父死去…学生の弟は「遺産ゼロ」の不公平感
「あなたは長男なんだから……」
「あなたは女の子なんだから…」
「あなたは末っ子だし……」
そんな古くからいわれている「あなたはOOなんだから」という刷り込み。「そんないまどき、そんなこという人いる?」と思うかもしれませんが、このような意識は根強いのが特徴。
たとえば、「男性は結婚して家庭をもって⼀⼈前だ」」。結婚しないと出世に響くといわれていた昭和時代。令和のいま、そんなこといったら笑われると思うかもしれませんが、男性の30.4%、女性の17.9%が「その通り」だといいます。
「⼥性は結婚によって、経済的に安定を得る⽅が良い」。女性の社会進出が進み、経済的に自立していることが当たり前の時代でも、男性の28.6%、女性の27.2%が「その通り」と回答しています。
そんな思い込みは、やはり年齢が高い人ほど、また都会よりは地方のほうが根強い傾向にありますが、若い人のなかにこのように思う人は皆無かといえば、そういうことでもなく、刷り込みによる根深さが伺えます。
中田和樹さん(仮名・52歳)も、長年「こうあるべき」に直面してきたといいます。
――よく引き合いに出されたのは3歳上の兄(達也さん・仮名・55歳)。兄は長男だから、私は弟なんだから、といわれて育てきました。家督制度の意識が色濃く残る田舎なんで
そのことを強く感じたのは、30年前。父が亡くなったときのこと。遺言書には
母…貯金2,000万円+自宅
長男…貯金1,000万円
次男…遺産ゼロ
という内容が記されていました。
――このとき兄は社会人、弟の私は未成年で学生。多少、考慮すべきことがあったのは理解できますが、不平等な遺産分割に対してはなんの言葉はありませんでした。兄には母の面倒をみるようにと、1,000万円の貯金を遺したんだと思いますが……