前回は、「ミュージション」がデザイン性にもこだわる理由について説明しました。今回は、通常のマンションには不向きな立地も活用できる「ミュージション」の強みなどを見ていきます。

「暗騒音」を利用して遮音性能を高める

大通り沿いで車の音が聞こえる、北向きで日当たりが悪いなど、通常の賃貸マンションなら賃料の低下を避けられないような場所でも、ミュージションなら不利を被ることなく、マンション経営をすることが可能です。その証拠に、ミュージション野方では目の前を幹線道路が走っていますし、ミュージション登戸は北西向きで日照を望めないにもかかわらず、家賃は周辺相場の1.3倍で、入居率も安定しています。

 

それは、ミュージションに住む人にとっては、日当たりや静けさよりも、思い切り音楽を楽しめる、まさに音楽漬けの生活をしたいという欲求のほうが上だからです。音楽への満足度を高めることができれば、自分自身の優先事項が何かを知っている彼らは、ミュージションの価値を必ず認めてくれます。

 

また、ミュージションでは「暗騒音」という音を利用して、音の伝わりを感じにくくさせているため、周囲の音は、デメリットどころかむしろメリットになり得ます。

 

説明しますと、ミュージションは音を消すための方法として、音を遮るための工法に加えて、室内にわずかな暗騒音を取り入れることで、人が気にならないレベルにまで隣室などからの音を低減するという方法を採用しています。これを「マスキング効果」と呼びます。このため、窓の外には暗騒音と呼ばれる音が必要になります。

 

暗騒音とは、車の走る音や人の話し声などが混ざり合ってできる音などです。この音が戸外にあると、ミュージションの室内から出た音を自然にかき消して、感じさせなくしてくれるので、隣室や上下階への音の回り込みも低減できるのです。

楽器演奏ルールを定めることでトラブル発生を防ぐ

暗騒音を利用して遮音性能を高めているミュージションは、逆にいえば、非常に静かな場所に建てることは困難です。暗騒音さえあれば日当たりが悪くても、駅から多少遠くても賃料が確保できるというのがミュージションの強みですが、暗騒音がまったくない場合には性能を発揮することが難しいというのも事実です。

 

また、深夜になって、外の暗騒音が小さくなると遮音効果が落ちます。そこで、ミュージションでは、楽器の種類によっては演奏時間を午前8時から深夜12時までに限定するなどの楽器演奏ルールを定めています。ルールは他にもありますが、こういったルールを定めることでトラブルの発生を防ぐことも、ミュージションの積み重ねの中で私たちが学んできた重要なノウハウなのです。

 

さらに、音量が大きすぎて65dB/500㎐レベルでも遮音できない楽器もあります。たとえば、低音域の発生音レベルが大きいドラムや金管楽器の演奏は制限しています。

 

ミュージションの歴史の中で、浮かび上がってきた弱点や課題はこれらだけではありません。他にも多くの課題がありましたが、それらを一つひとつ解決し、ノウハウを積み上げてきたことで、今のミュージションがあるのです。

 

そして、これからも改善、改良できるであろう部分は、まだたくさんあります。いわばミュージションは現在も”成長中”なのです。これは決してネガティブなことではなく、そうだからこそ、次のミュージションが今のミュージションよりよいものになる可能性を持ち、また、そうでなければならないと考えています。

本連載は、2011年2月28日刊行の書籍『近隣物件よりも高い賃料で長く儲ける満室賃貸革命』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

満室賃貸革命

満室賃貸革命

鈴木 雄二

幻冬舎メディアコンサルティング

今後50年余りで、日本の人口は約9000万人にまで減少すると予想されています。これは、現在の人口から約3割もの人がいなくなる計算です。そのような将来が予想される中、今でも賃貸マンションは次々と建ち続け、オーナーさんは…

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