不動産管理会社を盲信して「窮地」に陥った投資家たちの事例

今回は、不動産管理会社と付き合う上での留意点を見ていきます。※近年の不動産投資ブームにより、チャレンジする人は右肩上がりに増加しています。しかし、どんな投資であっても「リスク」があることを忘れてはなりません。本連載では、物件選びの注意点から「ファイナンシャルプラン」の考え方、リフォーム、実際の投資事例まで、リスクを抑えた不動産投資の基本について、一連の流れを分かりやすく紹介します。

たいていの建設会社は、地主にサブリースを薦めるが…

土地を持っている地主がハウスメーカーや地元の建設会社で新築アパートを建てる場合、たいていの建設会社はサブリースを薦めてきます。それはどうしてでしょうか。

 

建設会社は少しでも建築請負金額を上げたいと考えています。そのため、建築費が高くても契約してもらえるよう、オーナーの喜ぶ提案をする必要があります。その手法のひとつがサブリースなのです。

 

地主は高齢化していきます。高齢地主のほとんどが相続税の対策をしていないため、「評価損を計上でき、相続税対策になるのでアパートを建てませんか?」というフレーズで営業に来るのです。

 

また、収益性というよりは賃貸ニーズの変化などによる収益減少を防ぐことができるという理由で、細かく試算することなく、サブリースでの契約をするケースも多いです。

 

それではサブリースのメリット、デメリットを解説していきます。

 

【サブリースのメリット】

●賃貸ニーズに左右されない

●空室リスクがない

●入居経費(広告費など)を払わなくてよい

 

【サブリースのデメリット】

●更新料がとれない

●サブリース管理費がかかる

●修繕費の相見積もりがとれない場合がある(サブリース会社しか修繕ができない)

●期間中に大規模修繕工事をすることが条件となる場合が多い

●入居者属性が低くなる

●契約は10年だが2年ごとにサブリースの賃料更新があり、結果的に10年でかなりの賃料ダウンとなる

●サブリースという名のもとに建築費が2~3割上がる場合が多い

●家賃保証契約ではなく、賃貸借契約である

 

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サブリース契約は「業者が利益を得る」ためのもの

例を挙げて説明していきます。

 

【物件例】

池袋駅徒歩12分

家賃月90万円

新築マンション

サブリース経費 月次家賃の10%

※2年後の賃料改定時は家賃の90%を下限に、不動産会社とオーナーの両者で料率を決定

 

家賃をシミュレーションしてみると、

 

2016年~2018年 90万円×0.9=81万円

2018年~2020年 81万円×0.9=72.9万円

2020年~2022年 72.9万円×0.9=65.6万円

2022年~2024年 65.6万円×0.9=59万円

2024年~2026年 59万円×0.9=53.1万円

 

以上のように推移し、10年間で34.5%も家賃が下落します。これは通常の賃貸としてはかなりの下落率といえます。空室は保証されるものの、家賃下落を防ぐことはできないのです。

 

そもそもサブリース契約とは、建築会社や不動産会社が利益を得るために考案したシステムです。家賃を保証している分、管理手数料が高く設定され、場合によっては契約内容自体が業者に有利な内容になっていることも多々あるのです。

 

また、契約を結んでいた不動産会社が物件の管理を蔑ろにしているケースもあります。以前、ある物件でサブリース契約が切れた途端に入居者が立て続けに退去したことがありました。原因を調べたところ、それらの部屋はゴミ屋敷同然にボロボロでした。修繕が必要な部屋であったにもかかわらず、不動産会社が適切に管理していなかったのです。契約を結んだ会社がしっかり物件を管理してくれるとは限りません。

 

なお、「サブリース契約は賃貸借契約である」という話ですが、借地借家法で判断されるため、たとえ借り主が一部上場企業勤務であっても弱者とみなされ、サブリース会社の方が保護される仕組みになっているのです。さらにサブリースを規制する法律がなく、オーナーは事業者であるため消費者契約法も通用しません。建設会社が損をすると、一方的にサブリースを解除できますので、サブリース契約をこれから行うオーナーは細心の注意が必要です。

