「自分好みの腕時計」を選んだことが敗因に・・・
<しくじりポイント>
①好みと実用性を重視してデイトジャストⅡを選択
投資における鉄則の一つが、「自分が気に入ったものではなく、皆が気に入りそうなものを選ぶこと」です。
これは、経済学者ケインズが「美人投票」(※)として例えたことでも有名ですが、腕時計投資においても通用する考えです。
※ケインズの言う「美人投票」とは、投票者全体の中で、一番票の多かった人を当てた人が賞金を得られるというもの。すなわち、自分以外の、多数の人の思惑によって、結果は決まるということ。
そういった視点で見れば、今回においては、明らかにサブマリーナの方が人気だったわけで、まったくの自分好みでデイトジャストⅡを選んだことは、完全なるしくじりだったのです。
ちなみにロレックスの中でも、昔から、サブマリーナは根強い人気があったことは、少し調べればすぐに分かることでした。なので、少しでも「美人投票」の視点があれば、サブマリーナを選んでいたわけですが・・・。
そして案の定、腕時計相場が上昇した際には、デイトジャストⅡよりもサブマリーナの方が、はるかに値上がりしたのでした。しかも、人気のサブマリーナは買取相場も高く、当時の買値を超えている状況でした。これにはデイトジャストⅡの含み損が際立ってしまい、とても残念だったことは、体験談でも書いたとおりです。
このように、腕時計のような、個人の趣味・嗜好が強く反映されるモノにおいても、投資的側面がある以上(投資目的で売買する人がいる以上)、この「美人投票」の影響は避けられないのです。
実は、ロレックスを購入する数年前に、フレデリック・コンスタントというブランド(分かる人は、かなりの腕時計好きです)の腕時計を買ったことがあります。
このときは、投資の視点はまったくなく、完全なる趣味として。
個性的なデザインと、世界200本限定という希少価値に、店頭で一目ぼれして買いました。価格はたしか、15万円くらいでした。
そして先日、興味本位で、(売るつもりはまったくありませんが)この時計の買取相場を調べてみると・・・なんと、わずか2万円程度。個人的には、カッコ良くて、コスパ抜群で、そして何より世界200本限定の希少価値から、最低でも10万円にはなるだろうと思っていただけに、そんなに安いものかとショックでした。
自分がいくら価値を見出していても、皆がそこまで価値を見出さなければ、その程度の評価になるわけで、まさに「美人投票」の理屈そのものでした。
腕時計の購入を「投資」と割り切ることが大切
さて、もちろん私は、「美人投票」の理屈そのものについては知っておりましたし、実際、普段の投資においても、その「美人投票」は意識しております。
でも今回、それができていなかったのはなぜか・・・それは、腕時計を買うことを、「投資」と割り切っていなかったからです。初めての本格高級腕時計の購入(前述のフレデリックは、高級時計というには微妙なところ)に妙にテンションも上がり、気持ちの50%くらいは、趣味として腕時計という「商品」を選ぶ、買物気分だったのです。
そんなことから、自分の好みや実用性を重視して、クラシックでクールな、使い回しが良さげなデイトジャストⅡを選んだのでした。
とはいえ、「投資」の視点も50%入っていたので、ロレックスというメジャーなブランドを選んだわけです。
なぜなら、ロレックスの知名度は抜群で、腕時計市場においても圧倒的な人気で、値崩れしにくいからです。ここはまさに、「美人投票」を意識してのことです。もし、完全に趣味の立場で選んでいたのであれば、ロレックスよりも(ロレックスも嫌いではありませんが)、おそらくもっとも自分好みのマニアックなブランドを選んでいたと思います。
つまりは、半分は「投資」、半分は「趣味」という、きわめて中途半端なスタンスだったわけです。
それゆえ、投資における残念な結果(人気のサブマリーナを選んでいれば儲かったが、デイトジャストⅡを選んだがゆえに15万円もの含み損)もさることながら、趣味として腕につけるときにも、(自分の好みで選んだわけではないので)不完全燃焼が残るのでした。
そんなしくじりもあって、今後、腕時計投資をするときには、しっかりと「投資」と割り切って、すなわち、完全に「美人投票」の視点で、腕時計を選ぶつもりです。
●まとめ
→買う前に、マニアの間で何が人気かをきちんと調べておく
→マニアックなブランドは、どれだけセンス&コスパが良くても、高値になりづらい
→腕時計投資をするときは、「美人投票」の視点で品物を選ぶ