証券会社アナリストによる「格付け」も株価に影響
前回の続きです。証券会社の調査部門には日々個別銘柄を研究しているアナリストがおり、独自の調査や取材にもとづく分析を機関投資家に向けて配信しています。
これらのレポートには格付けが添えられており、その表現は証券会社によって異なりますが、「BUY」や「強気」などと表記されると買い推奨、「SELL」「弱気」などであれば売り推奨となります。具体的にどこまで上がりそうか、目標株価として併記されることもあります。
投資判断や格付けの変更を伴うレポートが新しく発表されると、少なからず株価は影響を受けます。特に外資の証券会社だと取引額の大きい外国人投資家の売買に影響を与えるため、特に影響が大きくなると考えられます。
株価の変動は単純ではない…反応を注意深く見守る
株価が変動する要因は22ページでも紹介していますが(本書籍をご覧ください)、実際の株式市場は複雑で教科書通りの値動きをしないことも多くあります。
たとえば、業績の悪化や下方修正などは一般的には株価の下落要因です。好調に見えた企業が突然下方修正を発表すれば、ネガティブサプライズとして株価は下落するのが普通です。
しかし、業績の悪化が噂される企業の場合、正式な発表を待たずに株は憶測だけで売られ下落していきます。そこへ実際に下方修正の発表があった場合、想定以上の悪化であればさらに売られますが、噂通りであった場合やさほどは悪い内容ではなかった場合、逆に株価は上昇することがあるのです。これは「悪材料出尽くし」などと言われ、これ以上は下がらないだろうという思惑で買われるのです。
逆に、好調が噂される企業の場合、期待だけで株は買われ上昇しますが、実際に内容の良い決算が発表されると株価が下落に転じることがあります。「噂で買って、事実で売る」とも言われますが、株価は投資家の思惑や期待で動き、それが周知の事実となったときにはひと相場が終了するということはよくあるのです。
さまざまな市場参加者の思惑が交錯する株式市場は非常に複雑で、一筋縄ではいかないものです。だからこそ面白く奥深い世界だともいえます。