業者の提案で、地方物件6棟を購入した医師のその後

連載の第2回、第3回で解説した、「都心駅近の物件」「表面利回りの重視」「新築物件」、そして今回取上げた「サブリース」に関する問題は、購入前に知識をつけることで回避できます。そして資料と現地の確認作業と、改善に対する依頼業務をします。加えて売り主や売り仲介会社とコンタクトをとり、その対策を打つのは売買の買い側の仲介会社(もしくは売り主)となります。

 

買い側の仲介会社(もしくは売り主)はいわば、不動産投資における最大最良のパートナーとなるべき存在です。ただし、あなたの資産形成のためにいかに親切に物件を紹介してくれるのかは、業者の良心にゆだねられることになります。そして取得後、不動産の管理運営は仲介会社が行う場合もありますが、管理はしないという売買仲介会社が大半を占めます。実際に不動産会社(パートナー)選びを誤ったことでローンの支払いが滞ってしまい、債務不履行(デフォルト)寸前の投資家は、高所得者層にさえ存在しているのです。

 

本当に困っている方の失敗例は、匿名とはいえ辛い気持ちを逆なでするようで非常に心苦しいのですが、不動産業界の裏側をお伝えすることで少しでも多くの方の失敗を防ぎたいと考え、ご紹介していきます。

 

Aさんは年収1800万円、資産3000万円という大学病院の勤務医です。自己資金0円からでもはじめられると聞き、海外留学を見据えた副収入が欲しいと考え、不動産投資を開始しました。その際、Z地所から「空室でも1年間の賃料保証をお付けすることが可能です」と提案され、初心者のAさんはZ地所の提案通りに北海道や山梨、愛知などの物件を6棟購入しました。

 

合計119ある部屋のうち65室が空室でしたが「1年間の賃料保証期間中に満室になります」と担当者から言われ、その言葉を信じて首を長くして待っていました。実際の賃貸管理はそれぞれの物件の近くにある不動産会社に再委託されている形態なのですが、「家賃保証中」と記載された送金明細書とともにZ地所から入金がありました。

 

しかし、購入から半年以上が経過しても、入居はたった4件だけでした。数カ月後には賃料保証が切れてしまうというのに、総戸数の半数近くが空室のままです。

 

その上、管理会社から以下の提案を受けました。

 

●入居者を募集するためにはもう少し家賃を下げるべき

●幅広く周知するために広告費用を家賃2カ月分かけるべき

●床とクロスをリフォームするべき

 

以上を受け、各物件の見積もりをとったところ、ぞっとすることに合計約3000万円もの出費になることが判明しました。このまま家賃保証の期限が切れてしまうと、当初予定していた家賃収入は半減し、ローンが返済できません。やむなく海外留学用に貯蓄していた3000万円を取り崩さなければなりませんでした。結局、Aさんの不動産投資は海外留学という夢の後ろ盾ではなく、後ろ向きなものになってしまったのです。

 

Aさんの場合は、「不動産会社を信用して本質を見誤り、いくつもの物件を立て続けに購入して急激に規模を大きくしすぎた」ために起きたケースでした。

親の通院費用の足しどころか、持ち出しになったケース

しかし、たとえ保有物件が1棟だけであっても、管理次第では同様の窮地に立たされてしまうことは十分にありえます。それが、次に挙げるBさんのケースです。

 

Bさんが不動産投資をはじめたきっかけは、大手不動産会社のサラリーマンとして毎日終電近くまでの勤務、土日も場合によっては出勤しなければならず、育児も妻任せになっている状態に危機感を抱き、まず経済的安定を得たいというものでした。「楽待」という投資不動産サイトを見て、千葉に目を引く物件を発見し、さいたま市にあるB不動産会社に問い合わせました。すると「その物件もいいですが、もっと高利回りの物件がありますよ」と、別の千葉の10世帯ファミリー物件を紹介してくれました。

