クラウドファンディングが抱える「最大のリスク」とは?

今回は、クラウドファンディングのタイプごとのリスクを見ていきます。※本連載は、株式会社パブリックトラストの代表取締役である佐藤公信氏の著書、『クラウドファンディング2.0』(日本文芸社)から一部を抜粋し、新時代のクラウドファンディングについて解説していきます。

寄付型・購入型には、債務不履行によるトラブル懸念も

クラウドファンディングには、リスクもあります。

 

最大のリスクは、資金を集めた相手が約束を履行しないことです。これは、寄付型、購入型、融資型、ファンド型のいずれでも起こりえます。

 

クラウドファンディングに限らず、日常社会でも起こることですから、クラウドファンディング固有のリスクというわけではありません。

 

ただ、クラウドファンディングは、多くの人(クラウド)を相手にしたものですから、被害者の数は従来よりも拡大する可能性があります。クラウドファンディングが広がれば広がるほど、玉石混淆でいろいろな人が参入してきますから、「騙された」というケースも出てくるでしょう。

 

そういう意味では、出資する側の人には、情報を見て、きちんと判断する目利き能力も必要です。

 

寄付型、購入型は、どういうプロジェクトがサイトに掲載されるかは、プラットフォーマー次第です。

 

掲載されるプロジェクトは、プラットフォーマーの審査を受けて、ある程度の質は保たれていると思いますが、信憑性の低いプロジェクトも交じっているかもしれません。各プロジェクトの情報開示や透明性確保はプラットフォーマーに委ねられています。

 

寄付型、購入型のプラットフォーマーは、金融商品取引法の規制を受けておらず、免許は不要ですから、プラットフォーマー自体が信憑性が低いということもあり得ます。

 

購入型のプラットフォーマーはたくさんありますので、プラットフォーマーをきちんと選んだほうがいいでしょう。

 

また、プラットフォーマーのサイトの情報を全面的に信用することなく、自分でネットを検索して、プロジェクトの情報を集めることも大切です。

 

寄付型の場合は、もともと戻ってこないお金ですから、債務不履行でも金銭的にはあきらめがつくかもしれません。

 

しかし、善意を踏みにじられたという思いは残ります。金銭的リスクよりも、心理的リスクのほうが大きいかもしれません。

 

購入型の場合は、予約購入に関連するリスクが伴います。商品の開発が遅れているとか、商品が送られてこないといったリスクがあります。あるいは、商品が送られてきたけれども、サイト上で告知していたものとは違ったということもあるかもしれません。「期待外れだった」ということもあるでしょう。

 

購入型は、金額的には数千円から数万円でしょうから、そのくらいの金額のリスクが伴います。購入型の場合、調達目標金額に達しない場合には、プロジェクトが成立せず、返金されるタイプのものもあります。

 

いずれにしても、寄付型も購入型も、債務不履行によるトラブルがないとは限りません。詐欺的なことが横行すれば、何らかの法規制がかかるかもしれません。

株式投資型は出資金額の大きさ自体がリスクに

寄付型、購入型の場合は、主に商取引に関するリスクですが、融資型、ファンド型、株式投資型の場合は、それに加えて金融商品としてのリスクが伴います。

 

融資の場合は、予定していた利回りが確保されないリスクがあります。事業が計画どおりにいかずに収益を上げられないと、返済できる原資が減ります。最悪の場合は、融資した資金が貸し倒れになることもあります。

 

債務不履行が起こった場合には、回収が図られ、回収した金額をもとに分配されます。プラットフォーマーもさまざまな手法で債権の保全をしていますが、まったく回収できずに1円も戻ってこないこともないとは言い切れません。

 

融資型は、プラットフォーマーを通じて「他人にお金を貸すこと」と同じですから、貸し手としてのリスクを引き受けなければなりません。貸し出しをする金額を抑えれば、収益は減りますが、リスクは減ります。

 

ファンド型も、融資型と同様のリスクがあります。事業が計画どおりに行かずに収益を上げられないと、配当が減ります。まったく配当されないこともありえます。ファンド型クラウドファンディングに参加することは、ファンドに対して投資をすることですから、投資に関連するリスクが伴います。

 

株式投資型は、1人当たりの出資金額が高額です。他のクラウドファンディングとは桁が違いますから、それだけリスクも大きくなります。

 

株式投資型は、投資した会社がIPO(新規株式公開)すれば市場で換金できますが、IPOできなければ換金する方法はありません。日本の株式市場では、現在のところ、IPOの確率はかなり低いのが実情です。

 

株式投資型クラウドファンディングの本質は、「未公開株への株式投資」です。未公開株投資にはかなりのリスクがつきものであり、その点が他のクラウドファンディングとは大きく違う点です。

 

未公開株投資には、グリーンシートの先例があります。グリーンシート銘柄も、IPOを目指す会社が集まったものでしたが、登録された会社でIPOした会社は多くはありませんでした。

 

私自身、グリーンシートのときには失敗をしています。小は数十万円から、大は数百万円に至るまで、かなりの出資をしましたが、私が出資した会社はIPOすることができませんでした。

 

目利き能力が低いと言われればそれまでですが、やはり、どのビジネスが成功するかを見極めるのは非常に難しいものだと実感しています。

 

株式投資型クラウドファンディングは、未公開株投資です。未公開株に投資をするときには、リスクを踏まえたうえで投資をすることが必要です。流動性リスク、値下がりリスクなど、株式投資に伴うリスクがあります。

 

重要なのは、その事業や経営者への共感です。支援したいという気持ちで事業の成功を願い、たとえ将来うまくいかなくても、支援してきたことで満足できるくらいの覚悟が必要でしょう。

 

1960年生まれ。千葉県出身。株式会社パブリックトラスト代表取締役。クラウドファンディング・コンサルタント、および、起業家の夢を企画にする専門コンサルタント。
立教大学社会学部卒業後、12年間、株式会社クレディセゾンで企画業務に携わる。構想を企画にするノウハウと戦略構築の手法を独自に体系化、ストラテジックタワー(戦略四角錐)を考案。
2000年、株式会社パブリックトラストを設立。「誰でもわかりやすく、一流の経営戦略を作れる」をコンセプトとしたオリジナルメソッドで、これまで2000人以上の社長の事業計画書作成を支援。同時に、株式投資型クラウドファンディング(IFO)で投資資金を調達する支援を、前身のグリーンシートの頃から行なっている。コンサルタント会社として支援数は全国一。
クラウドファンディングやベンチャーキャピタルからの資金調達、IPO、戦略構築、イノベーションセミナー等を定期的に行なっている。

著者紹介

連載「共感」が広げるビジネスの可能性…クラウドファンディング2.0

本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本文芸社、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

 

クラウドファンディング2.0

クラウドファンディング2.0

佐藤 公信

日本文芸社

クラウドファンディングで日本のビジネスが変わる! インターネットを介し、少額出資を広く募るクラウドファンディング。ベンチャー企業、スタートアップ企業、企業内企業の事業資金の調達のほか、未公開株式への投資にも最適…

 

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