水面下で進む「ICOプロジェクト」に今でもお金が集まるワケ

2019年でビットコインが誕生してちょうど10年。仮想通貨とそれを支えるブロックチェーン技術は今後、世界をどのように変えていくのか? 仮想通貨を取り巻く法務と税務の変化から、未来について大論争! 仮想通貨に関する税務のエキスパートである柳澤賢仁税理士の仮想通貨対談企画第4弾は、日本人弁護士には珍しく、多数のICOプロジェクトでリーガルアドバイザーを務めてきたシンガポール在住の森和孝弁護士が登場。第4回のテーマは、「お金が集まる魅力的なICOプロジェクト」。

鑑定書などをブロックチェーンに結び付ける計画が進む

柳澤 ぜひ、森先生がどんなICOプロジェクトに携わったのかについてもお聞きしたいです。守秘義務があると思いますので、話せる範囲で構いませんが。

 

 日系企業の案件だけで9件になりますが、そのうちの1つは太陽光発電に関するプロジェクトです。技術はイタリアから買ってきて、日本の電力買取制度を利用して売電事業で収益をあげます、というもの。普通に銀行からの融資を受けられる案件ですが、先方はクリプトにしたいという希望があり、私のところに話が来ました。独自トークンを発行して資金調達し、そのトークンで決済できる手数料無料のECプラットフォームを動かすことが目的です。プライベートセールを実施して数億円の資金調達を行いました。

 

柳澤 太陽発電の収益で運用するエコなECプラットフォームということですね。

 

「誰がいつ鑑定したかという鑑定書をブロックチェーン上で権利書と結び付けて、誰でもチェックできるようにするというICOプロジェクトなんです」(森)

 他には、人工ダイヤモンドの特許技術を生かしたプロジェクトですね。技術的には天然と変わらない品質で、ダイヤモンドの色を変えることもできるそうです。ただ、ダイヤモンドは偽物も流通するじゃないですか? だから、どこで作られ、誰がいつ鑑定したかという鑑定書をブロックチェーン上で権利書と結び付けて、誰でもチェックできるようにするというICOプロジェクトなんです。一般投資家向けでなく、業界関係者向けのICOですね。

 

柳澤 私が親しくしている秋山繁雄さんというクリプト界の重鎮も、ダイヤモンドの鑑定書をブロックチェーン上で管理するセデックス(CEDEX)というイスラエル系のプロジェクトを進めています。それと似ているのかな?

 

 似ているかもしれませんね。換金性の高い商品に関連するトークンは、別の論点として、先物取引規制の問題が出てくる場合があります。先物は金融商品ですが、満期には現受けというかたちで購入した先物ポジションに準ずる現物を受け取ることも可能です。「トークンで貴金属が買える」という風にしてしまうと、事実上、先物取引と同じということになってしまうので、そのようなスキームは避ける必要があります。

 

柳澤 それは難しい問題ですね。ホワイトペーパーには「トークンでダイヤモンドが買える」と書かなくても、口頭ではそう言っている可能性がある。でも、鑑定書や品質を保証するものをブロックチェーンに載せるという点では、完全なユーティリティトークンですよね。

 

 同じように品質を保証するものをブロックチェーンに載せるというプロジェクトは中国でも盛んです。そのうちの1つで、重慶出身の方がシンガポールで立ち上げたプロジェクトにも携わらせてもらっています。中国では日本産と偽って流通している商品が膨大にあるので、製造場所や製造年月日などが記載された改ざん不可能なバーコードを発行するというプロジェクトです。一回剥がしたら二度と使えないバーコード。重慶政府と覚書を交わしてバックアップを受けているようなので、大きなビジネスになるかもしれません。

プロジェクト内容によってICOの格差が広がっている

柳澤 個人的に感じているのは、ICOの格差が広がっていることです。ベースレイヤーのイーサリアムやEOSなどのブロックチェーン好きが喜ぶ案件は結構お金が集まる。セカンドレイヤーのオミセゴー(OMG/タイを中心に展開する決済用トークン)やカイバーネットワーク(KNC/スマートコントラクト機能を利用した分散型取引所をつくるプロジェクト)のようなプロジェクトにはお金が集まるんですよ。でも、今のダイヤモンド関連のプロジェクトやゲーム系のプロジェクトなど、非常に限られた経済圏を形作るプロジェクトはお金が集まりにくいんです。そういうアッパーレイヤーのプロジェクトは既存のファイナンスや、クリプトでもセキュリティトークンのほうが相性がいいように感じています。

 

「非常に限られた経済圏を形作るプロジェクトはお金が集まりにくいんです」(柳澤)

 

 でも、世界的に有名な企業が絡んだり、コンテンツが世界でバズるものであれば、アッパーレイヤーのプロジェクトでも、検討していると思います。ちょうど今、ゲームとブロックチェーンを融合させたプロジェクトにも深く関わっていまが、ゲームやアニメの常識を変える画期的なプロジェクトでとても期待しています。資金調達も非常に順調に進んでいます。

 

柳澤 ICOのブームは去ったと思っていましたが、魅力的なプロジェクトが水面下で動いているんですね。

 

 

 

森和孝 弁護士/ICOリーガルアドバイザー

 

One Asia Lawyersパートナー弁護士/Head Fintech&ICOチーム@シンガポール

 

2010年に弁護士登録。大阪のブティック系法律事務所に勤務し、スタートアップ支援や国際法務に従事。2017年に英国を本拠地とする大手グローバルファームのエバーシェッドのシンガポールオフィスへ移籍し、ジャパンデスク責任者に。2018年にアジア10か国にオフィスを構えるOne Asia Lawyersに転職。シンガポールや周辺国において、仮想通貨取引所の設立やICOプロジェクトの国際法務を担当。日本人弁護士としては、最も多くのICOに携わる弁護士として知られる。

 

 

柳澤賢仁 国際税理士

 

柳澤国際税務会計事務所代表/柳澤総合研究所代表/税理士

 

慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了後、アーサーアンダーセン税務事務所、KPMG税理士法人を経て2004年に独立。独立後に支援したスタートアップのなかからすでに2社がIPO。起業家の海外支援やビジネスモデル構築、ベンチャーファイナンス、M&A、海外税務のアドバイザリー業務など幅広く手掛ける。主な著書に『お金持ち入門』(共著)、『資金繰らない経営』などがある

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柳澤国際税務会計事務所 代表
株式会社柳澤総合研究所 代表
税理士 

慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程を修了後、アーサー・アンダーセン税務事務所、KPMG税理士法人を経て、2004年に独立。「大きくなったあのベンチャー企業も最初はフリーランスに近かった」「フリーランスのひとの中に明日のスーパースターがいるはず」と、日々、起業家やスタートアップ、ベンチャー企業、ビジネスモデルを研究し、積極的に情報発信を行っている。

独立後に支援したスタートアップのなかから2社のIPO(株式公開)が実現(2016年)し、現在も起業家の海外進出支援やビジネスモデル構築、ベンチャーファイナンス、M&Aなど幅広い分野で支援を行う。

ベンチャー三田会発起人。第30回(平成19年度)「日税研究賞」(税理士の部)を史上最年少(当時30歳)で受賞。主な著書に『お金持ち入門』(共著))、『資金繰らない経営』などがある。

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著者紹介

連載仮想通貨×国際税務のプロフェッショナル/税理士・柳澤賢仁の「Crypto Currency」対談

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