今回は、修繕費の削減する見積書の見直し方について見ていきます。※本連載では、税理士・司法書士で、渡邊浩滋総合事務所代表の渡邊浩滋氏の著書、『税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営』(ぱる出版)から一部を抜粋し、賃貸経営で収入を増やすためのキャッシュフロー改善術をレクチャーします。

見積書の記載内容を把握し、必要な修繕かを区分する

収益不動産のリフォーム時に、見積書をもらったら、次の手順で修繕項目を見直します。

 

[見積書のチェックポイント]

①見積書の工事内容と金額を書き出す

②必須な修繕かどうかを区分する

③「必須でない修繕」のする・しないを決める

④「修繕をやる」と決めた項目について、代替可能なものがないか検討する

 

①見積書の工事内容と金額を書き出す

見積書の工事内容をちゃんと見ている大家さんは少ないと思います。

 

工事内容は口頭などで説明は受けていても、見積書に書かれていることが、よくわからないということで、記載内容を見ようとしないのです。

 

見積書の記載内容をまずは書き出してみて、どこにどのような工事をするのか、その工事ひとつひとつがいくらなのかをきちんと把握することが重要です。

 

親しいリフォーム業者さんだと、見積書を出さなかったり、見積書は出したとしても、内訳が書かれていなかったりする場合がありますが、そこは、きちんと出してもらいましょう

 

工事内容と金額がわからない状態で発注するのは、普通の事業ではありえない話だと思います。

 

もし工事項目が専門的に記載されていてよくわからないのであれば、リフォーム業者さんに聞いてください。

 

その点を曖昧に済ませてはいけません。

 

②必須な修繕かどうかを区分する

次に、「書き出した工事項目が必須なものなのかどうか」を区分します。

 

必須かどうかという判断は、壊れた箇所を直す、汚くなった壁紙を張り替えるなど、「そこを直さないと入居しないだろう」という部分です。

 

その基準で区分をしていくと、必須な修繕ではない工事項目が意外に多いのではないかと感じると思います。

 

業者に丸投げはダメということですね。

やった方がよい修繕かを数字で評価し自動的に判断する

③「必須でない修繕」のする・しないを決める

必須な修繕にチェックが入らなかった項目について、やった方がよいかどうかを評価していきます。

 

この評価は、主観が入らないようにすることがポイントです。主観が入ってしまうと、削減できないどころか、増加してしまう可能性があるからです。

 

そこで評価基準と点数で自動的に評価する仕組みにしていきます。評価基準は次のとおりです。

 

[3つの評価基準]

①ターゲット

②キャッチコピー

③予算

 

それぞれを0点〜3点で点数をつけていきます。ターゲットの評価基準です。

 

たとえば、男子学生がターゲットなのに対して、システムキッチンを導入することがプラスに働くのかどうか、という観点で診ていきます。

 

0点・・・全く当てはまらない

1点・・・少し当てはまる

2点・・・当てはまる

3点・・・非常によく当てはまる

 

で点数付けをしていきます。

 

キャッチコピーも同様です。

 

たとえば、キャッチコピーが「収納がたくさんある部屋」であるのに、お風呂のリフォームにお金をかけても、キャッチコピーに影響を与えないことになります。

 

それであれば、デッドスペースに収納棚を取り付けたり、クローゼットをウォークインクローゼットにしたりする方が、よりキャッチコピーを引き立てることになります。

 

そのような観点で、当てはまるのか、当てはまらないのかを評価していきます。

 

あとは、予算です。

 

その工事や設備が、費用対効果として高いのか、低いのかです。

 

クローゼットをウォークインクローゼットにするのに、200万円かかるのであれば、もしかしたら費用対効果としては、合わないかもしれません。

 

ここは、なかなか判断は難しいと思いますが、ある程度の相場を知っておくと判断できます。

 

工事のたび見積書の内容を確認する経験を積んだり、別のリフォーム業者に見積もりを出してもらい比較などをすると、相場観がわかってきます。

 

0点・・・費用対効果が全くない

1点・・・費用対効果が多少ある

2点・・・費用対効果がある

3点・・・費用対効果がとてもある

 

これら3つの項目の合計を出していき、数値が高いものは残し、低いものはやらないと決めます。数字でハッキリと表れれば、躊躇なく判断することが可能です。

実行すると決めた項目の中で、更に金額を絞れるか検討

④「やる修繕」の代替案を検討する

最後に、修繕をやると決めた項目を見渡し、もう少し金額が落とせそうなものがないかを確認します。

 

たとえば、照明器具がLEDの照明器具を設置する見積もりになっていた場合、蛍光灯に替えることによって金額は下がります。

 

このように、グレードダウンするものに代替することによって金額が下がらないかを検討します。

 

当然、グレードダウンすることで、見栄えや、耐久性が悪くなって、賃貸物件として支障をきたすものであれば、無理にやる必要はありません。

 

他には、自分で調達することで、費用が抑えられることもあります。

 

たとえば、リフォーム業者にエアコンと、その取り付けを依頼するよりも、電気量販店でエアコンを買ってきて、取り付けてもらった方が安くなることもあります。

 

ドアノブやシャワーヘッドなども、ホームセンターで調達できますし、簡単に取り付けられることもあります。

 

これらも電気量販店やホームセンターに足を運んで、自分の目で品揃えや金額を常に確認しておくことが大事になります。

 

このような「日々の地道な努力が支出を削減できるかできないかの分かれ道になる」といっても過言ではありません。

 

数値の把握→スクリーニングをしたあと、実行すると決めた項目をさらにつめましょう。

 

[図表]修繕費削減シートの例

 

 

 

渡邊 浩滋

税理士・司法書士渡邊浩滋総合事務所代表 税理士

司法書士

宅地建物取引士

 

税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営

税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営

渡邊 浩滋

ぱる出版

本書は、大家さんの賃貸経営におけるキャッシュフロー改善の教科書です。 著者の渡邊さんは税理士業を行いながら、大家業も行う「税理士大家さん」ですが、経営状態の改善ノウハウには定評があります。渡邊さんは、税理士試…

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