本連載では、株式会社GOSPA代表である滝内恭敬氏の著書『なぜ高収入社長よりも、低賃金サラリーマンの方が人生のステージが高いのか?』(サンライズパブリッシング)の中から一部を抜粋し、自分がいなくても自動的に稼ぎ続ける仕組みを作る方法をご紹介します。

ステージ上昇には、取り組む順番を守ることが必須

まずは、「ウェルススペクトル理論」について触れましょう。

 

ビルを建てるイメージをしてください。基盤工事をして、柱を組んで、1階ずつ建てていくのが一般的ですね。しかし、もし、「とりあえず高くなればいい」という手抜き工事によって建ててしまえば、当然不安定なビルとなり、突然床の底が抜けるかもしれません。

 

過去の私は、一時的に収入が増えたものの、何かの拍子に一気に収支がマイナス状態に陥ったことがありました。その原因は、手抜き工事をしていたからです。やるべきことをしていなければ、容易にステージが下がり、3階にいたのに、気がつけば柱が崩れて地下室まで転落していた…というひどい転落劇が起こります。もともと地下室にいる状態よりも、3階から落下する方が、衝撃が大きいですよね…。ビル建設では強固な柱をしっかりと組みますが、人生のステージにおいても同様に、それぞれのステージで強固な柱を組む必要があります。柱を組む前に天井をつけることができないように、ステージ上昇には取り組む順番を守ることが必須です。

 

先に申し上げておくと、成功に年齢は関係ありません。年配だから偉い、若いから偉くない、という判断はできません。というのも、仮に若くして成功している人であっても、やるべきステップを着実に踏んでいるのであれば強固な基盤ができています。逆に、年齢を重ねている人であっても、やるべきことをスキップしてしまうと、起業や投資に失敗して退職金を安易に吹き飛ばすなど、転落の可能性を膨らませてしまうのです。

 

ですので、あなたが今どこのステージにいようとも大丈夫です。あなたの現在地からスタートしましょう。そして、二度と崩れることがないように、本書を通じて、しっかりと地下室から基礎工事をしていきましょう。

 

[図表1]

今では、スマホやタブレット、あらゆる通信媒体を活用することで、いつでも無料で情報を入手できるようになっています。便利さを感じると同時に、求めていない情報までもが、あなたの耳に飛び込んでくることもありますよね。「これをやったら儲かる」という類の情報がいい例です。

 

そんな中、先ほども述べたように私たちが着実に人生のステージを高めるために、現在地にふさわしい情報を選択する力が求められているのです。突然ですが、あなたは、ご自身の人生のステージは高い方だと思いますか? それとも、低い方だと思いますか? これが、とても漠然とした質問であることは承知の上です。

 

本書のタイトルである、「なぜ、高収入社長よりも低賃金サラリーマンの方が人生のステージが高いのか?」を見て、「一体どういうことだ?」と首をかしげた人も多いことでしょう。実は、本書でお伝えする「ウェルススペクトル理論」を正しく理解すると、正しいタイミングで正しいことをしなければ、仮に高収入の社長であっても、低賃金のサラリーマンの方が、実は人生のステージが高かった! ということが容易にありえるのだと理解できます。

人生を9つのステージに分けるウェルススペクトル理論

「ウェルススペクトル理論」では、人生を大きく9つのステージに分けることができ、万人が必ずどこかのステージに所属します。それぞれのステージの名前はスペクトル光線の七色に赤外線と紫外線を加え、下のステージから、赤外線、赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫、紫外線と命名されています。

 

[図表2]ウェルススペクトル

一般社団法人 日本適性力学協会 認定スペクトルマスター講座テキストより引用
一般社団法人 日本適性力学協会 認定スペクトルマスター講座テキストより引用

 

私自身は、そのうちの5つのステージ(赤外線〜緑)をこれまでに経験しており、これからさらなる高みへとチャレンジをし続ける起業家の一人です。ですので、私よりも高いステージに所属する人は世の中に山ほど存在します。とは言っても、ほとんどの人が上位3つのステージ(藍、紫、紫外線)以外に所属するということをご理解ください。

 

[図表3]本連載におけるステージの呼び名

しかし、ステージが高ければいいのか? と聞かれると、必ずしもそうとは限りません(もちろん素晴らしいことですが)。中には、先ほどの「ウェルススペクトル理論」の、黄色レベルにとどまるという決断をし、たった一人で年間数十億円もの金額を稼ぎ出す人もいます。ですので、大切なのは、あなた自身の目的地を正しく理解することです。

 

9つのステージについて、ただツラツラと説明を書き並べるだけでは実感が湧かないこともありますので、過去の私の体験に基づいて、ステージをご紹介します。本連載では、「経営者レベル」について見ていきます。

「いかに社員に稼がせるか」という視点を持つ

体には、骨があり、臓器があり、そこに血液が流れ、一つの集合体を形成して存在しています。組織もこれと同じです。一つ一つが重要な役割を担うパーツであり、それぞれに持ち味を出しながらも、好き勝手に暴走してはいけません。素晴らしい「調和」の中で存在しています。

