酒田罫線法の線組における5つの「底型」
【ルール 9】
底練りの中で過去4~5本を一気に上抜く陽線は上げの兆し
【ルール 11】
W型、M型後の切り返し(両抜きも)は上げのはじめ
ルール 11に「切り返し」という言葉がある。これは罫線用語である。「両抜き」という用語とともに解説する(図表参照)。
まず、陰線の次に同じ長さの陽線が来た場合、これを「拍子木」と呼ぶ(A)。陽線が下にずれると「差し違え」(B)。
Bと同じに陽線が陰線の下部(終値)より安く始まって、上に抜けた場合はDのようになる。これを「両抜き」という。
そして、陰線の終値より高く始まって上に抜けるとCの形となり、これを「切り返し」という。前述した「線組み」の見方である。
最近はBもCも厳密に区別せず「切り返し」と呼ぶようで、FAIでも厳密な区別はしない。
[図表]切り返しの形
また、両抜きの正反対を「孕み(はらみ)」と呼ぶ(E)。
これら5つを酒田罫線法の線組みでは「底型」としている。5つのうち底型としていちばん強いのはCとEである。次がD、最後にA、Bという順になる。しかし、前後の動きによってちがってくるし、FAIでは線組みの細かいちがいを重要視する場面はない。
切り返しという言葉についても、酒田罫線法の線組みではなく、一般的な用語、つまり「値動きの反動」と理解していればよい。
値動きの「底固めの横ばい」の感覚を捉えることが大切
W型は、第1回で解説した底練りの形である。底値の往来がアルファベットのW型になるわけだ。同じようにMの形に見える底練りもあるが、やはりMとかWを強く意識する必要はない。
説明に都合のよい値動きが、そうそうあるわけではない。現実では、典型=例外という認識が必要だ。しゃくし定規に典型を探そうとすれば、細かい部分にだけ目がいって、肝心なものを見落としてしまう。
W型、M型という言葉を頼りに多くのチャートを見て、「底固めの横ばい」を感覚的に捉える姿勢が大切だ。
兆し陽線についても同じことがいえる。ただ単に「安値での長い陽線」が、上げを示唆する兆しとして評価できるわけではない。
●十分に下げる
●底の形が出来る(底練りをする)
●明らかに傾向の変化と見られる陽線が出るという具合に、総合的に判断するのだ。
やはり慣れが必要であり、慣れるために同じ規格で描かれた多数のチャートを見る経験が必須だ。