今週(8/25〜8/31)の国際マーケットレポート
・米国株式市場…S&P500、ナスダック両指数で最高値を更新するも、利食い圧力、貿易摩擦懸念を受けもみ合い。米中貿易摩擦は対中国関税2,000億ドルの発表など加熱しており、11月に噂される米中首脳会談まで激しい交渉が続くと予想される。
・トルコリラ…エルドアン政権が、リラ建て預金への減税、外貨建て預金への増税を発表し、対主要通貨で反発した。しかし、本質的な経済立て直しがないかぎり、効果の持続性はないと見られる。
・続く経済指標発表…シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値、そして来週には米国雇用統計が控え、市場は見極めの姿勢。
米国株式市場はもみ合い…史上最高値に利食い圧力も
先週、米国株式市場で、S&P500やナスダックの両指数が史上最高値を更新したことで、今週は、より方向感を確認できる相場もあるかと期待された。しかし、水準感から利食い圧力が見られたことや、来週にも、トランプ政権が対中国関税2,000億ドル規模の実施を発表すると報じられたことから、今週の株式市場はもみ合いとなった。
米中貿易摩擦は、一朝一夕で片付く問題ではない。2,000億ドルの関税は、米国の中国からの輸入額の約半分と、エキセントリックさが度を増してきた。しかし、貿易戦争には勝者はない。11月にも開催が模索されているという米中首脳会談まで、落とし所を探る交渉が続くだろう。
トルコリラ反発も…外貨建て預金に増税の効果は「?」
エルドアン政権はリラ防衛策として、トルコリラ建て預金の利子に対する税率を引き下げ、外貨建て預金の利子に対しては増税を行うと発表した。これにより、トルコリラが対主要通貨で、反発しているようだ。
ただ、トルコ国内でこうした政策をとっても、持続性はあまりないだろう。トルコ経済をどう立て直すか、エルドアン独裁が経済に与えるネガティヴなインパクトをどう解消するか、市場を納得させる政策を打ち出せるかどうかだろう。
市場は見極め姿勢…米国雇用統計の発表がヤマか?
先週も指摘した通り、市場は来週にかけて発表される、一連の経済指標発表を見極める姿勢である。直近、米国では、シカゴ購買部協会景気指数(8月)、ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値(8月)といった景況感指数が発表される。ただ、ヤマはやはり来週の雇用指標であろう。
通商政策関連では、米国とカナダのNAFTA協議の進展があるかは注目である。
長谷川 建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) CIO