今回は、狭小のボロアパートを「DIY」や「コンセプトの打ち出し」により高利回りの物件に再生させた大家の事例を見ていきます。※本連載では、カリスマデザイナーズ大家として活躍する小嶌大介氏の著書、『だから、失敗する! 不動産投資【実録ウラ話】』(ぱる出版)の中から一部を抜粋し、失敗経験者の実例からその原因を検証、リカバリーするための不動産投資術を解説していきます。

25000円で入居者のつかない11平米の超狭小アパート

一噛さんは兵庫県在住のサラリーマンで年齢は40代後半です。勤続30年で属性が良いため、悪い業者からカモにされるタイプです。失敗パターンとしてはよくある感じで、1戸目に新築区分マンションを買っています。

 

「2016年10月に新築マンションの社長と知り合って大阪のワンルーム区分マンションを買いました。利回り3%後半でキャッシュフローは月々マイナス3000円という残念な投資です」 と一噛さん。

 

その後、利回り7%程度の築古区分マンションを買い足して2戸でプラマイゼロとなったものの、「これじゃいかん!」と一念発起しました。

 

そして、昨年の11月にボロ戸建てとボロアパートをローンで購入しました。戸建ては3カ月DIYをして、相場4万5000円のところ6万3000円で貸すことに成功しています。

 

●一噛さんの物件一覧

①大阪府O市 RC造マンション(区分)

1740万円 利回り約3%

 

②大阪府O市 RC造マンション(区分)

730万円 利回り約7%

 

③兵庫県T市 木造戸建て

420万円 DIYで利回り18%

 

④ 大阪府T市 重量鉄骨アパート

930万円 DIYしながら客付中 想定利回り16~18%

 

「そもそも自分はDIYの経験はまったくありません。ただ、『俺ならできる!』という根拠のない自信があって、自分を信じただけです。今、T市の物件を必死でDIY中です。土日はフルで作業しているんで妻から愛想をつかされています」

 

これは、すごく大切なマインドで「なんとかなる」ってがんばれば、なんとかなるものです。そうして一噛さんはT市のアパートに次のようなリフォームを行いました。

 

外階段塗装(DIY済)

屋上防水(DIY済)

空室のクロス貼り(DIY済)

高速インターネット敷設(通信会社が無料で)

分電盤の増強(業者・ゲームのため!)

正面外壁塗装(業者)

1階の事務所をバイクガレージとして改造(DIY中)

 

DIY、業者分併せてリフォーム予算は200万円です。仕上げ中なのでまだわからないですが、満室想定で賃料を低く見積もって利回り16%、理想の賃料だと18%が目標です。T市といえば、6月の西日本地震の震源地ですが、被害はほどんとなかったそうで良かったです。 ちなみに一噛さんのT市のアパートは安く買えてはいますが、なかなかの難関物件です。

 

「買ったときは4室中3室空き。25000円で入居者のつかない11平米の超狭小アパートで、売主さんも空室を埋めることをあきらめていたようです。そこで僕はコンセプトを打ち出すことにしました。『ゲーマーの秘密基地』ってことにしてゲーム好きを集めようと思ったんです」

 

そんなふうに決めてDIYと並行して、客付で動いたところ3万円で申込みが入ったそうです。あと空室は2室です。

 

一噛さんの事例はまだまだ成功とはいえませんが意欲的に行動しています。 もしかして想定していた賃料では客付は難しいかもしれません。しかし安く買えていますから、最終的には何とかできる規模の物件といえます。

 

くわえて、ボロアパートを自分の手で再生して、客付を行った経験はこれから彼が投資をしていくうえで大きな武器となることでしょう。 一噛さんは出会ったころ「とりあえず投資規模50億円を目指します!」と言っていましたが、今はそのようなスタンスではありません。

 

「まずは小さい物件をコツコツ増やしていきたいです」と言っています。それは、それでOKではないでしょうか。小さな失敗と成功を積み重ねて強くなっていきましょう!

地域のニーズをつかんで「適正な価格」で貸し出す

新築アパートを持ったことがない僕が偉そうなことはまったく言えませんが、少なくとも「新築アパートだから安全安心!」なんてことはないのが認識できました。

 

そもそも、戸建てに比べてアパートは、オリジナル要素が作りにくいのです。客付も戸建てに比べて、まぐれもなければ一発大当たりもありません。相場をきちんと把握しても、今後の近隣の家賃下落にも巻き込まれやすいという部分もあります。

 

僕は小心者なので、あまり物件を長く所有しようとは思っていません。成績が特別に良い物件以外はせいぜい5年までと考えています。購入時に常に売却を意識しているので、シビアな計算もしないしどんぶりで儲かる物件以外買いません。

 

そう考えると新築はきちんとまわりの環境をリサーチできる人がするべきです。僕がしている中古再生物件のように、どんぶり的な考え方では取り組めないと思います。新築アパートでも土地を安く仕込んで、知恵を絞ってプランニングして、安いビルダーを使えば相場よりも安く建てることは可能です。

 

しかし、それは難易度が高く資金力も必要です。かといって簡単に買えるようなアパートメーカーが建てる新築は、割高で物件の競争力もないことが多いです。そうやって考えると、僕自身は中古アパートのほうが魅力に感じています。

 

人が住まなくなったハザードエリアで投げ売られているような築古アパートを購入して、地域最安値で賃貸に出して高利回りで運営している人。空室率が異様に高い供給過剰なエリアでも生活保護者をターゲットにして満室稼働させている人。その地域のニーズをつかんで適正な価格で貸し出せば、住んでくれる人はいるものです。ただし、その適正な価格がとんでもなく低いエリアもあるわけですから、やはり安く買うことが大切なのです。

 

安く買うとなれば、どうしても古くてボロくなるわけで、僕のように崩れ落ちたような廃屋アパートを買わないまでも、今回の一噛さんのように「空室率が高い」「物件が荒れている」「とにかく、あちこち壊れている」というような難のある物件を安く仕込んで、再生することになります。

 

先日仕入れた大阪市内で比較的安値で抑えた土地に、新築アパートのプランを作って入居家賃相場の調査に出してみたところ、近隣にある新築1Kの家賃が共益費込みで5.5万円でした。

 

一般的な金融機関は新築アパートへ融資を出す姿勢が強いですが、僕のまわりの金融機関は、新築よりも今まで通りシェアハウスか生活保護向けの再生物件の家賃4万円弱に対して、7年~10年のリフォーム融資を勧めてきました。入居者は天と地ほど違う属性になるけれど、家賃の差額はたった1万円弱・・・。とても悩ましく思っています。

 

さらに言えば、最近巷ではその下の2万円台の狭小ワンルームの空室が目立ってきています。生活保護よりも下の価格帯に2万円台の家賃がありますが、入居者属性は最下層となることに加え、入退去の出費のダメージも大きいです。2万円の部屋を埋めるために、10万円のリフォームをしたり、広告料を6万円払ったり。ちょっとした出費でも家賃の何カ月分がかかってしまうのです。

 

もし、あなたが家賃下落で困っている狭小ワンルームを持っているなら、シェアハウスや外国人の相部屋で起死回生に挑戦してほしいと思います。

 

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