家の「各部のサイズ」に無頓着な営業担当はNG
前回紹介したような素敵な空間を演出する秘訣は、どの住宅会社でも知っているわけではありません。
では、その秘訣を知っている会社に出会うにはどうすればいいのでしょうか。
住宅会社の窓口となるのは営業担当です。したがって、会社選びの段階で実力のある営業担当に出会うことができれば、素敵な家になる確率は格段に上がります。
ここでいう営業担当の実力とは設計力のことです。土地を見て、お客様のご希望をお聞きし、即座に理想的な図面が頭に浮かぶのが設計力。もちろん、最終的には資格を持つ設計士が図面を引きますが、最初の窓口となる営業担当にも設計力があれば、設計士の提案と合わさってより素敵な家になるはずです。
また、会社選びの段階で営業担当の設計力を見極められれば、無駄に住宅会社を回ることもなくなります。
営業担当の設計力を見極める方法には、次のようなものがあります。
図面やモデルハウスの各部のサイズを即答できる
特に狭小住宅の場合は、ミリ単位で住み心地が変化します。そのため、設計する際は各部のサイズに細心の注意を払います。ここが無頓着な営業担当では、いい提案は期待できないでしょう。
例えば3階建ての家の場合は階段幅を聞いてみてください。即答で75㎝以上のサイズが言えなければだめです。3階建ては避難経路の関係で75㎝以上にしなければならないからです。
敷地の問題に対する解決策を持っている
狭小地や変形地に家を建てる場合、もっとも多い不安が「希望の間取りが入るか」でしょう。これが実現できなければ家を建てる意味がなくなってしまうケースもあります。
そこで「あの土地に3LDKは入りますか?」といった間取りに関する質問をしてみましょう。細かい部屋のサイズまではいいとして、入るか入らないかぐらいは即答できなければ設計力はない、と見ていいでしょう。もし、土地の場所を教えて数日後にこの質問をして「土地を見てないから分かりません」という回答であれば、それは論外です。設計力どころかやる気がない、と判断できます。
「追加費用の予測」ができる担当者を選ぶ
追加の費用が予想できている
狭小地・変形地での建築では広めの整形地ではあまりない出費が発生する場合があります。例えば、お隣との関係で水道工事をやり直したり、道路との高低差で土地を造成したり、といったことです。
設計力のない営業担当の場合、このような出費を予想することができません。相見積もりをする際は、合計の価格だけでなく、このような追加費用が入っているかも確認するべきです。
もし、見積り依頼をする前に設計力を見極めたいのであれば、事前に土地を見てもらい「追加費用はありますか?」と聞いてみましょう。ほかの営業担当からは聞かなかった費用を挙げ、その説明に納得できれば合格です。
希望を話し、提案を求める
営業担当には、初対面から家に対する希望をどんどん話すべきです。その際に考え込んでしまうような担当ならば期待はできません。
「明るい家にしたい」「開放感のあるリビングにしたい」などの希望に対して、「階段の腰壁にスリット」「折り上げ天井」といった提案がすぐに出てくれば設計力のある担当といえます。
話しやすさも確認
これは設計力とは関係ありませんが、話しにくい担当者も避けるべきです。施主と営業担当との関係もやはり人と人、相性というものがあります。初対面からすぐに契約したとしても完成まで最短でも6カ月。長い付き合いになるのですから、相性の悪い担当と接するのはだんだんと苦痛になり、夢のマイホームの打ち合わせがつまらないものになってしまいます。当然、いい提案も出てこなくなるでしょう。
また、居心地がいい会社の営業担当は、基本的に明るくて話しやすいはずです。住宅業界における居心地の悪い会社の典型は、厳しいノルマが課されていることです。押し売りされないためにも、やはり話しにくい担当者がいるところとは付き合わないほうがいいかもしれません。
奧本 健二
フォーライフ株式会社 代表取締役社長