 

逆に、どこか一つの臓器で問題が起きると、他の臓器にも問題が転移するように、一人だけでも調和を乱すメンバーがいれば、他のメンバーにも悪影響を与えてしまうものです。

 

経営者ステージでは、その調和を形成するスキルが求められます。「ウェルススペクトル理論」では、「緑レベル」と呼ばれています。

 

起業家ステージでは調和を意識する必要がなく、自由気ままに振舞うことができました。しかし、そのルールは一旦白紙に戻しましょう。

 

体には絶えず血液が流れ続けていますよね。当然、血液が止まると身体機能が停止します。止まらなかったとしても、血流が悪くなると、思考力や身体的パフォーマンスが格段に落ちます。血液は、ビジネスで言うお金です。当然のことではありますが、このステージでも決してお金の流れを止めてはいけないということです。

 

社長は頭脳、チームメンバーは手足です。手足が冷え性になっているのは血流が悪い証拠。脳にまで血液が充分に行き届いていないと、社長の指揮がうまくとれていないことになります。全体にスムーズに循環していることが大切です。また、血流が早すぎてもよくないように、適度な潤滑さが求められます。

 

つまり、社長には、今まで通りがむしゃらに自分が稼ぐのではなく、チームメンバーを稼がせるためのサポート役に徹する必要性が出てきたということです。

 

起業家ステージでは、収益のすべてを自分のものにできていましたが、チームを形成すると、ここでもルールが変わります。起業家ステージでは「いかに自分が稼ぐか」だったのに対し、経営者ステージでは「いかにチームメンバーを稼がせるか」という意識です。

 

[図表4]経営者ステージ

先を急がず、現在の地盤を固めることが重要

ルールが変わると頭ではわかっていながらも・・・私はまたもや、起業家ステージから経営者ステージへ行く際に、新たな試練を味わいました。ここでも、過去の成功戦略を捨てる必要があったにも関わらず、なかなか起業家ステージでの成功戦略を白紙に戻すことができなかったのです。

 

何度も言いますが、「ウェルススペクトル理論」の原則として忘れてはならないのは、ステージが変わると過去の成功戦略は、失敗戦略に変わるということです。

 

向上心のある起業家ほど、早く結果を出したくなるものです。9つのステージにおいても、早急に上のステージに上がりたいと熱望することもあるでしょう。私も、早くテッペンまで行こう! とばかり考えていた時期がありました(笑)。

 

しかしながら、大半の経営の失敗は、先を急ぎすぎることで生まれます。「今やるべきことを確実にこなし、段階的に進むこと」がとても大切なのです。

 

一気に上のステージに行こうとするのではなく、まずは確実に現在のステージを固めるために、今までの中でやり残した課題がないようにし、二度と抜けない床を形成してから、一つ上のステージに行くことです。

 

私は、幸いなことに、今では素晴らしいチームと共にビジネスを展開できていますが、過去には、チームを何度か形成したものの、チームメンバーの裏切りと数回のチームの崩壊によって、振り出しに戻る羽目になった経験があります。

 

以前、私は10人ものコンサルタントチームを形成していた時期がありました。その中に、トップセールスとして活躍していた男性がいました。

 

彼にはカリスマ性があり、影響力のある話し方のできる人で、そのおかげでクライアントからも人気がありました。しかし、最終的に、彼自身のクライアント全員と、コンサルタントメンバーの8割を引き連れて、彼は競合を立ち上げることになってしまったのです。彼の影響力があるだけに、真実でないこともクライアントやコンサルタントたちに噂として広がり、ひどい別れ方をしたものです。

 

もちろん、トップセールスとコンサルタントメンバーがごっそり抜けてしまったことで売上が急激に下がり、大きな打撃を受けました。幸いにも残ってくれたメンバーが積極的に活動してくれたため、経済的打撃はすぐに回復したものの、精神的打撃は大きなものでした。そんな中でも、私を信じて残ってくれたメンバーがいてくれたおかげで、もう一度スタートを切ることができたのです。

 

しかし、これらの問題にも、社長である私にすべての原因がありました。それはズバリ、あらゆることを急ぎすぎたために、判断が鈍っていたということです。私に限らず、ナンバーツーに裏切られるというケースが世の中には多数あります。

 

経営者ステージ確立には、ナンバーツーの存在が鍵です。次回で、ナンバーツーの選び方についてお伝えしますが、多くの社長が求めて止まない存在であると同時に、慎重になるべき点でもあります。

 

そんな中でも、ふさわしいナンバーツーと出逢えた人が得られるリターンは限りなく偉大なものとなるでしょう。

なぜ高収入社長よりも、低賃金サラリーマンの方が人生のステージが高いのか?

なぜ高収入社長よりも、低賃金サラリーマンの方が人生のステージが高いのか?

滝内 恭敬

サンライズパブリッシング

世界のミリオネアが実践! お金と時間の自由を手に入れる9つの人生上昇戦略。 「富の階段」を登る人・落ちる人 その違いは「収入が多いこと」ではない!

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