安定した賃貸経営を目指すには、金融機関からのスムーズな融資が欠かせません。本連載では、不動産投資家で、株式会社サクセスアーキテクト代表取締役 安藤新之助氏の著書、『NOをYESに変える「不動産投資」最強融資術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資における融資獲得のための具体的なテクニックを紹介していきます。

貸手側が2人で面談の場にきたらチャンス

金融機関の担当者と初めて会ったときにどう思うか?

 

「この人は信頼できる人か…」

「この人はきちんとお金を返してくれるだろうか…」

「この人は反社会勢力と関係はないだろうか…」

「この人は……………」

 

信用に値する材料が全くないわけですから、正直な話、完全に疑ってかかられています。
私も、金融機関の開拓で回っていたときは、一人が質問役で、一人がメモ役というよう
な感じで、新入社員の面接のようなイメージでした。

 

当然ながら、応接室に通されることはありません。受付近くのテーブル席に向かい合っ
て座り、矢のさすような眼差しでジッと見られ、心の奥底を探られているような感じで、
とても良い気分にはなれませんでした。

 

大抵の投資家は、この面談の繰り返しで心身ともに疲れ果て挫折していきます。最初の1行目、2行目あたりはまだ大丈夫でしょうが、断られ続けるとボディーブローがだんだん効いてくるんですね〜。

 

とても、意地悪な質問をされて「どの程度、不動産に関してスキルがあるのか」試され
たりしますので、勉強不足だったり、後ろめたい部分があると、表情にでて分かってしま
います。

 

でも、事業者として相手が今後末永くお付き合いできるかどうか見られるわけですから、
相手が金融機関であろうと、リフォーム会社であろうと関係ありません。ネガティブに考えれば、耐えられなくなりますが、逆に言えばそこがスタートになるわけです。だから、自己PRをどんどんすればいいわけです。

 

私は当初、「ハウスメーカー勤務、住宅業界も現場からアフターサービス一貫して経験
した経歴をもっている」ことをアピールしました。

 

それは、1つの強み。

 

誰でも不動産投資と共通した強みはあると思います。たとえば、あなたが総務・経理の経験者であれば「試算表や収支計画などの作成はよくしております」と言えるはずです。この場合、「数字に強い人」となり、金融機関から高評価です。

 

「自動車関連メーカーで技術開発の仕事をしていて、コスト管理にたけているので、修繕どのコスト管理に活かせる」でもいいし、「インテリアコーディネーターの資格を保有
しているので、室内装飾に活かせる」でもいいですね。女性の投資家の場合、とても強み
になります。部屋の配色を工夫することで、入居付けに結びつくのでPRポイントになり
ます。

 

共通して好印象なのは「数字」の管理に強いことでしょう。1つでも多く安心材料を提供し、不安材料を払拭する努力が必須です。

 

貸手側が2人で面談の場にきたらチャンスです。相手も聞く気があるので、2人体制で面談に挑んでいるわけです。こういったときは、1人が渉外担当、1人が融資担当だったりします。私が初めて融資内諾をいただいた案件は、1人が渉外役席、相方が融資担当でした。こういった時は、どちらかが不動産に詳しかったりするんですね。

 

結果は別として、見込みはあります。

 

これが1人体制で肩書のない一般行員だと「とりあえず対応しておこう」という思惑が
見えてしまい、「あ〜相手にされていないな〜」と、気を抜いてはいけないのですが、気
落ちするものです。結果は、翌日にNGの連絡がはいり「やっぱり…」。まあ、そんなことは日常茶飯事なので気落ちせず根気よくアプローチしていきましょう。

人生が変わる「30分前現地着ルール」とは?

時間厳守できる人はかなりの高評価です。

 

なぜなら、「時間管理ができる=返済が遅れない」に直結するからです。

 

アポを自分がとった上に、遅刻するなんてもってのほかです! いかなる理由も言い訳にしかなりません。私は必ず、 30 分前に現場に着くように段取りをします。そして、提出資料の確認や移動中にかかってきたTELやメールの確認をします。

 

SNSや電話は、こちらの都合に関係なく入ってきます。車や電車で移動中だと、その場で対応できませんので、車を停めたり電車を降りてからでないと対応できません。それが原因で「時間のロス」が発生します。

 

そういったときに限って、話をしないといけないような重要な案件だったりします。(暇つぶしや、遊びの誘いのTELもありますが)相手は用事があってかけてくるので当然ですよね。

