被災者に直接配られる義援金、支援者を支える支援金
皆様は、「義援金」と「支援金」の違いをご存知でしょうか。大規模な災害が発生した時の金銭的な支援では、多くの方がこの言葉の違いを意識されずに寄付先を選定されているかもしれませんが、この二つにはそれぞれ違った性質があります。
最近では、報道やインターネット上の情報でこの違いを解説しているのを時々目にするようになりましたが、まだまだ混同されることも多いので、下記の通り解説したいと思います。
義援金は、災害により生命・財産に大きな被害を受けた人たちの生活を支えるための見舞金の性格を持つもので、災害が起きた際には日本赤十字社・中央共同募金会(赤い羽)・自治体・報道機関など多くの団体が受け付けます。
受け付けられた義援金は被災地の自治体に送られ、第三者機関である義援金配分委員会(被災自治体、日本赤十字社、報道機関等で構成)によって配分基準が作成され、被災者に公平・平等に配分されます。
被災者に公平に配分される直接的な支援のため、被災者の生活再建には欠かせない大切なものですが、救命・復旧活動に使われるものではなく、届けられるまでに時間を要するという特徴があります。
そういう意味では「直ちに被災地を支援したい!」という寄付者のニーズにはマッチしません。
一方、支援金は、大規模な災害が発生した際に、被災地で活動するNPO(非営利団体)などに対して活動費の支援として送られる寄付金をいい、すぐに各団体が得意とする分野の物品購入や支援活動のために使用され、被災者の元へ支援となって届けられるため、すぐに被災地に届いて救命・復旧に使われるという特徴があります。
ただ、支援金の使い道は受け取った団体の判断に委ねられることになるため、刻一刻と変わる被災地のニーズに対して柔軟に使用できるメリットがある反面、活動実績がない団体などに渡った場合には有効に活用されるのか不安が残る点はあります。
そのため、過去の活動報告を見るなどして信頼できる団体を寄付先に選択する必要があります。
[図表]支援金と義援金の違い
シンプルに言うと、被災した人たちに直接配るのが義援金で、被災者を支援している人たちを支えるのが支援金です。
「自分がしたい支援は何か」を明確に
自分がしたい支援は、被災者の生活再建のサポートなのか、それとも被災地での緊急救命活動や復旧活動なのか、その時の災害の状況と自分の気持ちの両方を考えながら選択するとよいでしょう。
皆様には単に衝動やおつきあいではなく、意志を持って寄付をする「寄付のリテラシー」を高めていただけたら幸いです。
なお、個人や法人が義援金を支出した際には、ほとんどの場合(特定寄付金等に該当する場合)に寄付金控除や全額損金算入の対象になりますし、支援金の支出の際も寄付先団体が認定NPO法人や公益社団・財団法人等の公益法人だった場合には、寄付金控除や一部損金算入の対象となります。寄付に関する税制については、次回以降で詳しく説明したいと思います。