高い流動性・公共性…「航空機投資」ならではの魅力とは?

今回は、航空機の投資アセットとしての魅力を見ていきます。※航空機は、交通手段以外に「投資対象」としての側面もあります。航空機投資の醍醐味は、その安定したリターンだけでなく、投資を通じて社会の進歩や発展、平和に貢献できることにあります。本連載は、経済のグローバル化が進む現代における航空機投資の魅力的を解説します。

グローバル資産&キャッシュフロー投資という投資戦略

航空機投資は「グローバル資産」「キャッシュフロー投資」という2つの点でほかの資産投資と異なる特徴を持つ投資戦略です。世界中を飛び回れるという特徴は、高い流動性をもたらし、さらにローカルな国や地域の影響を限定的にしています。また何より世界の経済成長に応じて成長している将来性はとても魅力的です。

 

日本以外の資産への投資に抵抗感がある投資家も少なくないかと思います。たしかに、自然災害、テロや紛争に社会動態や政治動向、さらに通貨のリスクなど海外資産への投資には考慮すべき要素が多いのが現実です。しかしながら、それでは日本の資産だったら安心なのかというとそうとも言い難いのではないでしょうか。

 

日本は確かに政治経済こそ安定しているとはいえ、災害という視点では世界でも有数の地震大国で、少子高齢化の影響は常に不安の種です。鳴り物入りで開発されたビジネスエリアが今ひとつ振るわなかったり、数年前までは注目を集めていた住宅エリアが突然別の地域に人気を奪われた結果、不動産価格が急落したりといった話は枚挙にいとまがありません。

 

成長性が鈍化した日本において、国内に投資機会を求め続けることが本当に正しい戦略なのかというと疑問が残りますが、だからといって成長性を求めて新興国の不動産や発電施設に投資することに対し、通貨や運用リスクに不安を持つのも当然だと思います。

 

このようなジレンマに悩まされている日本の投資家に対して、航空機は新たな投資機会を提供することができるポテンシャルを持ったアセットなのです。この記事では航空機が持つもう一つの顔として投資アセットとしての魅力についてご紹介します。

 

(1)公共性の高いグローバル資産ならではの利点

 

航空機が世界中で使われる動産であるという性質は、ほかのどのアセットとも異なるものであり、世界で唯一のグローバル資産であるといっても決して大げさな表現ではありません。そして公共交通機関という規制産業の中にありながら、歴史的に投資家の資金を受け入れる土台が確立している自由度も併せ持っています。

 

本連載では航空機をグローバル資産と称していますが、これは単に世界中で使われているということだけでなく、整備基準や投資スキームそして通貨など多くの要素が世界基準をベースとしていることからきています。海外資産のポートフォリオをグローバル資産投資と呼ぶ投資戦略もありますが、単体でグローバル資産と呼べるものは航空機以外には金や石油といったものしかなく、その中でもキャッシュフローを生み出すアセットは航空機以外にはなかなか思いつくものがありません。

 

グローバル資産であるがゆえに、取引は日本円ではなく米ドルで行われることがほとんどで、日本の投資家からすると、どうしても為替リスクが気になるところではありますが、昨今活発になっている新興国への投資がその国のソフトカレンシーで行わざるを得ないことを鑑みると、世界の成長を取り込めるアセットへの投資を米ドルで行えることは逆に利点であるとも評価できます。

 

これらグローバル資産としての特徴は投資リターンの性質にも現れ、ほかの多くのアセットが経済サイクルや株式の影響を受けやすいのに対して、航空機は株式や他のアセットとの相関が低いかつ経済サイクルの影響も受けづらい性質を持っています。株式はほかのアセットと高い相関を持つのに対して、航空機の相関係数は全てに対して低いことが知られています。

 

皮肉なことにエアライン株価との相関も大変低いのですが、これはエアラインの業績の良し悪しが航空機の価値に与える影響が限定的であることを示すとともに、安定した航空機投資と比較していかにエアラインの経営が不安定で収益性が低いのかも示唆しています。

 

ほかのアセットとの相関の低さと、前述した航空機のキャッシュフローの安定性によって、航空機は投資ポートフォリオの一部として大きな役割を果たす事ができる資産だといえるのです。

豊富な情報と法制度の枠組みが「流動性」を保証

(2)高い流動性とそれを支える豊富な情報

 

自動車と同じ様に航空機は、一つのエアラインが新造機から退役までずっと使い続けることが稀なアセットです。皆さんが日本で乗った飛行機も数年前は世界のどこかで使われた飛行機かもしれませんし、数年後に別の国の空を飛んでいることも普通に起こり得ます。

 

さらに所有者も同様に変わっていきます。旅客として乗っているだけでは気づくことはありませんが、昨日まで乗っていた航空機が今日は別の所有者のものであるといったことも実は起きています。このように航空機は高い流動性を有する資産なのですが、この流動性を支えているのが豊富な情報と法制度の枠組みです。

 

航空機投資の投資判断にあたっては、以下のようなさまざまな情報を元に投資判断の評価やリターンの予測、整備計画の策定などを行います。投資に限らず何かを取得する時に情報の非対称性は悩みの種の一つですが、航空機に関しては多くの情報がオープンに取得でき情報の非対称性は比較的少ない環境にあるといえます。

 

●航空機専門の価値鑑定会社による価値評価

●中古航空機の市場価格

●これまでの所有履歴

●詳細な整備記録、運航記録

 

世界的に有名な航空機の価値鑑定会社はアセンド社(英)、アビタス社(米)、IBA社(英)です。そのほかにも重要な情報源として、ICAO、IATA、ISTA(国際安全輸送協会)が提供する統計データがありますし、ボーイング社やエアバス社も独自のレポートを出しています。

 

これらの情報はグローバル共通で広く活用されているもので、世界中のプレイヤーの基本的な情報源(≒目線感や共通理解)となっており、ひいては国境を超えた売買の手助けとなっているのです。

 

 

澁田 優一

マーキュリアインベストメント

 
野崎 哲也

旭アビエーション

 

 

マーキュリアインベストメント 

PwCコンサルティング、IBMビジネスコンサルティングサービス、KPMG FASにて戦略コンサルティング・M&Aサービスに従事した後、2008年に全日空に入社。2013年には、ANAホールディングスとバニラエアの財務と経営企画を兼務。経営計画の策定や、為替・燃油ヘッジ方針/航空機の選定戦略に携わる。2015年よりマーキュリアインベストメントに参画。

株式会社マーキュリアインベストメント:http://www.mercuria.jp/

著者紹介

旭アビエーション 

伊藤忠商事に1989年に入社。宇宙航空機部を経て、航空機オペレーショングリース子会社である米国伊藤忠エアリーズにてジェネラルマネージャーに就任。2002年に三菱商事に入社し、米国での航空機リース会社立ち上げに従事。ジェネラルマネージャーとして発展を主導、2社で合計約180機の航空機のリースおよび売却の経験を持つ。2017年に旭アビエーションを設立、グローバルに航空機リースマネジメント、仲介、テクニカル/コマーシャル・コンサルティングサービスを提供している。

著者紹介

連載無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド

 

無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド

無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド

航空機投資研究会、澁田 優一、野崎 哲也

幻冬舎メディアコンサルティング

航空機市場が世界経済とともに成長を続ける理由や航空機投資はエアライン企業への株式投資と何が違うのか、他の現物投資と比べた場合の圧倒的なメリット、どの機体を選んで投資すべきなのかなどをわかりやすく解説。

 

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