航空機が「キャッシュフロー投資」の対象として理想的な理由

前回は、「航空機リース」のメリットと今後の展望を解説しました。航空機が「キャッシュフロー投資」の対象として理想的な理由を見ていきます。

長期にわたり安定した収益を生み続ける航空機投資

20世紀最大の発明と評されることもある航空機ですが、単なる移動手段としてだけでなく、高速物流の面でももはや人々の生活になくてはならない最重要インフラの一つです。

 

また、あの巨大な物体が飛ぶ姿に純粋に心惹かれる方も多いかと思いますし、航空力学を支えるテクノロジーや空港、ディスパッチなどのオペレーション、パイロットやCA(客室乗務員)のあまり知られていない世界など、航空機とそれと取り巻く航空業界は多くの魅力に満ちた一大産業です。そして、航空機は投資対象としても多くの魅力を持っています。

 

航空機投資の特徴は安定性であり、長期にわたり安定した収益を生み続けていることが魅力です。

 

2001年のアメリカ同時多発テロや2008年の金融危機といったリスクイベントに際しても大きく下落しておらず、他の指標と比較するとその特徴は際立っています。

 

他の指標や経済サイクルの影響を受けづらいということは強力な利点であり、航空機投資はもちろんそれ単体でも十分に魅力的な投資資産ですが、複数の投資戦略と組み合わせたり、既存の投資戦略と入れ替えたりすることで投資ポートフォリオの安定性向上にも大きく貢献することが期待できる資産なのです。

 

一般的に安全資産といわれる金も、意外に思われるかもしれませんがそれなりに値動きがあり、確かにリスクイベントに対する耐性は高く大きな値下がりはしていませんし、株式指数と比較すると値動きは穏やかですが、航空機投資も堅調なリターンを生む資産であると評価できます。金のリターンは希少性と流動性に支えられており、リスクイベント時におけるリスク資産からの資金の逃避先として価値が形成された結果、価格の下方硬直性を有しているといえます。

 

一方で安定的にキャッシュを生むことができる航空機は収益の源泉がほかの投資戦略(株式や債券や不動産など)とまったく異なることもあり、堅実に安定したリターンを長期にわたって生み出しており、安定性という航空機投資の特徴の土台になっています。

 

これは、市場価格の変動をリターンの源泉とする資産と、キャッシュフローを生み出すことができる資産とのリターン性質の差を確認できるよい例の一つであると思います。

航空会社の事業リスクと航空機の資産リスクは雲泥の差

もう一つ注目すべきポイントは、同じ輸送機である中古バルク船価格です。

 

船も航空機と同様キャッシュフロー投資の対象となり得る資産のはずですが、価格指数をみると激しく乱高下しており安定とは程遠い動きを見せます。これは供給過剰がもたらした市場破壊が一因で、造船業が好景気に沸き世界の造船会社が供給体制を強化していたところに、金融危機による急速な需要減少が襲ったため、暴落ともいえるほど急激に市場が縮小しました(※1)。

 

※1 (財)日本船舶技術研究協会、平成21年4月『世界海運・造船市場の現状と経済危機の影響に関する調査報告書』

 

造船は世界的に供給能力過剰状態にあり需給バランスが崩れやすい背景はありますが、需給バランスが資産価値に与える影響は非常に大きいことを端的に示した例だといえます。

 

ところが航空機メーカー(OEM)はボーイング社とエアバス社の2社寡占状態であり、注文のバックオーダーは10年近くまで積み上がっている状況ですので、堅調な旅客需要と相まって航空機の需給環境は、航空機投資の視点でみると好ましい状況にあると評価されています。

 

ところで、S&P500におけるエアライン株価指数はなんとマイナスになっています。皮肉なことに航空機そのものを所有することと、エアラインの株式を取得することは投資リターンの観点からは完全に明暗が分かれる結果を示しています。

 

