賃貸経営で満室以上の収入を増やすことは難しい
賃貸経営で「支出を減らす」改善を考えていきます。
空室を埋めて、収入を上げるだけでは、お金はそれほど残りません。支出を減らさないと、お金は残りません。水道の蛇口を力いっぱいひねって水を出しても、バケツに大きな穴があいていれば、水が貯まらないのと同じです。
また、賃貸経営は、一般の事業とは大きく異なる点があります。それは、満室以上の収入を増やすことは難しいということです。
賃貸物件の部屋数というキャパシティは決まっているわけですから、満室以上に賃料が入ってくるとすれば、家賃を値上げするしかありません。しかし供給が過剰な賃貸市場の現状では、値上げすることは至難の業なのです。
もっというと、年数とともに値下げも想定しなければなりません。すると、支出を削減していく努力をしていかないと、よりお金が残らない状況になります。
まずは「経費にならない支出」から見直そう
では、どこから支出を削減していけばよいのでしょうか?
優先順位としては、次のような優先順位で見直していくのがよいと考えます。
[支出は優先順位をつけて見直す]
①経費にならない支出:生活費、借入金の元本
②固定費:収入の増減にかかわらず一定額かかる費用
(例)火災保険、メンテナンス費用、借入金の利息など
③変動費:収入の増減に比例してかかる費用
(例)管理を委託する場合の管理費、水道光熱費など
経費になる支出を減らすと、税金が増えてしまいます。支出の削減効果としては、薄くなってしまうので、まずは、「経費にならない支出」を見直すべきです。
次に、「経費になる支出」を見ていきます。収入に比例する変動費を減らすのは、収入を上げることと矛盾してしまうので、後回しにします。
収入とは関係しない固定費であれば支出だけを下げられるので、固定費優先になるのです。
通帳は、事業用と生活費用で分けているか?
資金繰りに困っている大家さんの相談を受けていて、いつも感じるのは、賃貸経営でどのくらいお金が残るのかを把握していないということです。
その原因は、事業の資金と生活費の資金をごっちゃにしていることです。家賃が入ってくる預金口座から生活費を必要なたび下ろしていると、「毎月いくらお金が残る」のかわからなくなります。すると、「毎月いくら生活費で使っている」のかもわからなくなります。
家賃は毎月入ってきますから、あるだけ使えるという気持ちに陥りやすいのです。気づいたら毎月かなりの生活費を使っていることもよくあります。ですから、まずは、事業用の通帳と生活費用の通帳を分けることが必要になります。
分けた後は、事業用の通帳から生活費用の通帳に毎月決まった日に、いくら振り込むのかを決めることです。お給料日をイメージしてもらえるとわかりやすいでしょう。
たとえば、毎月1日に40万円を事業用の通帳から生活費用の通帳に移動して、40万円の範囲内で生活をすることになります。
その際、生活費を見直すこともオススメします。
[生活費の削減に直結する4つ]
①生命保険
②住宅ローン金利
③通信費(携帯代)
④自動車ローン、自動車保険
など見直すと削減に大きくつながります。
家計診断などは、ファイナンシャルプランナーが専門としてやっています。携帯電話の通信料など、契約プランを見直すだけで節約できるものがあります。何が削減できるのか専門家に相談してみるのもよいでしょう。
この通帳分けは必ずやってください。いくら出ていくかがザックリわかると、自然と生活費の見直しができます。
渡邊 浩滋
税理士・司法書士渡邊浩滋総合事務所代表 税理士
司法書士
宅地建物取引士