どんな投資商品にも必ずリスクがあります。今回は、投資におけるリスクとリターンの関係について改めて見ていきます。

利率の高い金融商品には必ず相応のリスクがある

多少のリスクをとることを覚悟すると、年利2%程度の金融商品を見つけることは、それほど難しくありません。例えば、分かりやすいところでいえば、外貨預金です。

 

外貨預金とは、円を外貨に交換して預金するものです。例えば、1オーストラリアドル=100円のときに、オーストラリアドルの外貨預金を100万円で始めると、1万オーストラリアドルの外貨預金口座がつくれます。この外貨預金口座であれば、定期預金で年利2%以上を得ることができるかもしれません。

 

しかし、利率の高い金融商品には、必ずリスクがあります。外貨預金のリスクは、まず為替リスクが存在することです。もし外貨定期預金が満期になったときに、1オーストラリアドル=90円になっていたとしたら、手元に戻ってくる1万ドルは90万円にしかなりません。

 

この場合、たとえ年利2%が3年間ついていたとしても、トータルではマイナスになってしまいます。さらに、外貨預金には預金保険(ペイオフ)が適用されません。たとえ日本の銀行で外貨預金をしたとしても、その銀行が破綻した際には、外貨預金口座の元本の返還は保証されません。為替の変動を予測するのはとても難しいので、投資初心者には為替リスクをとることはお勧めしません。

 

外貨預金以外に、銀行が扱う利率の高い金融商品には、仕組預金というものもあります。これは、預金に為替リスクや、流動性リスクを組み込んだ商品です。流動性リスクとは、例えば一定期間は解約できないなど、預金引き出しの自由を奪うものです。普通の預金であれば、いつでも解約できますが、一部の仕組預金は、一定期間は預けっぱなしにしてくれるという約束のもとに年利を高くしています。

 

流動性リスクは、一定期間はお金を引き出せなくなるものの、それさえ守ればまず元本が保証されるため、円預金しかしたことがない人にとっても比較的とりやすいリスクです。そのため、年利が劇的に高くなることはありませんが、預け入れの期間を長くすることで2%に近い利回りを得ることも可能になります。

 

流動性リスクをとる代わりに利回りを高くしている金融商品の代表的なものは、国債をはじめとする債券です。後で詳しく説明しますが、債券とは、途中換金さえしなければ、あらかじめ決められた年利と元本が保証されるという点で、まさに流動性リスクをとった金融商品になります。

 

とはいえ、国債以外の債券を購入するには証券会社に口座を持つことが必要ですし、これまで銀行口座しか開設したことのない人にはややハードルが高いかもしれません。そこで、最初の一歩として、銀行でも買える債券型の投資信託という金融商品をお勧めします。

「自分がどのようなリスクを負うのか」を必ず把握

投資信託(ファンド)とは、ハイリスク・ハイリターンの株式や、ローリスク・ローリターンの債券など、さまざまな金融商品を組み込んでつくられたパッケージ型の金融商品です。リスクをできるだけ負わずに、2%程度の年利を得るという目的から考えた場合、株式を組み込んだ投資信託は選択肢から外したほうが無難でしょう。株には、株価変動リスクがあるからです。

 

では、債券だけ組み込んだ投資信託であればよいのかといえば、そうでもありません。アメリカ国債や海外企業の社債などを組み込んだ投資信託の場合は、海外通貨での投資になるため、前述の為替リスクを同時に負ってしまうからです。

 

それなら、国内債券だけを組み込んだ投資信託であればよいかといえば、そうとも言い切れないのです。なぜなら、国内債券ファンドはいずれも利回りが低く、年利2%に届かないことが多いからです。利回りが2%を超えているファンドがないわけではないのですが、投資信託には手数料がかかるため、手数料を引くとほとんどの国内債券ファンドの利回りが2%未満になってしまいます。日本と海外では金利差があるため、どうしても国内債券の利回りは低くなってしまうのです。

 

そこで、一つの方法が、為替ヘッジ(為替変動リスクのヘッジ)を行っている海外債券ファンドを探すことです。為替ヘッジとは、あらかじめ為替レートを予約することで為替変動リスクの影響を少なくすることです。為替ヘッジを行っている海外債券ファンドであれば、国内債券ファンドより利回りのよいものを見つけることができます。

 

いずれにしろ、大切なお金を預けるときに重要なのは自分がどのようなリスクを負うことになるのかを理解することです。仕組預金にしろ、投資信託にしろ、契約をする際にはどのようなリスクがあるのかを窓口でよく聞いてください。そして、為替変動リスクと株価変動リスクの2つは、ある程度の投資経験を積んでから考えてみてはいかがでしょうか。

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