航空機投資の根底には増大する世界の航空旅客需要をとらえるというコンセプトがありましたが、同じコンセプトをベースとしていてもエアラインの事業リスクと航空機の資産リスクには雲泥の差があり、ひいては投資リターンがまったく異なる様相を見せています。

リスクイベントの影響が小さく安定した価値形成が可能

日米の株価指数の動きを見ると、2008年の金融危機をうけて株価指数は約50%も下落しており、その後日本は回復まで7年を要しました。日本の不動産も値動きが比較的大きなオフィスビルでは価値が35%以上も下落したとも言われていますが(※2)、不動産の場合は価値の下落という大きな問題に加えて、流動性の喪失によって売買自体が成立し難いという状況に陥ったことも深刻な問題でした。

 

※2 三鬼商事公表値より算出。

 

それに対して航空機は、株価や不動産価格の影響を大きく受けることなく安定した価値形成をする資産であるといえるのです。

 

逼迫(ひっぱく)した需給環境に支えられ、安定した中古価格と堅調なキャッシュフローを誇る航空機は、キャッシュフロー投資を実行するには理想的な資産です。

 

さらに航空機リースは長い歴史を経て、投資スキームや関連する法規制等がしっかりと整備されており、公共交通機関への投資という類まれな投資機会に対して数多くのベストプラクティスを参照しながら参画することを可能とします。

 

これまではごく限られたリース会社のみによって占められてきた航空機投資ですが、増大する航空機需要に伴い徐々に門戸が開き始めており、航空機投資を通じてキャッシュフロー投資の真髄である「資産が使用されることによって生み出されるキャッシュフロー」が日本の投資家にも広く届けられる土壌が整いつつあることを感じています。

 

ここまで航空機投資の魅力であるリターンの安定性とほかの指数との低い相関についてご紹介しましたが、この魅力は数多くの優れた特徴(=強み、利点)によって支えられ、航空機を投資資産(アセットクラス)として魅力的なものにしています。次の節ではこれらの特徴を3つのカテゴリーにまとめてご紹介いたします。それぞれの特徴は航空機ならではの強みと利点を備えており、一つだけでもアセットクラスとして十分に投資妙味を感じさせてくれるものです。

 

多くの優れた特徴に支えられた航空機投資は、ほかの投資戦略や投資資産と比較しても競争力を持っており、安定した収益を生み出すキャッシュフロー投資に最も適したアセットクラスとして注目を集めています。

 

 

澁田 優一

マーキュリアインベストメント

 

野崎 哲也

旭アビエーション

 

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マーキュリアインベストメント 

PwCコンサルティング、IBMビジネスコンサルティングサービス、KPMG FASにて戦略コンサルティング・M&Aサービスに従事した後、2008年に全日空に入社。2013年には、ANAホールディングスとバニラエアの財務と経営企画を兼務。経営計画の策定や、為替・燃油ヘッジ方針/航空機の選定戦略に携わる。2015年よりマーキュリアインベストメントに参画。

株式会社マーキュリアインベストメント:http://www.mercuria.jp/

著者紹介

旭アビエーション 

伊藤忠商事に1989年に入社。宇宙航空機部を経て、航空機オペレーショングリース子会社である米国伊藤忠エアリーズにてジェネラルマネージャーに就任。2002年に三菱商事に入社し、米国での航空機リース会社立ち上げに従事。ジェネラルマネージャーとして発展を主導、2社で合計約180機の航空機のリースおよび売却の経験を持つ。2017年に旭アビエーションを設立、グローバルに航空機リースマネジメント、仲介、テクニカル/コマーシャル・コンサルティングサービスを提供している。

著者紹介

連載無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド

無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド

無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド

航空機投資研究会、澁田 優一、野崎 哲也

幻冬舎メディアコンサルティング

航空機市場が世界経済とともに成長を続ける理由や航空機投資はエアライン企業への株式投資と何が違うのか、他の現物投資と比べた場合の圧倒的なメリット、どの機体を選んで投資すべきなのかなどをわかりやすく解説。

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