今回は、投資用不動産の融資における金融機関の「融資担当」と「渉外担当」それぞれの違い等を見ていきます。※本連載では、不動産投資家で、株式会社サクセスアーキテクト代表取締役 安藤新之助氏の著書、『NOをYESに変える「不動産投資」最強融資術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資における融資獲得のための具体的なテクニックを紹介していきます。

「融資担当」ではなく、まずは「渉外担当」と話を

金融機関にアポイントを取ったときにどちらと話をすればよいのか? 

 

それは渉外担当です

 

渉外担当とは外回りで新規案件を取ってくる立場にあります。なので、常に外にでていて支店内にはいないことが多いです。アポイントを取るときは「渉外担当」の方が見込み客につながる可能性が高いので、親身に話を聞いてくれるでしょう。

 

暑い夏も、寒い冬も雨の日も風の日も、バイクでお得意先を回っています。新規案件を取るために・・・

 

営業の経験をしたことのある方ならわかると思いますが、「見込み客」を開拓するのは本当に大変なんです。そこに、見込み客になる可能性の方から連絡が入ったら・・・期待しますよね! それも、不動産となれば案件が大きい。数千万から億単位です。とてもありがたいわけです。

 

では「融資担当」はどうか? 新規の方には非常にドライな印象です。融資担当は、渉外担当が持ち込んだ案件を精査し、融資するかしないかを精査する部署なので、かなり慎重です。

 

私は当初、この金融機関の組織背景をしらなかったので「融資担当」につないでもらっていました。結果は、言うまでもなく残念な結果・・・失敗体験だけが積みあがりました。

 

理想のながれは、渉外担当と面談→渉外担当が融資担当に相談→渉外担当と融資担当が同席で商談です。

 

ここにどちらかの役席が入ればさらにベスト。渉外担当に案件のプレゼンをして、それをうまくかみ砕いて融資担当に相談してもらえば、話はスムーズに運びます。

 

2人とも、支店の融資獲得の数字を背負い、目標達成するために活動しています。向いている方向は同じなのですが、融資担当は案件を精査する立場なので、かなり慎重にならざるを得ない。そこを渉外担当に対して自分の事業計画をしっかりと伝えれば、渉外担当が融資担当と話を進めてくれるのです。

 

私の経験で初めて一棟物を購入した時、最初の面談で渉外役席と融資担当が同席してくれました。渉外役席は私のプレゼンを聞きながら、適度に質問をしてきました。一方、融資担当は隣で口を開かず、厳しい眼差しでジッとみていました。今思い出してもドキドキします。

 

その後、融資担当も、ポイントをついた質問をしてきましたが、自身で物件の事を調査して理解していれば分かる範囲だったので、自信をもって回答しました。

 

この質問に対し、迷いなく即座に答えられることがポイント。これは相手がとても安心します。数千万から億単位の融資を受けるわけですから、物件に対しての質問に答えられないような借手だったら、「貸せない」と判断されかねません。

 

その後、その融資担当の厳しい眼差しにも変化が見られ、場がとても和らぎました。私の気持ちの中で「この案件はうまくいきそうだな」と直感的に思いました。結果は、1億1000万のフルローンを獲得。金利は2%後半で、当時のレートで若干高いかなという感じでしたが、不動産投資の実績のない私です。そこは仕方ないと納得し、見事、不動産投資家として第一歩を踏みだしました。

「お前では話にならない。上を出せ」はNG

「ヒラでは話にならないから、上と話をさせてほしい」これも、意外に多くある事例です。投資家の中でも、訪問の際にそうアドバイスしている人もいるので、実践している人もいます。

 

私からすれば、「あなたは何様のつもりですか?」と言いたくなります。クレームで炎上して担当者では全く話にならない事件、トラブルならまだしも、最初の訪問で支店長と話をさせてほしいと平然と言えてしまう人がいるのです。こういった方は、サラリーマンの幹部クラスであったり、士師業で常に周りから持ち上げられている人が多いと私は感じています。

 

私もハウスメーカーでアフターサービスをしていた時、屈辱的な対応を受けたことが多々あります。現場作業員って最初はなめてかかられるんですよ。雑用係的で、なんでも呼びつけてやらせればいい、と。都合の良い時は、ニコニコですが、思うようにならないと様相が一変。無理難題を平気で押し付けて、罵倒してきます。「お前では話にならない。上を出せ」と。

 

私は上席に「甘い対応をとるとあとから余計に面倒なことになる客なので、シビアな対応でお願いします」と現場の状況を説明し、その客の言いなりにならないように打ち合わせていました。そして、顧客情報に「要注意人物」と履歴に残しました。とても高い買い物をして、この先何十年も住んでいかないといけないのに「要注意人物」のレッテルがずっと残るのです。そして、最低限のサービスは受けられますが、プラスアルファーの気持ちの部分で、サービスは受けられなくなります。

 

長い目でみれば、相当な損をしてしまいます。自尊心の保つための所行で、家族もみんな巻き添えです。当然、そんな客とはかかわりたくないので、距離を置きます。こういった人は、公私の境が見分けられていない裸の王様的な人です。大抵、自分本位な要求を押し付けてくるタイプは、○○部長とか○○課長、○○リーダーの中間管理職に値する人が多い。プライベートなのに肩書付きの会社の名刺を「どうだ」と言わんばかりに出してくるんです。こちらとしては、「だから何? 特別な待遇でもしろってこと?」としか思いません。

 

実は、こういった肩書がなくてもできる人間はできるんです。私も中途で入社し、30歳で平社員で新人でしたが、仕事はできましたので、社内でもそれなりに意見をできる立場でした。私はこのハウスメーカー時代に、人との接し方を反面教師として学び、それが大いに役立っています。

 

もちろん、支店長や副支店長、次長のほうが話は早いです。でも、関係性の実績がないのにいきなり「そこの幹部に会わせろ」という方は、自分勝手極まりないと思いませんか?

 

どんな組織でも中間管理職は部下を持ちます。その部下をかわいがっている人はいます。上席は、部下にそんな態度をとる人の案件を前に進めようとおもいますか? 部下は良い稟議書を書こうと思いますか? お客様に一番近い人が一番こわいんですよ。なめてかかって損をするのは自分です。

 

 

安藤 新之助

不動産投資家
株式会社サクセスアーキテクト代表取締役
国内最大の不動産投資サイト「楽待」著名コラムニスト
ゆとり生活形成塾代表

 

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