ある程度の広さを超えると家賃には反映されにくい!?
ミュージションの間取りは基本的に1Kタイプで、広さは28㎡です。これは最高の㎡賃料効率を得られる広さであると同時に、勉強机兼用のダイニングテーブルとベッドを置いても、グランドピアノがきっちり入る面積でもあります。
それまでの楽器可マンションは、通常のワンルームマンション同様、20㎡程度の広さが主流でした。そのため、ピアニストやピアニストの卵たちは、ピアノの下に布団を敷いて寝るのが常識という、快適とはほど遠い状態で暮らしていました。
寝て目が覚めたら、ピアノの底が見えるのですから、ものすごい圧迫感だと思います。当時の生活がよっぽど辛かったのでしょう。最初の頃のお客様がミュージションの室内を見て、「もう、グランドピアノの下に寝なくていいんですね」と大喜びしていたのを、今でも覚えています。
それでも、28㎡というのは、入ってみて「わあ、広い」というほどの印象はないために、オーナーから「せっかくだから、もう少し広くしよう」と提案を受けることもあります。しかし、よっぽどの理由がない限り、筆者は賛同しません。投資効率を考えるなら、広さにはシビアになるべきだからです。
たとえば、あるエリアの限界賃料(入居者が支払えるであろう見込み家賃の上限)が10万円という場合、28㎡と32㎡では㎡賃料効率に14%以上の差がつきます。「広くすれば賃料が上がるのでは?」と疑問に思う方がいるかもしれませんが、入居者が支払える金額には限度があるため、ある程度まで上がると、それ以上は広くしても家賃には反映されにくくなります。筆者の経験では、その臨界点が28㎡なのです。
投資マンションの経営では「細部」までこだわる
この意味を総コストとして考えてみましょう。建物の建築費が6億円で、1部屋面積が32㎡、総戸数が50戸の賃貸マンションを建てるとします。これをもし、1部屋28㎡にすると、6億円÷32×28で建物費は5億2500万円となり、7500万円のコストダウンとなります。
もう少し細かく見ると、建物の中に含まれる共用設備などの費用は減りませんので、だいたい7500万円の30%にあたる金額を節約できたと仮定すると、2250万円の節約になります。これだけコストダウンをしても、賃料は変わりません。あまりおすすめしませんが浮いた2250万円で別の設備をたくさんつけることもできますから、その違いは大きいといえます。
この4㎡の差の話をすると、「細かいですね」と驚かれるのですが、マンション経営はあくまでも投資なのですから、細かいといわれても筆者はこだわるべきだと思います。