今回は、賃貸物件における変動費の削減方法等について見ていきます。※本連載では、税理士・司法書士で、渡邊浩滋総合事務所代表の渡邊浩滋氏の著書、『税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営』(ぱる出版)から一部を抜粋し、賃貸経営で収入を増やすためのキャッシュフロー改善術をレクチャーします。

電気代、管理会社の管理費を見直す

(1)比較サイトで電気代を今日から削減

 

共用部の電気代も年間にすると数万円〜数十万円になります。特に、エレベーターがある物件では、月々の電気代で数万円になることが多いです。

 

これらは、使用料に応じてかかるものなので、仕方ないと思われがちですが、2016年4月から、電力の自由化が行われました。いままでは、地域の決められた電力会社との契約しか認められていなかったものが、新規参入する電力会社との契約も認められることになりました。どこの電力会社と契約するかによって、簡単に電気代が下げられる可能性があります。

 

「電力会社が潰れたら、電気が供給されないのでは」と思いがちですが、そうではありません。電気を送電する会社は変えずに、契約窓口だけ替えるというものになります。たとえ、電力会社が潰れても、変更する前の電力会社に切り替わることになるので、心配することはありません。電力会社を比較するサイトもありますので、一度確認してみてはいかがでしょうか。

 

(2)ズサンにならない管理費削減のコツ

 

管理会社の管理費は、家賃収入の5% 程度が相場になっています(地域によって異なるところもあります)。

 

しかし、「管理する内容は同じでも、家賃が高いところと低いところで、払う金額が異なる」というのも疑問に思うでしょう。

 

パーセンテージではなく、金額として高い管理料を払っているのであれば、管理料を下げる交渉をすることも検討するべきかと思います。

 

もしくは、「管理料が低い管理会社」「1室あたりいくらと定額で管理してくれる管理会社」もありますので、いっそ管理会社を変えてしまうということも支出削減につながります。しかし、管理料を下げたり、管理会社を変えることによって、管理がズサンになってしまっては、本末転倒です

 

そのため、管理会社に何をどこまで、どのくらいの頻度でやってもらえるか、契約書などで明確にすることが大事です。

 

管理内容が曖昧なまま管理をお願いしていて、実際に管理をあまりやってもらえていないという話を大家さんからよく聞きます。

 

それは大家さん側の期待と、管理会社がやることが明確化されていないため、ズレが生じた結果だと思っています。そのズレが生じないようにしっかりと明確化したいものです。

リフォームに数百万円もかけるのは愚の骨頂

(1)数百万もリフォームにかけないで!

 

賃貸経営における支出で大家さんの頭を悩ませるのは、修繕費ではないでしょうか。

 

空室が出るたび、リフォーム費用がかかりますし、古い設備であれば、交換しなければならないところも出てきます。空室期間が長いと、リノベーションといって、間取りや設備をガラッと変えて、部屋を生まれ変わらせることも必要になってきます。そこでよく大家さんから相談されるのが。

 

修繕費をいくらまでかければよいのか?ということです。

 

「家賃の○ヶ月分」などといろいろな意見はあるかと思います。しかし、明確な基準はないですし、そんな基準をつくったところで、空室が埋まらなければ意味がありません

 

かといって、空室を埋めるために、1部屋300万円も400万円も支出していたら、お金が底をついてしまいます。

 

それにもかかわらず、不動産会社さんなどに提案されるまま多額の修繕費の支出をしている大家さんがいらっしゃいます。そういう大家さんは、修繕における根本的な考え方から修正する必要があります。

 

(2)やりがちなダメダメリフォームとは?

 

不動産会社さんやリフォーム会社さんから、修繕を提案されることが多いでしょう。

 

「システムキッチンにしましょう」「畳ではなく、フローリングの部屋にしましょう」などと言われていませんか?

 

「たしかに、他の物件と比べると、ここが足りない。あそこが足りない」と思いあたります。「それじゃあ、仕方ない」といってやるリフォームは「足りないところを埋める」ためのリフォームです。

 

これはオススメしません。確かにそれによって、空室が埋まるかもしれません。しかし、また空室になったときに、他の物件と比べていたら、さらに足りないところが出てくるでしょう。

 

新しい物件はどんどん建っています。どんどん新しい設備も導入されていっています。それに追いつこうとして追いついても、また引き離されてしまうのです。このような修繕はいくらしてもキリがなくなってしまうのです。

 

そこで、私がおススメしたいのが、「良いところを延ばす」リフォームです。部屋に足りない部分があってもよいのです。それでも、この部屋に住みたいポイントがあれば、入居してくれる人はいます。

 

「良いところとは、何なのか」これが 「ターゲット」や「キャッチコピー」 なのです。これらを上手く活かすことができる修繕は積極的に行い、そうではない修繕はしないというように決めましょう。


たとえば、ターゲット「男子の学生さん」、キャッチコピー「コンビニから徒歩30秒」ならば、食事はコンビニ弁当などがメインになると思います。ですから機能的なキッチンを付ける必要がないという判断になります。

 

もちろん、コンビニが近くても、料理をしたい人もいると思いますが、そこはターゲットにしないということです。


また、ターゲットが「若い夫婦」で、キャッチコピーが「子育てしやすいマンション」ということであれば、和室は意外と重宝されることが多いです。

 

その場合、和室をフローリングにするよりも、和室を残したまま、別のところをリフォームした方がよいと判断します。


そのような観点で、やるべきリフォームとやらないリフォームを区分するようにします。

 

 

渡邊 浩滋

税理士・司法書士渡邊浩滋総合事務所代表 税理士
司法書士
宅地建物取引士

 

税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営

税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営

渡邊 浩滋

ぱる出版

本書は、大家さんの賃貸経営におけるキャッシュフロー改善の教科書です。 著者の渡邊さんは税理士業を行いながら、大家業も行う「税理士大家さん」ですが、経営状態の改善ノウハウには定評があります。渡邊さんは、税理士試…

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