証券口座の設定次第で、損失と配当の利益を相殺できる
前回の続きです。株の売買では損失を出してしまった場合でも、配当からはしっかり源泉徴収されているケースもあります。売却損のほうが大きくトータルでは損失を出しているなら、損益通算の確定申告をすることで源泉徴収された税を取り戻すことは可能です。
この場合、証券口座の設定次第で、確定申告をしなくても損失と配当の利益を相殺することは可能です。
配当金の受け取り方は3通りあり、証券口座に入金してもらう「株式数比例配分方式」、自宅に郵送される配当金領収証を郵便局などに持参して受け取る「配当金領収証方式」、指定の銀行口座に振り込んでもらう「登録配当金受領口座方式」を選択できます。
源泉徴収ありの特定口座で「株式数比例配分方式」を選択していれば、証券会社が配当金と株式の売却損を損益通算し、源泉徴収した税金を戻してくれます。配当から源泉徴収される金額は数百円から数千円程度とわずかなので、そのためだけに確定申告するのは面倒なもの。ぜひ利用したい制度です。
株式数比例配分方式以外の受け取り方を選択していると、源泉徴収ありの特定口座であっても配当金と売却損の損益通算は行われませんので注意しましょう。多くのネット証券では、配当金の受け取り方はウェブサイトで簡単に変更できます。
専業主婦や国民健康保険加入者は注意すべき点も
損益通算などの確定申告は節税につながるので、基本的にはやっておくのが有利ですが、中には不利益を被る人もいます。申告した株の利益はその年の合計所得に含まれてしまうため、配偶者控除を受けている専業主婦が控除の対象を外れてしまったり、所得に応じて計算される自営業者の国民健康保険料が高くなるといった事態が起こり得るのです。
申告せず源泉徴収で課税が終了すれば、株の利益は所得に合算されず、こうしたことは起こりません。専業主婦や国民健康保険に加入する人は、源泉徴収ありの口座を選択し、なるべく確定申告しなくて済むよう口座はひとつに絞るのがお勧めです。確定申告をする場合には、トータルで損にならないか慎重に検討する必要があるでしょう。