「外国人投資家」の行動が相場の方向性に影響
ここからは、株式投資の基礎知識からもう一歩踏み込んで、相場を読み取るヒントを解説していきます。
株式市場で日々、株を売買しているのは個人投資家だけではありません。機関投資家といって生命保険や投資信託など他人のお金を預かって運用する機関なども活発な取引を行っています。
中でも最も割合が大きいのは、外国人投資家です。アメリカを中心とした海外の機関投資家は、年金基金なども日本の株式市場で取引しています。彼らの占める売買シェアは、東証1部の半分以上を占めており、彼らの投資行動が株式市場の方向性を決定づけることが多くあります。
このため、日本の株式市場は前夜のアメリカの株式市場の動きに影響されやすくなります。外国人投資家の運用資産全体に占めるアメリカ株や日本株の割合はあらかじめ決められており、仮に前日のNYダウが大きく上昇すればアメリカ株の割合がオーバーし、日本株のウエートが下がるため、翌朝は日本株を買いに来ることになるのです。
逆もしかりで、NYダウが大きく下げれば日本株の割合が相対的に上がってしまうため、調整のため日本株を売らざるをえなくなるわけです。
日本の株式市場は輸出企業が多いので、最大の貿易相手国であるアメリカの景気や企業業績に左右されやすいという面もあります。いずれにしろNYダウの値動きや外国人投資家の行動には敏感になる必要があるでしょう。
存在感を高める日本銀行、「日銀砲」の威力に期待
アベノミクス以降、株式市場で急激に存在感を高めているのは日本銀行です。利益を目的とはしていないので投資家とはいえませんが、金融緩和のために年間6兆円ものお金を株式市場に投入するとしており、株価の強力な下支えになることが期待されています。
日銀が買っているのは個別の銘柄ではなく、TOPIXや日経平均株価に連動するETF(40ページ)です。それでも日銀の買いによってこれらの指数に組入銘柄が上昇し、市場全体の押し上げ効果が期待できます。
また、国民の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、最近注目を集めている機関投資家です。GPIFはこれまで国債を中心とした保守的な運用を行っていましたが、今後は日本株への投資を倍以上に引き上げると発表しました。平成29年の第一四半期時点で149兆1987億円もの運用資産を持つGPIFは世界最大級の機関投資家とされるだけに、日銀砲と同様に日本株の上昇要因として注目を集めているのです。
この話は次回に続きます。