今回から、日本の地方都市における「ご当地特有」の不動産賃貸管理ルールを紹介していきます。※本連載はハウスリンクマネジメント株式会社代表・菅谷太一氏の著書『人口減少時代を勝ち抜く 最強の賃貸経営バイブル』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、不動産管理のスペシャリストによる「入居付け」の極意を紹介します。

地場の管理会社に「賃貸管理のご当地ルール」を聞く!

サラリーマン投資家は物件の購入のみにフォーカスしがちですが、不動産投資は物件を購入してからが本当のスタートです。いかに円滑に高稼働させるか・・・つまり賃貸管理が大切。本記事は主に東京都、神奈川県の不動産について述べていますが、賃貸不動産はもちろん全国にあります。今回から、全国の管理会社が行った調査の一部を紹介します。

 

 

北海道:日本最北端の都道府県で、周りを三海に囲まれる島である

宮城県:東は太平洋に面し、西は奥羽山脈に接する。農業、漁業ともに盛ん

富山県:県内にそびえる飛驒山脈は温泉とスキー場で有名

愛知県:中部地方の県で最大人口、日本全国で第4位の人口を有する

大阪府:近畿地方にあり、日本のほぼ真ん中に位置する。日本屈指の商圏

福岡県:九州の北に位置し国内外の交通の結節点となる

 

 

北海道の賃貸需要は1R、1LDK、宿泊施設も人気

 北海道 

 

基本データ

◎人口:533万9539人(平成30年/2018年1月1日)

◎総世帯数:277万2845世帯

◎県庁所在地:札幌市

 

この不動産会社に聞きました!:株式会社三光不動産

管理戸数:11,500

戸賃貸管理物件:1,158

賃貸仲介窓口:6店舗札幌市周辺、北広島、江別、厚別など(管理手数料:一戸1,500円から)

管理手法:リーシング業務は、担当が15名で2週間に1回営業をしている。他社へ入居付けのお願いのための営業も行う。

 

[図表1]

 

北海道札幌市の概要

 

北海道の中心都市である札幌市は、日本最北の政令指定都市です。季節ごとの気温差ははっきりしており、夏は涼しく冬は積雪・寒冷が特徴となっています。人口の規模は日本5位で、主な産業は小売業・飲食業・サービス業などといった第3次産業の割合が最も高いです。札幌時計台、北海道庁旧本庁舎、大通公園といった観光スポットも多数あります。

 

※人口世帯数は各都道府県HPより、「平成30年(2018)1月末もしくは1月1日現在」

 

北海道札幌市の賃貸動向

 

物件の特徴は冬に雪の吹込みがあるため、外廊下のないつくりの物件が大多数を占めています。また1年を通して涼しい気候の北海道には蚊が少なく、網戸がないテナントビルも多く存在します。設置したい場合は入居者が別途費用負担し設置することになります。窓は二重サッシで保温性を保っています。

 

設備としては、エアコンの設置が10%ほど増加の傾向にあります。レンジはガス、ストーブは約70%が灯油を使用します。給湯器は90%程度がガスで、電気と灯油を使用したものが5%ずつといった割合となっています。なお灯油代は入居者負担となります。

 

築古物件には灯油タンクが設置されており、各戸用にメーターで使用量が分かるようになっています。

 

札幌市を中心とした賃貸需要は1R、1LDKが人気です。シングルの需要は70%程度、残り30%はファミリー層が占めています。また、土地柄、観光客が多いため宿泊施設の需要も高く、有名歌手のコンサート時には供給が追い付かない状況となっています。

 

最近では外国人の観光客がとても増え、ホテルだけでなく、民泊の需要も増加しています。マンションの一室を民泊として貸し出すよりも、一戸建てを民泊として貸し出すほうが、外国人旅行者にも家族の旅行者にも需要があるだろうという見解があり、今、一戸建てタイプの民泊が注目を浴びています。

 

札幌には数多く不動産会社があり、現在も増え続けています。独立した人たちが会社を創って営業を行うケースが多いと聞きました。昔ながらの地主さんは大手不動産会社と手を組むケースが高く、中小規模の不動産会社が介入し、顧客として契約に至るまでには苦戦を強いられています。管理会社の競争は激しく、他社管理から切り替わることもあれば、その逆もあります。

 

 

取材で北海道を訪れ感じたことは、なにより豊かな食材に恵まれ、素敵な地であるということです。先月発生した北海道地震が影響している物件もあり、入居者や物件所有者に被害をもたらしているようです。現在でも余震が続いており、まだまだ不安な日々を過ごしているとのことで、一日も早く復興されることを心より願っております。北海道地震で観光客が減ってしまうという2次的な被害を受けており、本書を読んでいただいている読者にも足をお運びいただけたらと思います。

 

[図表2]札幌の街並み

 

[図表3]札幌の時計台

 

 メモ  

三光不動産は、北海道札幌市から30分圏内で営業しており、北海道で第3位の管理戸数を誇っている管理会社です。これは15年間の努力の結晶であるそうです。三光不動産最大の武器はその入居率の高さで繁忙期96.5%、閑散期94.5%。客付けの内訳は、三光不動産:35%、アパマンショップ:17%、他社:48%と、幅広いリーシング活動をしています。

社員が若いのも特徴で、全社員(管理部門:54名、パート・契約:8名、オーナー担当:17名)の平均年齢は32歳。

管理を増やすために、謄本などで物件を所有しているオーナーを調べ、新しく管理受託できるよう、新規開拓を行っているそうです。また、創業当初から欠かさず【オーナー新聞】を月1回送っており、オーナーのなかには新聞をしっかり保管してくださる方もいるほど、読み応えのある素敵な新聞となっています。

 

 

菅谷 太一

ハウスリンクマネジメント株式会社 代表取締役 宅地建物取引士/液化石油ガス設備士/丙種ガス主任技術者

 

人口減少時代を勝ち抜く 最強の賃貸経営バイブル

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菅谷 太一

幻冬舎メディアコンサルティング

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