米国の中央銀行では仮想通貨を用いた決済の構築も
日々生まれる仮想通貨、そして今までの法定通貨。将来、生き残っているのはどの通貨でしょうか?
これまで仮想通貨の「今」を見てきましたが、本項ではこれからの仮想通貨がどうなっていくのか、「通貨戦争」という切り口で見ていきたいと思います。この「戦争」には、「法定通貨と仮想通貨の戦争」と「仮想通貨同士の戦争」があります。
①法定通貨と仮想通貨の戦争
仮想通貨がもたらすインパクトは「法定通貨との戦争」を超え、「資本主義のこれまでの統治体制との戦争」と言ってもいいでしょう。かつての「共産主義の登場」くらい大きな社会変革です。仮想通貨により独立国家最高の権力である「通貨発行権」を国家が持ち得なくなるのですから、発明を超え、革命といえるでしょう。
これは資本主義そのものへの、中央集権的なものに対する挑戦です。法定通貨側である、国家をはじめとした既得権益を持っている側はそれを死守するでしょう。それに対し、仮想通貨側はどこまで世論を引っ張っていけるでしょうか。
また、法定通貨と仮想通貨が「融合する」ケースとして、「中央銀行が仮想通貨を発行する」シナリオ(※書籍参照)について触れましたが、米国の中央銀行では、実際に仮想通貨リップルを用いた決済の仕組みの構築が進められています。ちなみに、リップルにはグーグルが出資をしています。「グローバル企業の覇権争い」にも仮想通貨は大きな役割を果たすでしょう。
ビットコインの淘汰後はアルトコイン同士の戦いに⁉
②仮想通貨同士の戦争
まず発生するのがビットコインと、アルトコイン(ビットコイン以降の後発の仮想通貨)との戦いです。ビットコインは決済が遅い、ブロックサイズが1MBと小さいなど欠点もあります。ビットコインは1秒に7回しか取引できず、本気で決済に使おうとしているのかと疑問に思う遅さです。
ビットコインが淘汰された後はアルトコイン同士の戦いになるでしょう。
数多くあるアルトコインの中での基軸通貨は何になるかについては「国際送金」の分野ではリップルが、スマートコントラクトではイーサリアムに優位性があります。
今後、ICOも淘汰されていくでしょう。供給過多になれば、吸収、買収も進むはずです。見向きもされず死んでいく仮想通貨もあることでしょう。