すぐ売却して「損切り」する
株式投資はうまくいくことばかりではありません。上昇すると信じて買った株が、意に反して下落することはよくあることです。こんなとき、どう対処すればよいのでしょうか。こうした場合、すぐに売却するのが株式投資の鉄則です。
上がると思って買ったのに下がったのですから、その時点で保有を続ける理由はなくなっています。損が大きくならないうちに手放して、残った資金で次の投資を考えるのが効率的です。これを「損切り」といいます。
しかし、頭ではわかっていても、その通りには行動できないのが人間です。失敗を認め、損失を確定させる損切りは投資家にとってはつらいもの。「待っていれば回復するかも」という期待を抱いて、だらだらと保有を続けてしまう行為は「塩漬け」と呼ばれ、多くの個人投資家が経験する失敗です。
持ち続けた結果どうなるかというと、さらに下落して「やっぱり早めに損切りしておくのだった」と後悔するケースが多いものです。株価が下がれば下がるほど、「売るに売れない」という心理状態に陥ります。
それでもさらに下落すると、さすがに「これは底なしだ」と恐怖を感じて投げるように売却する人が多くなります。しかし皮肉なことにこうして多くの人が投げ売りすると市場から売り物が一掃され、株価は底を打って上昇に転じるものなのです。
「塩漬け」にするなら、年単位で保有する覚悟が必要
塩漬けは必ずしも損失につながるわけではなく、待っていれば買値以上に回復するケースももちろんあります。下落相場であれば損切りが遅れると損失が膨らみますが、上昇相場であれば、回復する可能性も十分あるでしょう。
それでも塩漬けを選択するなら、何年でも持ち続ける覚悟があるか今一度考えてみることが必要です。2008年のリーマンショックと呼ばれる大きな下落局面で大損失を抱えた投資家が、13年のアベノミクスでようやく損を取り戻した例はよく聞かれますが、報われたとしてもそれまでに何年もかかることは十分ありえます。むしろ5年で済めば御の字で、10年かかってもおかしくないのです。
しかも、その間は資金を拘束されて新しい投資はできません。結果論ではありますが、リーマンショックの時に潔く損切りして資金を確保し、その後さらに下落した局面で投資しておけばアベノミクスでは回復どころか大儲けができたわけです。塩漬けは最悪の選択であることが圧倒的に多く、投資家が最も避けるべき失敗のひとつです。
下落した場合にはもう一つの選択肢があります。それは、安くなったところで追加で買い増しをすることです。これは「ナンピン買い」と呼ばれます。
ナンピン買いは、先に購入した分と合わせると平均の購入コストを引き下げる効果があります。そのため、ナンピン買いの後で上昇すればより利益を大きくできたり、たとえ当初の買値まで戻らなくても利益を出せる場合があるのです。