 

アポイント先に5分前や 10分前に着くように段取りしている人は、かなりの割合でいます。私の経験上、9割以上です。仮に電話やSNSが入ってこなくとも、電車の遅れや車の渋滞によって遅れたりします。そうなれば遅刻の可能性は格段に上がります。電車が遅れた…渋滞だったから…事故があったから…

 

訪問する立場からすれば、不可抗力だからしかたない…そう自己解決してしまいますが、待つ側からすれば関係ありません。

 

「リスクを想定して、早くできることができたはず…」

 

百歩譲って、ニュースで確認できるような事故であれば「情状酌量の余地」はあるでしょ
う。でも、そんなことはめったにないのでやはり遅刻は「信頼の失墜」にしかなりません。そう思われたらお互い良いことはありませんよね。

 

私の経験上、「30分前」に現地着するように段取りすることで、遅刻は高確率で回避で
きます。私は公私ともにこのルールを適用してます。電車に万が一乗り遅れても 30分も待てば、よほどの地方でない限り、もう一本後続列車が来ます。30分あれば、渋滞しても遠回りして迂回すればなんとか間に合います。

 

私は「30分前現地着ルール」をするようにしてから、遅刻は無くなりました。少なくとも、最初の訪問で遅刻したことは「ゼロ」です。最初の訪問は私にとって一大イベントです。そのイベントを成功させるか否かで、人生が変わる可能性が高いからです。

 

そして、私がさらに守っているルール。それは「3分前入店ルール」。

 

その理由とは、店の中の時計が進んでいる可能性があるからです。私は、時計が進んでいたり、遅れていたりするケースを目の当たりにしたことがあります。さすがに5分遅れると気が付いてだれかが直すのですが、2〜3分のズレだと気づかなかったりして放置されていることがあります。

 

仮に、時間ぴったりに行っても、店内の時計をみれば3分遅れ…本人は時間を守っていても、店員は遅刻とみなしてしまいます。これこそ不可抗力ですよね。

 

でも、これはこれで、自分でリスク回避するしかありません。なので、3分前に入るようにすれば相手側からすれば、時計の進み具合で遅刻だと勘違いされることはなくなります。早い分にはネガティブな印象にはなりませんからね。

 

時間に遅れることは「信用棄損」になります。初めて訪問する金融機関で何も実績のないところから始まるのに、いきなり遅刻では「信用棄損」以外のなにものではありません。
これは相当もったいない…。

 

私はこの「30分前現地着」「3分前入室」を心がけることで、大きな信用を得たと実感しています。訪問した時に、訪問される側が最初に視線を向かわせるところは「時計」です。取引している金融機関の次長は、私がいつも時間ぴったりに訪問するので、ニコニコしながら「社長!いつも時間に正確ですね!」と満面の笑みで迎えてくれます。

 

これを2度3度と、毎回正確に訪問することで、信用と信頼が相当積みあがります。この効果は絶大です。

 

世の中、実は時間を守れない人がとても多い。これはとても残念なこと…。仮に、いつも時間厳守していた人が遅刻していったらどうなるでしょうか。先方は「いつも時間厳守の人が遅れるなんて何かあったに違いない!!事故トラブルでなければよいが…」と心配してくれます。

 

約束時間の勘違いだったり、メモの記入ミスだったり、人間ですから間違いは誰でもあります。普段のお付き合いで「時間厳守」の信用と実績があれば、仮にうっかり遅れてしまっても「何事もなくてよかった」とポジティブにとらえてくれるようになります。それも、信用から生まれるものです。仕事で時間の守れない人はプライベートでも守れない、その逆もです。

 

「時間が守れない人は自己管理ができず、返済遅れの可能性が高い」

 

簡単なことのようで実は難しいのが時間厳守です。「30分前現地着」「3分前入室」をぜひ実践してみてください。

 

 

安藤 新之助

不動産投資家
株式会社サクセスアーキテクト代表取締役
国内最大の不動産投資サイト「楽待」著名コラムニスト
ゆとり生活形成塾代表 

NOをYESに変える「不動産投資」 最強融資術

NOをYESに変える「不動産投資」 最強融資術

安藤 新之助

ぱる出版

本書は、不動産投資の融資術に特化した本です。 不動産投資における融資は、成功の9割を決めるといわれています。いい物件を見つけたとしても、融資が通らなければ購入することはできません。物件購入が不動産投資の入り口…

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