2017年から2018年頭にかけて仮想通貨で“億り人”の仲間入りを果たした投資家が続出した。なかでも界隈を盛り上げた投資家として知られるのが、「ゲス仮想通貨投資家」を名乗るニシノカズ氏。あっという間に億を超える資産を手に入れた氏は、昨年10月にマレーシアへ移り住んだ。国際税務のスペシャリストである柳澤賢仁氏による仮想通貨対談企画第2弾「ニシノカズ」編・第1回目のテーマは、短期間で億を稼いだ男が「ゲス投資家」を名乗る理由。

10万円の元手でレバレッジかけてトレードを繰り返し…

柳澤 そういう経験があったからマレーシアに移住したんですか?

 

ニシ そう思われがちなんですけど、単純にもともとマレーシアが好きだったんです。キャバクラを売却してから何度も行ってて、長いときは半年近く滞在していました。イスラム教の国ですけど、非常に多国籍の国なんで、イスラム教徒も一緒にみんなでクリスマスを祝ったりするんです。多様性があるから、日本人だからと色眼鏡で見られたりもしない。それでいて、英語がほぼ通じるから、僕には非常に過ごしやすい。

 

柳澤 さらに、税率も低い。

 

ニシ もちろん、その点も魅力的ですね。

 

柳澤 それにしても、よく短期間で億を超える資産を築きましたね?

 

ニシ たぶん、2017年1月から始めたら、ビットコインを100万円分ぐらい買って放置しておくだけでも、1億円ぐらいの資産が築けたと思います。ただ、僕の場合はクレジットカードで入金した10万円が元手だったので、初めのころはレバレッジをかけてトレードを繰り返していました。当時は海外のビットコイン価格が上がったら、数秒遅れて日本の価格が上がる法則があったので、簡単に稼げたんです。

 

3か月ぐらいで10万円が300万円ぐらいになって、そこからは長期投資に切り替えました。そして、リップル、IOTA(アイオタ)、MONA(モナーコイン)、ADKなどの急上昇のタイミングの波に乗れました。海外をフラフラして英語が多少話せるようになっていたので、いろんな仮想通貨のコミュニティに参加して情報収集して。

 

そのときに「DAG」(有向非巡回グラフ)という技術を知って、投資したのがIOTA。ブロックチェーンはユーザーが増えて取引が増加し続けると、それらの取引をマイナーが捌けなくなるという構造的な問題があるのに対し、「DAG」は極端な話、取引が無限に増えたところで、増えた分の承認を増えた取引ユニット“自身”が行うのでネットワークの処理能力が足りなくなることがない。さらに送金手数料は無料。この技術を応用したIOTAは面白いな、と。

 

「DAGの処理速度を応用したIOTAは面白いな、と」(ニシノカズ)
「“スケーラビリティ問題がない”ことがDAGに興味を持った理由です」(ニシノカズ)

 

柳澤 IOTAも昨年、急騰しましたよね。

 

ニシ 買ってから2か月もしないうちに4倍になりました。それで、2ちゃんねるから生まれたMONA(モナーコイン)に乗り換えたら、ビットフライヤーがMONAの扱いを開始すると発表して8倍に跳ね上がってしまいました。僕は、熱心なファンが集うMONAのコミュニティが面白いな、と思って買っただけだったんですけど。ファンが多いから売り圧力が高まって急落するリスクが小さい、という点も魅力でしたね。

 

柳澤 MONAは僕も大好きです。今でも誕生前夜の2ちゃんねるのエントリーが残っていますけど、2013年12月に「つくってみました」みたいなエントリーがあって、そこから1週間足らずでMONAがリリースされているんですよね。あのスピード感とコアなコミュニティが本当にすごいなと。

 

ニシ ビットコイン黎明期のビットコイナーたちの熱気を感じますよね。だから、去年の10月に急騰したタイミングで大半を売ってビットコインに乗り換えたんですけど、今も少しだけMONAはホールドしています。

 

柳澤 そのタイミングでビットコインに乗り越えたことで、年末にかけて1BTC=230万円まで値上がりしたバブルに乗ることができたんですね。アルトコインに先行してビットコインが上がり続けてきたタイミングですから、その乗り換えはすごいですね。

 

 

 

ニシノカズ

ゲス仮想通貨投資家

地元・名古屋でホストを経験し、その後キャバクラを買収して経営者に。その時に稼いだ資金を元手に、海外を放浪。なかでもマレーシアには半年以上滞在。2017年1月に仮想通貨を知り、元手0円(クレジットカード決済で10万円入金)から投資をスタート。同時に「ニシカズのゲス戦略日記」というブログを開設して、日々のトレード成績を公開。ビットコインバブルに乗っかって、2017年11月には資産1億円超えを達成。10月にはマレーシアへ移住。2018年2月には9億円まで膨れ上がるが、バブル崩壊に伴い、資産は半減。現在は、世界を放浪しながらツイッターやYouTubeで情報を発信中。

 

 

柳澤賢仁

柳澤国際税務会計事務所代表/柳澤総合研究所代表/税理士

慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了後、アーサーアンダーセン税務事務所、KPMG税理士法人を経て2004年に独立。独立後に支援したスタートアップのなかからすでに2社がIPO。起業家の海外支援やビジネスモデル構築、ベンチャーファイナンス、M&A、海外税務のアドバイザリー業務など幅広く手掛ける。主な著書に『お金持ち入門』(共著)、『資金繰らない経営』などがある。

 

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