経済成長が続くベトナム…2019年の不動産市場を予測する

2018年のベトナム経済は、内需・外需ともに安定した伸びを見せ、過去10年のなかで最も高い成長を遂げました。ベトナムの法律は、外国人(外国企業)の不動産投資に関して制限があるため、不動産市場はベトナム人(ベトナム企業)の動向によって大きく左右されます。本記事では、2018年のベトナムの経済状況を振り返りながら、2019年の展望を見ていきましょう。

2018年、過去10年で最も高い成長を遂げたベトナム

前回は、大規模不動産開発プロジェクトの「VINCITY」について、その投資メリットを検証しました。今回は、2019年のベトナムの不動産市場について、ホーチミンを中心に予測します。

 

〈GDP〉

 

ベトナム政府の統計総局は、2018年12月27日付で、2018年の実質GDP成長率が7.1%となり、過去10年間で最も高い成長を達成したと発表しました。これによって直近5年間の平均実質GDP成長率は6.59%となり、高い水準で安定した成長を続けていることがわかります。2019年の実質GDP成長率目標も6.6~6.8%に設定しており、2019年以降も引き続き高い成長が見込まれます。

 

〈FDI〉

 

ベトナム政府は、2018年に実行された海外直接投資(FDI)が前年比9.1%増の191億ドル(約2兆1,000億円)に達したと発表しました。これにより、6年連続で過去最高を更新したことになります。一方で、FDIの認可額は前年比1.2%減の354億ドルに留まり、4年ぶりの前年比減となりました。ちなみに国・地域別の認可額のトップは日本(85億ドル)で2年連続。2位は韓国(72億ドル)でした。

 

2018年上半期のデータになりますが、ベトナムの外国直接投資は前年同期比5.7%増の203億ドル。部門別で見ると、加工・製造が79.1億ドル(全体の38.90%)に次いで、不動産が55.4億ドル(全体の27.25%)となっています。2018年通期の部門別の統計はまだ出ていませんが、不動産分野は30%前後で推移すると予想されます。

 

ベトナムはASEAN主要国の中でも最高水準の実質成長率を続けており、日本を含め諸外国から多くの外資を呼び込んでいます。

 

米中貿易戦争の関係もあり、縫製業を中心に中国からベトナムに生産拠点を移す動きが出てきています。そのため、外資企業並びに中国企業の現地拠点を含めた現地調査が急激に増加しており、今後も一段と増えることが見込まれます。

 

〈貿易〉

 

2018年の輸出総額は2447億ドル(約26.8兆円)で、前年比から+13.8%、輸入総額は2,375億ドル(約26.1兆円)で前年比から+11.5%となり、貿易収支は72億ドル(約7,898億円)と過去最高の貿易黒字を記録しました。2019年以降もTPPの開始と米中貿易戦争の好影響もあり、貿易黒字はさらに拡大していくことが予想されます。

 

以上、3項目を挙げただけでもGDPでは過去10年、FDI、貿易では統計を取りはじめて以来最高の数字を記録しています。その恩恵を受けたベトナム企業も多く、大きな発展を遂げています。2019年も現在の流れが継続すると予想・発表する研究機関もあり、しばらくの間、好調なベトナム経済が続くことが見込まれます。

市場は、コンドミニアム→戸建→土地の購入へとシフト

では、ホーチミン市の不動産動向について見ていきましょう。

 

ホーチミン市の不動産市場は、2017年までの勢いは収まってきたものの、2018年も活発に推移し、ベトナム人による投資は拡大しました。ただ、2017年までにしばしば見られた「コンドミニアム即買い」といった行動は減少し、じっくりと物件を選ぶ傾向が出てきました。きっかけのひとつとなったのが、2018年3月に発生した高層ビル火災です。多くの死者が出たこともあり、コンドミニアムから戸建、土地の購入へと、市場は大きく動いています。

 

その影響を受け、ホーチミン市1区に隣接するビンタイン区では、裏路地の物件でも1平米3,000USD~4,000USDの物件が出るなど、物件価格が倍増しています。ミドル層には手が届かない金額まで高騰したため、現在はホーチミン市郊外に戸建てを求める動きが加速しています。

 

2017年、2018年にはハイエンドクラスのコンドミニアムが軒並み売り出され、2015年、2016年に販売された同等の物件、1平米1,800USD~2,200USDと比べると、倍以上の売出し単価になりました。なかでも駅近で中心地の物件は、1平米単価が1万USDを超えるものも発売されるなど、加熱傾向にありました。

 

そのためホーチミン市は、中心地区の開発許可前のプロジェクトに関して期限付きで高さ制限地区を設定し、加熱する不動産価格の調整に入っています。これにより新規の開発プロジェクトは激減し、不動産売買は中心地から周辺へと移っています。

 

ハイエンドクラスとは逆に、ローエンド、ミドルエンドクラスはコンドミニアムを含む戸建開発が増加しています。今年の目玉は筆者も記事にしているVINgroupのVINCITYプロジェクトで、ほかの開発会社もミドル層向けの開発を手掛けているため、2019年はこのクラスの物件が多く発売されます。

投機的な動きも加速か、「はずれ物件」に注意を!

以上を踏まえ、2019年のベトナム不動産市場をホーチミン市に限定に予測すると、引き続きベトナム経済は内需、外需と順調に推移していくため、経済成長の恩恵を受けたベトナム企業やベトナム人はさらに不動産投資を拡大していくことが予想されます。

 

ただし、これまでのようにコンドミニアムを即買い・爆買いするようなことはせず、土地や戸建ても含めた幅広い投資先を吟味し、選んでいくことになるでしょう。

 

投機的な動きも加速するため、購入後の転売は多くなり、インカムが取りづらい状況になる恐れもあります。

 

ホーチミンのなかでも、プロジェクトによりはっきりと明暗が分かれることが予想されるため、特に今年はベトナム人の購入傾向を把握しながら、「はずれ物件」を掴まない注意が必要です。

 

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VINA COMPASS Co., Ltd. General Director

沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。

VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/

著者紹介

連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性

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