えられ、キャッシュフローにも余裕が出て来ます。もちろん私は前向きに購入する方向で不動産会社の人と話しました。

 

ところがその営業マンの方が、私の年齢に気づき、首をかしげたのです。「この銀行は、融資年齢限度が79歳なんです」と彼はいいます。 ということは、49歳の場合、あと30年しか融資期間が取れないことになります。これは厳しい。

 

その物件の収益性やリスクを考えるとき、年間の家賃収入のうち、どのくらいを返済に充てていくか、この「返済比率」が重要な指標になります。

 

金利3.5で借りる場合、返済期間35年が33年に減ると、返済比率は2%上がり、33年が30年に減ると、更に3%上がります。金額で見ると、35年→30年になると、返済額が年間170万円も増えてしまうのです。これは大きなインパクトになり、収益物件としての旨味も無くなります。

 

こういう場合、もちろん他の金融機関をあたればよいのですが、審査スピードの点でなかなか他では太刀打ちできない強みを持っている銀行だと、他をあたっているうちにライバルに取られてしまう可能性が高いです。 また、そもそも築24年の鉄骨造で、30年以上のオーバーローンを引ける金融機関もなかなか見つかりません。

 

◆“年齢”の弱点を補うには

 

このように、冷静に考えると金融機関の年齢制限がある79歳〜80歳から逆算して、35年ローンを得るには44歳〜45歳まで、ということになりますね。住宅ローンも同様だと思います。

 

だからといって、これが不動産投資ができる限界とはいいたくありませんし、私は既にその年齢を越えています。たしかに高齢になればなるほど、融資を受ける点では不利になっていきますが、それが不動産投資を諦める理由にするのは早計です。自己資金をたくさん持っているのなら、その弱点を補える可能性は十分にあります。

 

いずれにしろ将来に不安があるのなら、1歳でも早く不動産投資を始めるほうが、物件の選択肢が増える、ということです。そして何歳であっても大切なのは、弱点を克服するマインドと行動力です。

 

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本連載は、株式会社フェイスネットワークが運営するウェブサイト「toshi.life」の記事を転載・再編集したものです(https://toshi.life/article/fudosantoshi/14431)。

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