今回は、集客と賃貸需要についてみていきます。※本連載はハウスリンクマネジメント株式会社代表・菅谷太一氏の著書『人口減少時代を勝ち抜く 最強の賃貸経営バイブル』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、不動産管理のスペシャリストによる「入居付け」の極意を紹介します。

日本の「地域別将来推計人口」を調べるには?

現在の日本は人口減少大国であり、先進国のなかでは一番高齢化が進んでいます。そして、労働人口も確実に減少しています。そのなかで賃貸需要も今後はかなり変化していくことが予想されます。

 

それでは、そもそもどのエリアで人口が減少するのでしょうか?

 

私が経営する会社は東京と神奈川を中心に展開している不動産会社ですが、一部埼玉県さいたま市、千葉県の西部にも対応しています。それぞれどのような特徴のあるエリアなのかを理解しているつもりですが、それでも場所によっては把握しきれない部分もあります。ですからインターネットでエリアを検索するとともに人口動態を確認します。データを調べるために『統計メモ帳』というウェブサイトを活用しています。良いところはスマートフォンからすぐに人口動態を見られる点です。これらのデータは国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口」、総務省統計局の「国勢調査」に基づいています。

 

ちなみに私の経営する会社のエリアを検索すると人口が増加するエリアは非常に少なく、人口減少に伴い賃貸需要も変化し続けていきます。そのため、賃貸需要が減少したとしても、ライバル物件に負けないような設備や間取りの物件にすることが入居付けの(入居募集)ポイントになります。

 

 

エリア内のライバル物件、相場家賃を確認する

空室を埋めるためには、エリア内にライバル物件が何件ほど存在し、相場家賃がどの程度であるのかを確認するのが大切です。そのための参考になる情報としてレインズがあります。Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称で、国土交通大臣から指定を受けた全国4カ所の不動産流通機構が運営している不動産情報交換のためのコンピュータ・ネットワーク・オンラインシステムです。指定流通機構の会員である不動産業者の端末機(パソコンなど)と結び、物件の登録検索等をすべてオンラインで迅速に処理しています。

 

簡単にいえば、不動産業者間で流通する物件情報が掲載された情報ネットワークです。レインズには常におとり広告(客寄せのための架空広告)などの不当表示が存在しないようにチェックする機能があります。そのためおとり広告を掲載して業務停止命令を受ける業者がいます。他のポータルサイトは一企業が自社の利益追求を目的として運営されていますので、物件の掲載内容にチェックを入れるポータルサイトはほぼ存在しません。

 

レインズで検索する方法としては「最寄りの駅からの徒歩」「間取り」「築年数」があり、条件を打ち込んで物件情報を抽出します。1㎡あたりの家賃の単価が出てくるので、そこから家賃が算出できます。

 

これを相場家賃といいますが、まだ成約をしていない募集の家賃となるため、この条件からいくら値段を下げれば成約するのかがカギになります。実際の成約家賃は、相場家賃からどのくらい下がっているのか地元の情報に強い賃貸仲介営業マンに聞く条件になりますので、直近の成約事例と近似値であるかどうかがポイントになってきます。

 

このように詳細な情報を知ることができるレインズですが、基本的には指定流通機構の会員でなくてはいけません。つまり、不動産会社専用の情報ネットワークであるため、非会員の不動産オーナーは見ることができないのです。

 

では、どのように物件情報を確認すればいいのかといえば、信頼のおける管理会社に頼んでレインズの情報を確認してもらうか、「スーモ」「ホームズ」といったポータルサイトを使ってライバル物件について検索します。レインズほど正確なデータは出ませんが、参考にはなるはずです。

賃貸仲介会社の営業マンはどのような集客をしているか

成約家賃を考える際には、家賃の金額と募集条件(広告料・フリーレント・初期費用)のバランスになりますので、条件を下げすぎないように仲介会社の営業マンと打ち合わせることをお勧めします。

 

JR中央線沿線の吉祥寺にある仲介会社の店長さんからお聞きした話ですが、最近の中央線沿線は中古物件の家賃下落が激しいエリアだそうです。

 

原因としてはテレビのバラエティ番組などで、「京王線のほうが、物価が安くてお得!」と放送され、家賃相場も京王線は中央線に比べて低めに設定されていることが広く認知されたことが理由だといいます。その結果、地方から上京してきた人に対して、「京王線がお得!」という潜在意識が働き、学生や新社会人に人気が上昇しました。

 

それに対して中央線沿線では競争原理が働き、国分寺や西国分寺などを中心に家賃下落が始まっています。このように仲介会社は賃貸の変化を詳細に読み取っているのが分かります。

 

そもそも賃貸ニーズの強い東京であっても賃貸物件の数は多く、部屋余りの状況です。物件の数が多い分だけ賃貸仲介会社も多く存在しています。差別化しづらい賃貸仲介業界において、収益を上げている賃貸仲介会社はなぜ賃貸事情の変化を理解しているのでしょうか。それは入居希望者の「お部屋を探したい!」というニーズを確保するための集客ができているからです。

 

 

ここで、賃貸仲介会社の営業マンはどのような集客をしているのか紹介しましょう。

 

・物件情報を各ポータルサイトに多数掲載し、反響があった入居希望者に対応する

・口コミ(紹介)により入居希望者を確保する

・法人提携により転入者へ対応する

・大学の生協に加盟し、反響を確保する

・内見代行を行い、成約を確保する

 

このように地道な集客を行っています。しっかり集客ができている強い賃貸仲介会社とは、部屋を探すお客様が常に絶えない賃貸仲介会社です。基本的に賃貸仲介会社は、自社で管理をしている物件から紹介して、次に広告料が高く収益性が高いものを紹介するため、必ずしも入居希望者のニーズに応える営業をするわけではありません。

 

自社の収益になる物件で、なおかつ成約につながる家賃価格帯をしっかり把握しているものです。そして、自社の収益性が高いものから物件紹介をしますので、自社の収益になる広告料が高い物件で、決まりやすい家賃帯をしっかり理解しているのです。

 

 

菅谷 太一

ハウスリンクマネジメント株式会社 代表取締役 宅地建物取引士/液化石油ガス設備士/丙種ガス主任技術者

 

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