今回は、英国のエネルギー供給事業者「Centrica社」の動向を探ります。※本連載では、野村総合研究所の著書『エネルギー業界の破壊的イノベーション』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、エネルギーシステムの変革に挑む、欧米大手電力事業者の動向を紹介します。

エネルギー供給事業者間の競争が特に激しい英国

英国は、風力発電を中心に再生可能エネルギーの導入が進む一方で、自由化が進んでいる国である。1990年に他国に先駆けて自由化が進められた国であり、1999年に小売全面自由化が行われて以降、すでに家庭需要家の半数以上が供給事業者を変更するなど、エネルギー供給事業者間の競争が特に激しい。

 

ここでは、同国内で事業展開を行うCentrica社の取り組みを見てみたい。同社は、エネルギーシステムの分散化に向けた取り組みに加えて、エネルギーサービスのワンストップ化の一環として、コネクテッド・ホーム事業に注力している点が特徴的である。

 

[図表1]Centrica社グループ概要(2016年)

出所)Centrica社公開資料などをもとに野村総合研究所作成
出所)Centrica社公開資料などをもとに野村総合研究所作成

 

Centrica社は、英国のウィンザーに本社を置く、電力・ガス供給事業者である。英国国内でガス・電力事業を展開するBritish Gasや、北米で展開するDirect Energy、アイルランドで展開するBord Gais Energyなどを子会社・ブランドとして有しており、米国や英国、アイルランドを中心に、合計2800万の顧客を有する。

エネルギー以外のサービスのワンストップ化を目指す

Centrica社は、長期的な成長のために注力する事業として、「エネルギー供給」、「エネルギーサービス」、「分散エネルギー・電力」、「コネクテッド・ホーム」および「エネルギーマーケティング・トレーディング」の5つを挙げている。ここで特筆すべきは、Centrica社が「分散エネルギー・電力」と「コネクテッド・ホーム」を注力事業として挙げている点である。

 

「分散エネルギー・電力」は、エネルギーシステムの分散化に対応した事業領域である一方で、「コネクテッド・ホーム」は、エネルギー以外のサービスのワンストップ化に向けた取り組みと見ることができるだろう。

 

[図表2]Centrica社の展開ブランドの概要

出所)Centrica社公開資料などをもとに野村総合研究所作成
出所)Centrica社公開資料などをもとに野村総合研究所作成

 

この話は次回に続く。

この連載は、書籍『エネルギー業界の破壊的イノベーション』(㈱エネルギーフォーラム)からの転載です。

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