メールの返信は「24時間以内」に、電話と併用がベスト
不動産投資、不動産賃貸業は、自分一人ではなかなかできないもので、特に物件を探したり購入する際には不動産会社、物件を滞りなく運営するには管理会社の協力が必要不可欠です。
だから私はセミナーで講演するとき、不動産会社や管理会社とのコミュニケーション重要性を強調し、どうすればコミュニケーションをうまく取れるのか、といったことまでお話ししています。
それはすべて私自身の経験に基づくもので、単なるマインドやビジネスマナーの本に書いてあるようなことをなぞっているわけではありません。常に不動産会社や管理会社、金融機関の担当者や責任者の方々とコンタクトを取ったときに、実際にあったシーンや反応を思い浮かべながら、そのノウハウと心がけをお伝えしています。
その代表的な行動指針として
●メールと電話、両方使え
●メールの返信は24時間以内に
とアドバイスをしていて、もちろん自分でも実践しています。
ところがこういう基本的なメールのやり取りも、回数が増えると疎かになったり、毎回同じことばかり言ったり書いたりするのは煩わしく思えることがあります。メールを書くのに苦手意識を持っていたり、忙しさを言い訳にしてたった数分のメール作成時間さえ取らずにいると、ついつい大切なコミュニケーションツールであるはずのメールを疎かにしがちです。
1.メール文章の大切さ
そこで、本記事ではメール文章を書くときのヒントをお伝えしたいと思います。「今さらバカバカしい」「新入社員じゃあるまいし」などと、決して侮ってはいけないことです。
最近、高校3年生の息子が「大人の語彙力ノート」という本を買って来ました。面白そうだからちょっと借りて中を読みはじめたら、マンネリ化しがちなメール文章を少し言い換えてみるボキャブラリーを見つけたのでご紹介します。
「教えてください」は
「ご教示ください」と言い換える。
このほうが知的な印象を与えます。シチュエーションによっては堅苦しいと感じもしますが、メールなどの書き言葉で 「ご教示賜りたく存じます」 とすると、丁寧さが伝わります。
「〇〇していただければ幸いです」は
「〇〇していただければ幸甚です」に言い換える。
「幸いです」はうっかりすると多用してしまいがちですが、手紙文では「非常にありがたい」の意として平安時代から使われており、同じ意図でも言い回しを換えることでメリハリがつくようになります。
同じように、丁寧な言葉で品よく気持ちを伝えるものに
「忘れていました」を
「失念しておりました」
「私のミスです」を
「私の不手際です」
「遅くなりましたが」を
「遅ればせながら」
と、ほんの少しだけ言い換えるだけで、相手によりスムーズに気持ちを伝えることができます。
また、
「〇〇できません」を
「〇〇しかねます」
「確認してください」を
「ご確認のほどお願い申し上げます」
「それでいいです」を
「異存はございません」
という言い方に換えると、ストレートできつい印象から、やわらかく丁寧な表現になります。
さらに、
「見ておいてください」をよりかしこまった言い方にすると
「ご高覧ください」
確認の上お受け取りくださいの意では
「ご査収ください」となります。
このように語彙力を高めることで、メールを書くことにも苦手意識を持たないようにしたいですね。
自分の判断基準をもって、意思を明確に伝える
2.営業マンに動いてもらうために
多くの人は、自分がうまくいっているときや、相手から興味深い情報をもらえた時には率先してメールを返信しますが、そうでないときにはついほったらかしになるものです。
もしくは、ストレートな言葉や気持ちのこもらないワードを叩き込むだけでは、たとえ相手の感情を逆撫でするところまではいかなくても、よい印象を与えることはできません。
そして、いい印象を与えられなければ、損をするのは自分であり、次の物件紹介を受けられなかったり、自分が持ち込んだ案件に真剣に取り組んでもらえなかったりします。
だから、不動産会社や管理会社の営業マンには、常に感謝の気持ちを持ち続けたほうがいいし、自分のためにいろいろと尽力してくれることへの気遣いも大切です。但し一つだけ、要注意のキーワードがあります。
それは、例えば物件を紹介してもらった時によく言ってしまいがちな「検討します」という言葉。
たくさんの不動産投資家がいるなかで、また数ある収益不動産の物件のなかで 「これはいかがでしょうか」 と紹介されたとき、即断即決できず、検討する時間が欲しいとなると、この人には物件を選ぶ基準がないのかな、と思われてしまいます。
日頃から自分の判断基準を持っていれば、買うか買わないかはすぐに決められる筈で、そうした明確な基準のもとに断るのなら、相手も嫌な気持ちにならないし、次の物件紹介にも活かされるのです。
「検討する」と答えるのなら、何を検討するのかをきちんと伝える必要があります。物件の最寄り駅の乗降客数や家賃相場を調べたいとか、修繕履歴がまったく無いのは心配だから資料が揃うまで判断できないとか、それなりの理由が欲しいです。
ただ単に、もっと他の物件を見てから、今ひとつ決め手がないから、などという理由では、真剣に考えていないと思われてしまいます。何より、次にどんな物件を紹介すればいいのかもわかりません。
3.即断即決をする
毎日、山のように収益物件の情報を扱う人たちに対して、自分の優先順位を上げて取り組んでもらうようになるための最大のコツは、常に意思を明確にすることです。意思を明確にするということは、即断即決すること。即断即決するということは、自分自身の基準をはっきり持っている、ということです。
不動産会社の営業マンに対して、なかなか断りづらい、と思う人がいるようですが、そんな配慮はまったく不要です。はっきりと理由を述べて断れば、次からは自分の希望に合った物件を紹介してくれるようになり、そういうことの積み重ねで、自分のことを理解してもらえるようになります。
現代はすっかりパソコンやスマホが伝達の手段となり、字を美しく書く技術を磨いても、それを披露するチャンスはなかなかありません。
だからこそ、内容は最も伝わりやすく、明確なものが好ましいです。そして、あまりにもシンプルだとかえって自分の気持ちが正しく伝わらないこともありますので、表現にはある程度気をつけて、相手の気持ちにも配慮したほうがいいです。
せめて言葉の表現のバリエーションを使いこなすことで、より円滑なコミュニケーションができるようになりたいですね。