物件が決まれば、あとの取引はほぼ「定型化」
購入する物件が決まれば、あとの取引はほぼ定型化されており、事務手続きは原則として、エージェントとエスクロー会社が代行してくれます。そのため、買主は通常、売主と一度も顔を合わせることがありません。
これに対し日本では、残金の支払い、ローンの実行、鍵の受け渡し、登記手続きの委任などを一度に行う「同時決済」というやり方が一般的で、その際に売主、買主、仲介会社、銀行担当者、司法書士などが一堂に会します。
ハワイでは、売主との交渉もすべてエージェントを通して行うので、日本の不動産取引のやり方に慣れている人からすると「大丈夫だろうか?」と思うかもしれませんが、アメリカのこのやり方は非常に合理的で安全です。
逆に言うと、信頼できるエージェントを選ぶことがとても重要ということになります。
不動産購入のステップ
1.購入申し込み(オファー)
書面で、デポジット(証拠金)を添えて行います。この時点で、ハワイの銀行に口座を開設することをお勧めします。
2.売主の返答
オファーに対する売主からの返答が来ます。カウンターオファー(条件変更の申し出)がなければ自分のオファーのまま契約成立、カウンターオファーの申し出があればそれを検討します。
3.契約の成立・デポジットの入金
4.エスクロー口座の開設
5.ホームインスペクション(建物検査)の実施
買主が選んだホームインスペクター(建物検査員)が建物の詳細な検査を契約後7日または15日以内に実施します。費用は買主負担。
6.建物検査結果の受理、確認、承認
ホームインスペクションの内容に納得すれば、契約手続きを進めます。
※キャンセル
もし、検査の結果、建物の状態に満足できない場合、買主はキャンセルでき、デポジットはホームインスペクションの費用を除き買主に払い戻されます。
7.追加デポジットの入金
8.事実内容開示書の受理、確認、承認
物件の故障や不具合、事故等に関して、売主が知る限りの情報が記された事実内容開示書を受け取ります。買主は開示書を受け取った後、契約で定められた期間内に内容を確認し、承認するかどうかを決めます。
※キャンセル
もし、開示書の内容を確認して承認できない場合、買主はキャンセルでき、デポジットは買主に戻されます。
9.各種ドキュメント(関係書類)の受理、確認、承認
●コンドミニアムの場合、コンドミニアムドキュメント、運営状況、規約、役員会の報告書など
●一戸建ての場合、建築許可書のセット、建築許可書の内容、建築規定など
●管理組合の場合、建築規定、規約、役員会の報告書など
※キャンセル
もし、各種ドキュメントを確認して承認できない場合、買主は契約をキャンセルでき、デポジットは買主に戻されます。
10.名義調査報告書の受理、確認
名義調査報告書には、現在の所有者の名前、ローンにともなう抵当権の有無をはじめ、物件に関する法律上の諸規定などが記載されています。定められた期限内に内容を確認し、不審な点や名義に疑義がある場合、通常、売主は名義を修正し、買主に疑義のない名義を譲渡します。
11.土地の測量
一戸建ての場合、売主の負担で土地の測量が行われます。測量の結果、塀などが誤差規定を超えて隣の土地に侵入している場合、隣との同意書を取り交わします。
12.シロアリ検査
売主の負担でシロアリ検査が行われます。シロアリの生息が確認された場合、一戸建てでは売主の負担でシロアリ駆除を行います。
※キャンセル
もし、シロアリが柱や土台に侵食し、構造上の大きな問題が判明した場合、買主は契約をキャンセルでき、デポジットは買主に戻されます。
13.最終的な物件のチェック
物件の引き渡し前に最終的な確認を行います。売主の私物やごみの撤去確認、清掃状況や家具付きの場合は家具のチェック、修理依頼をした場合は修理箇所のチェックを行います。
14.登記書類のサイン
上記の条件がすべて整った後、登記の書類に署名、公証手続きを行います。
15.残金の支払い
残金は登記日の3日前までにエスクロー会社指定の銀行口座に送金します。
16.登記完了
登記当日は、エスクロー会社より登記の確認の電話があり、鍵を受け取ります。