 

入居が10世帯中6世帯と少ないものの、表面の利回りが18%であったため、大丈夫だろうと事業収支をはじくことなく購入しました。管理は地元の不動産会社に依頼しています。ところが半年経っても入居が決まりません。やがて退去も発生し、ついには3室しか入居しておらず、ローン支払いは持ち出しです。また、雨漏れが原因で、天井にシミもできてしまい、内見しても成約に繫がらないと管理会社から報告がありました。

 

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不動産会社に言われるまま、各部屋でTVが見られるようにジャックを取り付けたり、インターネット環境を整備したりしたのですが、それでも長期空室が続いています。Bさんは先の見えない不安を抱きながら経営しているのです。

 

資産形成のためにはじめた不動産投資で、逆に資産を目減りさせてしまっては意味がありません。高額の借入をして行う不動産投資のパートナーである以上、物件購入者の資金繰りについて、万が一急な修繕が発生しても経済的に対応できるように前もってアドバイスするなど、オーナーの目線に立つことが不動産会社の重要な業務です。

 

しかし、投資という性質上、「結果の責任を負うのは購入者自身」という鉄則があるため、業者都合で購入提案する販売業者はまだまだ多く、あたかも「売れば終わり」であるかのようにその後の責任は問われないのが現状です。なかには、「自分たちの利益のことしか考えていないのでは」と疑ってしまうような、モラルに欠ける不動産会社も存在します。

 

「親の介護が日々厳しいので副収入を確保して病院に入れたい」というサラリーマンに対し、新築利回り6%のマンションを金利3%で融資の手伝いをし、購入後数カ月で運用が回らずに通院費用どころではなく持ち出しになっているケースを耳にしたことがあります。相手が困っているところに、運用損が発生するとわかっていながら売りつける非道な業者さえ存在するのです。

 

不動産投資を成功させるためには、どんな投資対象にもリスクが伴うことを理解した上で投資家本人が「知識と運用方針を持つこと」が必須要件です。

 

不動産はそれぞれが異なっており、ひとつとして同じものはありません。表面を見て知りえる条件に注目するのではなく、どんな投資対象にもあるメリットとデメリットを十分に検証して天秤にかけ、自分の考える「投資の出口」に向けた不動産投資を行えば成功の確率は確実に上がります。そしてその際には、信頼できるパートナー(不動産会社)を見つけることが、実は一番の近道となるのです。

 

 

菅谷 太一

ハウスリンクマネジメント株式会社 代表取締役 宅地建物取引士/液化石油ガス設備士/丙種ガス主任技術者

 

ハウスリンクマネジメント株式会社 代表取締役 宅地建物取引士/液化石油ガス設備士/丙種ガス主任技術者

東京都八王子市出身。新卒で株式会社ミツウロコに入社。プロパンガスの営業、不動産リフォームに約10年携わり、仙台、埼玉で約500名の大家、約200社の不動産会社のサポートを行う。その後、武蔵コーポレーション株式会社に転職。約1000件の賃貸管理、4500件のリフォーム提案を行い、賃貸管理、収益不動産のノウハウを学ぶ。平成26年、ハウスリンクマネジメント株式会社設立、現在に至る。

著者紹介

連載リスク最小化を目指す「不動産投資」の基本レッスン

 

不動産投資は「土地値物件」で はじめなさい

不動産投資は「土地値物件」で はじめなさい

菅谷 太一

幻冬舎メディアコンサルティング

「区分マンションは初期投資が少ない=ローリスク」 「都心の新築物件は空室率が低い=ローリスク」 そう思い込んでいませんか? 不動産投資成功の必須条件はきちんとした投資目線を持つことです。本書では“儲かる”物件選び…

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