売りたい人と買いたい人が直接取引を行う「取引所」
1章(※書籍参照)で仮想通貨を売買できる場所として「取引所」を挙げましたが、「取引所」以外に「販売所」でも仮想通貨は売買できます。
大手取引所であるビットフライヤーは「ビットコイン販売所」「アルトコイン販売所」「ビットコイン取引所」があり、1つの会社が販売所と取引所の両方の機能を持っています。
取引所と販売所の違いは、「売る人」と「買う人」の関係性です。
「取引所」・・・「売りたい人」と「買いたい人」が取引する
「販売所」・・・「販売所」が「売りたい人/買いたい人」に売買する
「仮想通貨の取引所」の仕組みは、東京証券取引所等で取引される「上場株式の取引」と同じです。
[図表1]「取引所」と「販売所」の違い
本書で「販売所」でなく「取引所」を勧めるのは「取引所」の方が購入価格と売却価格の差が狭まるので利益を出しやすいからです。この2つを比べてみましょう。
【販売所の場合】
下図はあるビットコイン販売所の画面です。「購入価格」と「売却価格」の差額は以下の通りです。
198万6463円−190万8371円=7万8092円
[図表2]販売所の画面
この(BTC/JPY)とは、「ビットコイン一単位(1BTC)を、円(JPY)で決済する(購入もしくは売却をする)ときの価格」という意味の単位です。最初に表示される通貨が「主軸通貨」で、あとの通貨が「決済通貨」です。
外国為替証拠金取引(FX)をしている人にはおなじみの表記ですね。USD/JPYなら「ドル一単位(1ドル)を、日本円で決済するときの価格」です。
【取引所の場合】
取引所では「板情報」が出てきます。「板情報」とは、どの価格で売買注文がどのくらい出ているかを示すものです。ASKは「購入価格」、BIDとは「売却価格」のことです。
誰しも「なるべく安く買って、なるべく高く売りたい」ものです。そのせめぎあいが板情報に現れているのです。
[図表3]取引所の画面
上図の板情報を見ると「一番高く買おうとしている人」は「1BTCが192万5147円ならば、0.3BTC分買いたい」と注文しています。
一方視点を変えて、「一番安く売ろうとしている人」は「1BTCが192万5788円ならば、0.5BTC分売りたい」と言っています。
この場合の差額は、「一番安く売ろうとする人の希望売却価格」−「一番高く買おうとしている人の希望購入価格」=641円になります。
ちなみにこの、BIDとASKの差をスプレッドと言います。
「取引所」のほうが利益を出しやすい理由
先ほどの販売所では「ASK(購入価格)−BID(売却価格)」が7万8092円でした。取引所ではわずか641円です。この金額は「買ってすぐ売ったら損になる金額」と大体同じです。言葉通り「桁違い」ですよね。どちらが投資家にとって利益を出しやすいかは、言うまでもないことです。
なお、「板情報」に反映されるのは「1BTCが○○円ならば、△△BTC分買いたい(売りたい)」と、この値段なら買う(売る)と指定した「指値注文」の情報のみです。それ以外にも注文においては「今買える(売れる)値段で買う(売る)という「成行注文」もありますが、板情報には反映されません。
販売所の「購入価格−売却価格」の差は販売所の利益になります。販売所はこれから増えていくでしょうから、販売所間での競争が進み、手数料の少ない販売所も増えていくでしょう。
しかし、買いたい人と売りたい人が直接取引できる「取引所」は、そもそも「売りたい」「買いたい」間の差がでにくい仕組みになっているのです。
仮想通貨によっては、販売所でしか販売していないものもあります。また、スプレッドの金額も取引所によって異なります。しかし、基本は購入したい仮想通貨が見つかったら、まずはそれを扱っている取引所を探してみましょう。