前回は、ハワイにおける不動産業者の種類とそれぞれの業務内容を説明しました。今回は、ハワイの不動産市場の特徴を見ていきます。

取引の中心は中古、築20~30年というケースも

ハワイの不動産には、日本とは違った特徴がいくつかあります。ハワイで不動産を探したり、購入したりする際には、これらの特徴をよく理解しておくことが重要です。

 

まず、日本では一戸建てにしろコンドミニアムにしろ、新築を検討するのが当たり前になっています。それだけたくさん、新築物件が販売されているからです。

 

しかし、ハワイでは新しく開発できる土地が少なく、新築物件はまれです。取引の中心は中古であり、それも築20年、30年といったケースが珍しくありません。

 

また、ハワイ、特にワイキキでは建物のメンテナンスやリニューアルがしっかり行われ、築年数が古くなっても取引価格がそれほど下がりません。むしろ、築年数の古い物件ほどオーシャンビューなど好立地にあり、値上がりするケースもあります。

 

日本においては特に一戸建ての建物価値が、築20年もするとゼロになるのとは大違いです。築30年どころか50年以上でも、日本の物件に比較すれば、建物比率は高くなります。

「敷地が借地」という物件は珍しくないが・・・

日本でも借地に立つ一戸建てやマンションがありますが、全体から見るとかなり少数でしょう。しかし、ハワイでは敷地が借地という物件が珍しくありません。物件広告などで「LH」(Leasehold)という表示があれば、借地権のことです。所有権の場合はFeesimpleといって、「FS」と表示されます。

 

例えば、ワイキキのコンドミニアムで1960年代後半から70年代に建てられた物件のほとんどは敷地が借地でした。借地の契約期間は60〜70年が多く、初めの30年間の借地料は10年ごとにアップする設定で、残りの期間の借地料は設定期限が切れた時点で改めて交渉することになっているのが一般的でした。

 

借地料はおおむね、その時点の土地価格の6〜8%といわれます。そのため、当初設定された30年間の借地料の期限が切れ、新たに借地料の交渉を行うと、一気に10倍以上の金額になったりします。

 

こうした事態を避けるため、コンドミニアムによっては所有者が共同で地主から土地(底地)を買い上げる交渉をすることがあります。こうした土地(底地)の買い上げを「フィーコンバージョン」と呼び、コンドミニアムによっては1980年代の中ごろから積極的に行ってきました。

 

日本人の感覚からすると不思議なのは、フィーコンバージョンはコンドミニアムの所有者全員が一緒に行うのではなく、個別対応だという点です。そのため、同じコンドミニアムの中に、フィーコンバージョンによって土地が所有権になった住戸もあれば、借地権のままの住戸もあります。

 

そして、同じコンドミニアムでも、土地が所有権の住戸と借地権の住戸では、価格に大きな差が生じます。所有権の住戸は価格が安定しているのに対し、借地権の住戸は借地契約の期限が近づくにつれて大幅に値下がりするのです。それでも、一定期間だけ楽しめればいいと割り切って購入するという人もいます。

 

なお、借地権のコンドミニアムは、将来、フィーコンバージョンが可能になるケースもあります(もちろん、そうならないケースもあります)。もし購入できるなら底地を購入するというのも、よい選択肢の一つです。 

改訂版 ハワイ不動産攻略完全バイブル

改訂版 ハワイ不動産攻略完全バイブル

冨吉 範明, タカ 河野

幻冬舎メディアコンサルティング

海外への資産分散は、富裕層がポートフォリオを考えるうえでもはや常識となり、その中でさまざまな海外不動産の購入が空前のブームとなっています。 しかし、国ごとの固有のリスクや言語の問題など、日本人が海外不動産を購入…

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