保有株数に比例して優待内容がアップするため・・・
前回の続きです。今回は、しくじりポイントを見ていきます。
③3単位(300株)買っていたので
ここでのしくじりとは、一つの優待銘柄に、集中して投資してしまったことです。その結果、優待改悪による株価下落の損失を、集中して被ってしまったからです。
私は普段から、リスク分散のため、個別銘柄については、(優待銘柄に限らず)できれば10万円以下、高くても10万円台後半のお手頃な銘柄を選ぶようにしていました。今回のヴィア・ホールディングス(以下、ヴィア)も、最低購入額は10万円前後でした。
しかし、私はそれを3単位(300株)も買ってしまい、結果、合計約30万円(約10万円×3単位)と、一銘柄への投資額としては、それなりの金額となってしまったのでした。
なので、優待改悪による株価下落の影響は大きく、一銘柄で6万円以上の損失を被ってしまったのです。
なぜ、同じ銘柄を複数単位買ってしまったのか・・・その原因は、ヴィアの優待の特徴にありました。
ヴィアの優待は、保有株数が2倍、3倍・・・になれば優待内容も2倍、3倍に・・・と、保有株数に比例して、その優待内容もアップするという、珍しい特徴があったのです。
具体的には、100株保有で年間5000円分、200株保有で年間1万円分、そして300株保有で年間1・5万円分と、保有株数が増えるほど、もらえるお食事券もドンドン増えていくのです(1000株保有〔年間5万円分〕が上限)。
一般的な優待の場合も、保有株数が増えれば優待内容もアップするものですが、通常は500株、1000株など、節目でアップするケースがほとんどです。
たとえば𠮷野家なら、100株以上保有で年間6000円分、1000株以上保有で年間
1.2万円分、2000株以上保有で年間2.4万円分となります。
なので、100株保有でも、200株保有でも、900株保有でも、もらえる優待券の金額(年間6000円分)は変わりません。しかも、1000株保有したとしても、保有株数に比例するような内容アップはしないのです(もしも比例するなら、1000株保有で、優待は年間6万円分にもなりますね)。
つまり、一般的な株主優待においては、保有株数は100株(※)のみに留めておくのが、最も効率的ということなのです。
※多くの銘柄では、最低取引単位(≒株主優待の権利を受け取れる最低株数)は100株である。
大きなリスクが伴う、個別銘柄への一点集中
ところが前述のとおり、ヴィアの株主優待は、保有株数に比例してその優待内容がアップするという、非常に珍しいタイプでした。なので、保有株数を100株のみに留めておく理由は、とくにありませんでした。
しかも、優待利回りも程よく高く(5%程度)、近所にお店もあったので(そして美味しい)、私は100株、200株、300株と、ドンドン買い増していったのでした。目指せ1000株・優待年間5万円分と、これからもドンドン買い増していこうかとすら思っておりました。
・・・そこにきて、突然の優待改悪でした。
ちなみに、この改悪(「使用枚数制限なし」が「1000円食事毎に1枚(500円)使用可」と制限付きとなった)と同時に、優待額については2倍にアップしたのです。なので、発表当初は、「総合的に見れば、これは改善ではないのか?」という意見もあったようですが、この発表翌日に株価は2割ほど急落したことから、多くの人は、やはりこれは「改悪」と取ったようでした。
ただ、前述のヴィレヴァンと違って、ヴィアの業績は安定していたことから、今回の改悪を、事前に予想するのは、かなり難しいことでした。なので、この優待改悪を予想できなかったことは、しくじりとは思っておりません。
そうです、繰り返しますが、今回のしくじりは、一つの優待銘柄に集中して投資してしまったことなのです。
株主優待は大いに魅力的ですが、実際にその優待が届くまでは、そして、実際に使ってみるまでは、けっこう不安なものです。実際に手にして、使ってみて、「アレッ?」となることも多々ありますので。
でも逆に、実際に手にして、そして使ってみて、それが素晴らしいモノだと実感すれば(実際、私はヴィアの優待券を使って大満足でした)、その安心感から「買い増し」を検討してみたくなるのが人情というもの。ましてや、ヴィアの優待のように、保有株数に比例して内容がアップするともなれば、これは「買い増し」をしない理由はありませんでした。
しかし、一点集中投資は、とくに個別銘柄への一点集中は、たいへんなリスクを伴います。
今回は、その優待内容もさることながら、「保有株数に比例して、優待内容もアップする」という特徴にも心奪われてしまったことが、しくじり(一つの優待銘柄への集中投資)の要因でした。
「家族名義で保有」という裏ワザにも要注意
ちなみに、「保有株数に比例して、優待内容もアップする」銘柄でなくても、ある『裏ワザ』に気付いてしまうと、魅力的な優待銘柄を、ついつい買い増ししてしまう(一つの優待銘柄に集中投資してしまう)恐れがあります。
その『裏ワザ』とは、家族名義で保有すること。
妻、子供など、家族名義で証券会社に口座を作って、家族一人一人が(最も効率の良い)100株ずつ保有することです。裏ワザというか、優待ファンの間では有名な方法です。
たとえば、𠮷野家を1人で500株保有しても、優待内容は、100株保有時と変わりません(年間6000円分)。しかし、5人家族で、5人がそれぞれ100株ずつ保有すれば、家族全員で年間3万円分もの優待を受け取ることができるのです。
ただこの場合、𠮷野家だけで100万円ほどの投資(株価約2000円×500株)となってしまうので、そこは注意しなければいけません。
もちろん、私もこの裏ワザ(家族名義保有)を使っていますが、家族全員の合計額には気をつけて、一つの銘柄に集中しないよう心がけております。
●まとめ
→株主優待目当てなら、保有株数は100株に留めておくのが効率的
→保有株数に比例して優待内容がアップするケースでは、買い増しのリスクも十分考えること
→家族全員がそれぞれ100株ずつ持てば、そのぶん優待を多く受けることが可能