歴史的な大雨により、甚大な被害を受けた西日本
2018年7月に西日本を襲った記録的な豪雨。数十年に1度と言われる大雨災害に気象庁が最大級の警戒を呼びかける「大雨特別警報」は、6~8日にかけて計11府県に出されました。
その被害は9日にかけて広い範囲に拡大。総務省消防庁によると、9日午前5時現在で避難指示・勧告は岐阜県から鹿児島県まで17府県に及び、各地の避難所には8日夜時点で、少なくとも約2万3,000人が避難していたそうです。
今回の災害により、広島、愛媛、岡山3県を中心に12府県で110人が死亡、行方不明者は依然62人に上り、3,800棟を超える建物が被災するなど、9日現在でまだその全容が把握できないほどに被害が広がっています。
梅雨前線の活動は次第に弱まり、警報は8日午後までに全て解除されましたが、各地で懸命な救助活動が続く一方で、地盤の緩みなどから、引き続き土砂災害等への厳重な警戒が必要な状況が続いています。
[図表]上空からの被災地(岡山県倉敷市)の様子
報道でも、「歴史的な豪雨被害」という言葉が使われていますが、総務省消防庁などの統計では、国内の豪雨災害で死者が100人を超えるのは、1983年7月に島根県などで発生した集中豪雨被害(死者計112人)以来35年ぶりで、平成では初めてとのこと。
実際に降雨が始まった時点ではここまで被害が拡大することは誰もが想像していなかったと思います。
報道やSNSから流れてくる現地の画像や動画を見る限り、土砂災害が発生した地域や冠水した街並みの被害は相当深刻な様子で、今後の緊急支援の時期が終わったあとも、復旧にはかなりの期間を要するのではないでしょうか。
必ず「現地の負担にならない支援方法」を選ぶ
このような被害状況を目にした際には、多くの方が「なんとか被災者の役に立ちたい」「自分にできることは何だろう」と思うはずです。
ただその時に注意しなければいけないのは、現地の負担にならない支援方法を選ぶことです。
例えば緊急支援の局面が終わらない段階、ボランティア募集も行われていない段階では、支援のプロでない人が現地に入っても役に立たないばかりか、むしろ支援対象者になってしまい、現地での支援活動の妨げになることになります。
また、よかれと思って送る物資が現地で思わぬ負担になることもあります。
大規模な災害が発生すると全国から救援物資が被災地に殺到し、被災地自治体の災害対応にかえって支障をきたすという事態がしばしば発生するのです。
救援物資は、必要なタイミングに必要な量が被災地届けばありがたいものですが、発災当初の被災地のニーズは刻一刻と変わり必要量も読めないため、一時的なニーズ要請による物資の送付は、被災地域に大きな負担を与えかねません。
そしてこの傾向は、個人からの救援物資において特に顕著になります。現場がまだ混乱している発災初期は、物資の洪水を防ぐためにも金銭的な支援が一番よいでしょう。救援物資やボランティアのニーズは、現地の支援活動が緊急の局面を終え、復旧の段階に移ってからが本番です。