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差異が解消されると判断したら、初めてそこで株を買う
スパークスの社内勉強会「バフェットクラブ」で、頻繁に議論される「投資の定義」について引き続きご説明しています。前回は、株式市場の値付けは完ぺきではなく往々にして間違えるので、企業の実態価値と価格に差が生じる場合があることを、ご紹介しました。
それでは、差が生じているなあと思ったときに、いつ、価値と価格の差が解消されるのか(差異の裁定プロセス)を考えてみましょう。それは、前回ご紹介した制度変更に依拠するかもしれませんし、今の日本経済のように、デフレからインフレ基調への変化のような構造的変化に伴うものであるかもしれません。さまざまな理由が考えられるのです。既に起こった事実にしっかり目をやって差異が解消されるものであるという結論に至ったら、初めてそこで株を買い、差異の修正プロセスに参加するのです。
主体的に参加するからこそ「差」が見えてくる
強調しておきたいのは、「主体的に参加する」という部分です。価値というのは、対象に対して受動的であっては測ることができません。客観的ということはありえず、主観的であることが価値評価には不可欠ということから、この表現を盛り込んでいます。「主体的に参加する」からこそ、実態価値と価格の差が見えてくるのです。
例えば、ソニーについて現在の株価よりも実態価値は高いという仮説を持ったとしましょう。なぜそう思ったのか。仮説を導き出すにも根拠は必要です。
ソニーが高いシェアを誇る画像処理用半導体の需要が一般に想定されるよりも大きいのか、プレイステーションが年末クリスマス商戦で期待よりも売れる可能性があるのかなど、運用者には実態価値と価格の差異が生じていると考える根拠の徹底的な説明が求められます。
「主体的に参加する」ことをしないと、仮説が外れた場合でも修正方法が見つけられず、投資は極めて中途半端でいい加減なものになってしまうからです。
スパークスを卒業し別の運用会社で働く人と、先日、話す機会がありました。彼女は、「スパークスのファンドマネージャーは、誰もが自分が投資したい会社について、情熱を持ってきちんと言葉で説明してくれた」と振り返ってくれて、とても嬉しく思いました。
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投資という人格とインテリジェンスを売る仕事のプロフェッショナルになるためには、運用者たちが「仮説を共有する」ことが何よりも大事と考えています。共有した仮説をベースに企業の実態価値と株価の差異をできる限り客観的に分析。そして最後は「主体的に勇気をもって裁定プロセスに参加する」。これこそが、スパークスウェイの原点です。
(2018年8月3日)
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