今回は、「役席」と面談するための心構えについて見ていきます。※本連載では、不動産投資家で、株式会社サクセスアーキテクト代表取締役 安藤新之助氏の著書、『NOをYESに変える「不動産投資」最強融資術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資における融資獲得のための具体的なテクニックを紹介していきます。

金融機関はネガティブな事案にとても慎重

仮に支店長、副支店長の幹部が対応してくれても、本人が稟議書を書くわけではありません。案件によっては次長や支店長代理が稟議書を書きますが、通常だと稟議書を書くのは担当者です。

 

支店長、次長の幹部クラスでも、支店内協議で担当者が「やめたほうが良い」と判断すればその意見を尊重します。行員がどのような人と話をしているのか、話を聞けばその人がどのような人かすぐに察します。金融機関はネガティブな事案にとても慎重です。

 

担当者がやめておいたほうが良いと思う案件を、無理に通す必要がありますか? 支店長、副支店長、次長とその席につくまで多くの人に会い、実績を残し評価され今の地位にいるのです。関係もできていないのに、「ヒラじゃなく支店長を呼べ」などと、気分を害するような一方通行的な要求をすれば「面倒な客になりかねない」と判断されます。

 

結果、「融資はやめとけ」ということになり、お断りの電話が担当者より入ります。その金融機関で取引をし、信用と実績が蓄積されていれば、対応は全然ちがうのでしょうが、関係性も乏しい金融機関で横柄な対応をとれば、人間性を疑われます。金融機関の人事は長くて3年から5年。短くて2年から3年で転勤になってしまいます。百歩譲ってその時に、たまたま融資が受けられたとしても、引き継ぎ書にネガティブな事を書かれたら、後任はそういった眼差しで見るのでマイナスです。

 

一方で、もし最初に対応してくれた担当者がひと回り以上年下であっても、年齢や肩書きに関係なく真摯な対応をしたら、担当者はどう思いますか? また仕事を一緒にしたいと思いますよね。担当者は当然、あなたの属性、肩書を知っています。間違いなく、尊敬に値され、上席に自らつないでくれるでしょう。

 

私が取引している某信用金庫の当時の次長(元支店長)いわく、「融資案件に思い入れが入ると、稟議書にそれが伝わっている」と話しています。その次長は、今まで自身が取り組んだ案件の稟議書をすべて取っているそうです。それを見てみると、稟議書のなかでも明らかに気合いの入り方の違いがわかるそうです。その稟議を書く担当者の思い入れが上席の気持ちを動かし、本部の審査部の気持ちを動かすのです。

融資交渉にはまずは「一般職員」ありき

行員は、その日にどのような活動をしたのか上席に必ず報告します。その報告の時に、担当者が「この案件、取り組んでみたいので次回、会ってもらえませんか?」と上席に相談すれば、あなたの案件は高確率で審査の土俵にあがりますし、次の面談の時には役席が同席します。その役席が支店長とともに本部にかけあってくれれば、期待できる結果になるでしょう。

 

金融機関は縦社会です。有力者の紹介がない限り、役席はでてきません。まずは、一般職員が担当します。大家を目指すあなたは、自社の商品を理解し、購入してもらう営業マンなんです。購入してもらえるように真剣にプレゼンすれば、パートナーとしての気持ちが伝わり、本気で取り組んでくれます。その気持ちを上席に取り次ぐのは一般職員です。その職員の気持ちを汲んで話を前に進めるのは、上席である支店長代理や次長です。つまり、まずは一般職員ありき。この基本をわすれないことが、融資獲得への大切なファーストステップです。

 

[図表]金融機関の組織図

一般的な事例であり、呼称、組織編成は金融機関により異なる 87
一般的な事例であり、呼称、組織編成は金融機関により異なる

 

 

安藤 新之助

不動産投資家
株式会社サクセスアーキテクト代表取締役
国内最大の不動産投資サイト「楽待」著名コラムニスト
ゆとり生活形成塾代表

 

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