「ビットコインの発行主体って誰なんだろう?」
投資を目的に仮想通貨を考える場合、一番やってはいけないことは「数打ちゃ当たる!の発想でとりあえず全部の仮想通貨を買う」ことです。たとえ9割ダメでも1割がビットコインみたいに大当たりすれば・・・と思うかもしれませんが、全敗の可能性もあります。仮想通貨に限らず他の投資でも同じことが言えますが「全部買おう!」は何も考えていないのと一緒です。以下のポイントを必ずチェックしましょう。
購入をしようとしている仮想通貨について、以下の問いに答えられますか?
① その仮想通貨は、どういう人たちが何をするための仮想通貨ですか?(つまり、何の事業に関する仮想通貨ですか?)
② ①の事業は将来、発展していく事業と言えますか?
③ 今までの仮想通貨との違いは何ですか?(既に仮想通貨は数多くあるので、ビットコインとの比較でもいいです)
④ その仮想通貨の発行主体の会社と代表者は、信用できますか?
⑤ 現在販売所でしか販売されていない仮想通貨の場合、取引所への上場予定はありますか?それはいつですか?(第2回で説明※書籍参照)
これらに答えられること、つまり、地に足がついていることが大切です。これらに答えられないようでは投資ではなく、ただの投機です。投機はギャンブルであり、お勧めできません。
しかし「④その仮想通貨の発行主体の会社と代表者は、信用できますか?」を見て思いませんか。「ビットコインの発行主体って誰なんだろう?」と。
サトシ・ナカモトでしょうか?
マイナーは「発行主体」ではない
正解からいうと、ビットコインは発行主体がありません。システムをメンテナンスしたり、改造する人はいますが、その人たちは発行主体ではないのです。
「発行主体」とは何でしょうか?
ここで思い出してほしいのが1章(※書籍参照)の冒頭で説明した「通貨発行権」です。
「通貨発行権」を持つ存在が「発行主体」です。日本円なら、日銀が発行主体です。日本銀行法において、日銀は銀行券を発行すると定められています。
しかし、ビットコインは世界中のマイナーによって採掘されています。マイナーが新規にビットコインを発行しているとも言えますが、マイナーは「発行主体」ではないのです。
日銀が行っている金融緩和を思い出してください。日銀は、日本国債と引き換えとはいえ、自在に日本円の発行量を増やし、金融緩和をしています。発行量を増やすだけでなく、発行量を減らすことだってできます。
一方、こちらは4章(※書籍参照)で説明しましたが、ビットコインは発行上限が2100万BTCまでと、あらかじめ決められています。
ビットコインは「もともと発行上限が決まっている」ようにプログラミングされており、その時々の状況に応じ、発行数を増減させるような「発行主体」は存在しないのです。マイナーは、ビットコインのプログラミング化されたルールにのっとって採掘しているにすぎません。
マイナーはビットコインを「発行」していますが、「発行主体」ではないのです。
「これから発展するもの」に投資するのが基本だが…
仮想通貨投資において、何も「仮想通貨投資だから他の投資と違う特殊な考えが必要」というわけではなく、投資におけるスタンスは株式をはじめとする他の投資と一緒です。
「これから発展する(信用できる)「国」「企業(事業)」「人」に投資する」です。
しかしビットコインは、「国」も「企業(事業)」も「人」も見えません。サトシ・ナカモトが一人なのかグループなのかもわかりません。それがわからないままその価値が高騰したのは、仮想通貨の祖であるという先行者利益が大きかったのでしょう。
ですが、ビットコイン以降のアルトコインは、後発であるからこそ「ビットコインにはない価値を示すこと」が重要視されます。しかし、有名なアルトコインですら「何のために作られている?」「どんな事業に使われる?」ということがはっきりしないものも少なくありません。
そういったアルトコインが高騰している状況は、バブル的な「人気」であり「信用」とは違います。「人気」と「信用」の違いは4章(※書籍参照)のVALUでふれました。投資は「信用」できる仮想通貨に行ってください。
なお、補足として、今は何をするために発行されているのかよくわからないアルトコインのうち、特に価値が上がり高騰したものについては「信用に足る明確な価値(将来性のある事業など)」を後付けで追加するところも出てくるかもしれません。
今の状況だけでばっさりと切り捨てず、長い目で見守っていきたいですね。