日経平均先物の値動きで、日経225の寄り付きを占う
前回の続きです。市場には日経平均株価の先物を売買する市場もあり、こちらの値動きも参考になります。日経平均先物は、特定の期日に日経平均株価と交換できる権利を売買する取引で、日経平均が上がると考えるなら買い、逆なら売り、後で反対売買することによって利益を得るしくみです。最終的には日経平均株価と同じ値動きに収束します。
平日の15時に株式市場が終了した後も、先物は16時半から午前5時25分まで夜間取引が行われています。また、その後もアメリカ・シカゴ(CME)とシンガポール(SGX)の市場でも日経平均先物は取引され、この間の値動きは翌朝の日経平均株価の寄り付きを占ううえで参考になります。
深夜の時間帯にドル円相場やNYダウなどが大きく動くと、日経平均先物も動き、その終値は翌朝の日経平均株価の寄り付きと近くなるのです。日経平均先物の値動きは証券会社のウェブサイトや取引ツールなどで確認できます。
また、毎月第二金曜日はSQ(えすきゅー)日と言って、先物などで満期日までに反対売買されなかったポジションを強制決済する指数の算出日があります。
SQの前後では、さまざまな投資家の思惑による売買が日経平均採用銘柄に流れ込む傾向があり、株価が大きく乱高下することがあるので注意しましょう。短期売買をする人は、SQ日とその前は様子見にとどめておくのが無難です。
「信用残」も、今後の値動きを占う上で重要
信用取引には6か月の期限があり、期限内に決済し取引を終了する必要があることは第5回で説明しました。期限内でまだ決済していない信用取引の残高は、今後の株価の行方を予想するうえで有力な手掛かりになります。
チェックしたいのは「信用買い残」と「信用売り残」の動きです。信用買い残は、近い将来の値上がりを狙う投資家による信用買いの残高です。
これは6か月以内に必ず売る必要があるので、この残高が膨らんでいると将来の売り圧力となり、株価の下落要因となります。信用売りをする投資家は、高くなったところで売ろうとするので、株価の上昇は難しくなるのです。
一方、信用売り残は信用売りの残高のことで、期限内に必ず買い戻す必要があるため将来の買い圧力となり、株価の上昇要因となります。信用売りした投資家は株価が安くなったところで買い戻そうとするので、少し下がったらすぐ反発するといった値動きが見られ、下落しにくくなります。
ただし、銘柄によって売買される株数や価格は異なるので、残高がどれぐらいになれば株価に影響を及ぼすかは一概にはいえません。それでも、通常よりも信用残高が急に増えたときは要注意で、特に株価が急激に動いたときに出来高(売買の成立株数)とともに信用残高が増えたりすると、インパクトは相当強くなります。信用残高や出来高は証券会社などのウェブサイトの各銘柄情報で確認できます。
この話は次回に続きます。