高い期待を背景に、ブラジル大統領就任

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ブラジル通貨レアルは米国金利動向など海外要因と、政治動向など国内要因が変動を左右する傾向が見られます。レアル安はインフレ率上昇を伴う傾向があり、仮にインフレ率が上昇すれば消費を抑制することも懸念されます。海外要因はさておき、ブラジルの国内要因、特に政治動向のポイントを述べます。

ブラジル大統領就任:右派のボルソナロ大統領誕生

ブラジルのジャイル・ボルソナロ氏が2019年1月1日に議会で宣誓し大統領に就任しました。過激な発言やポピュリスト(大衆迎合政治家)的姿勢で「ブラジルのトランプ」と呼ばれることもある一方、ブラジル政界に広がる汚職の撲滅や悪化の一途をたどる治安の回復への期待が高まっています。

 

過去の過激な発言の中には差別的な発言も含まれており、物議を醸してきたボルソナロ氏ですが、就任演説では「差別や分裂のない社会を建設する」と述べています。

どこに注目すべきか:レアル、インフレ率、閣僚人事、年金改革

ブラジル通貨レアルは米国金利動向など海外要因と、政治動向など国内要因が変動を左右する傾向が見られます(図表1参照)。レアル安はインフレ率上昇を伴う傾向があり(図表2参照)、仮にインフレ率が上昇すれば消費を抑制することも懸念されます。海外要因はさておき、ブラジルの国内要因、特に政治動向のポイントを述べます。

 

[図表1]ブラジル政策金利とレアル(対ドル)レートの推移

日次、期間:2013年1月7日~2019年1月7日、政策金利はSELIC
日次、期間:2013年1月7日~2019年1月7日、政策金利はSELIC
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

[図表2]ブラジルのインフレ率の推移

月次、期間:2013年1月~2018年11月、インフレ率は前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
月次、期間:2013年1月~2018年11月、インフレ率は前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

結論から述べると、ボルソナロ大統領への期待は高まっていると見ています。年金改革など難問に取り組むことが期待される同政権にとり、世論の支持は追い風と見られます。

 

ただ、期待の裏返しとしてあえて懸念材料を述べるならば、議会との対話などに気がかりな点もあります。

 

 

ボルソナロ大統領の就任演説では、汚職撲滅などへの意気込みは高い一方、構造改革など財政政策の詳細は多くを語っていないなど、不透明な面は見られますが、それでも、既に公表された主要閣僚の指名メンバーの顔ぶれから、改革への期待が高まっています。昨年10月の決選投票におけるボルソナロ氏の得票率は55%程度でしたが、足元の世論調査では7割以上が新政権への期待を示しています。

 

では、具体的に何が支持を引き上げたのか?

 

例えば、年金改革への期待としては、下院議長に年金改革やビジネスフレンドリーとして知られるロドリゴ・マイア(Rodrigo Maia)議員の下院議長への再任支持が考えられます。議長の選出は議会が開始される2月となりますが、現地の報道などによると、マイア氏選出について既に200近い議員の同意を固めた模様です(下院定数は513)。

 

汚職撲滅への対応も世論の支持を高めたと見られます。

 

例えば、汚職撲滅で有名になったモロ(Moro)氏を法務大臣に指名しています。

 

ボルソナロ大統領の閣僚人事の傾向は、人物本位で新鮮です。ただ、あえて懸念を述べれば、政党力学(政党に所属する議員の数)に対する配慮が見られない点は気がかりです。ブラジル議会は30程度の政党に分かれ、政策を具体化するには連携や連立が求められます。政党力学への配慮に不安のある閣僚人事が議会運営においてボルソナロ大統領の足かせとなる可能性も考えられます。

 

どこに注目すべきか? 目先は2月にマイア議員が下院議長に決まるかが注目されます。次に、19年中頃に本格化すると見られる年金改革の議論の行方に注目が必要です。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『高い期待を背景に、ブラジル大統領就任』を参照)。

 

(2019年1月8日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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